2008年10月30日

「ビジネス知識源」<晩秋の落日のドルとユーロ>より、FRBの資産劣化1

2008年09月20日の記事「FRBの救済策:新型証券融資、そして急激に資産が劣化」にFRBの資産劣化が指摘されている。
吉田繁治氏のメルマガ「ビジネス知識源」2008年10月27日<Vol.230:晩秋の落日のドルとユーロ>に詳しく解説されているので、転載させていただきます。
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米国発の金融危機と一般に言われますが、欧州のほぼ全銀行のレバレッジ度の高さと、債務保証保険(CDS)の相互掛け合いから、連鎖倒産のリスクが極めて高い。CDSは、債務の連帯保証です。
欧州各国が、米国より早く、より巨額の公的資金投入を決めざるを得なかった理由がこれです。
ところで、政府・中央銀行は、何を資金の裏付けにして、マネーを供給できるのか? 
この問題を検討する必要があります。そのために、米国FRB(連邦準備銀行:中央銀行)のバランスシートを、分析します。(注)欧州中銀(ECB)は、まだデータを入手し分析してはいませんが、その構造は、米国FRBに似ています。

■3.米国FRBの貸借対照表(B/S)の検討
米国の銀行にマネー(=信用)を供給する、特殊な銀行である米国FRBの、貸借対照表の中身を理解するには、若干の予備知識が必要です。
記述に沿い、順次、明らかにしてゆきます。用語がすこし特殊なだけで、難しくはない。以下は、勘定科目を単純化したFRBのB/Sです。
【(1)2007年8月6日のFRB:金融危機勃発の直前】
左側が、FRBが保有する証券(債券)、右側が、その証券を買ったときの、原資です。普通の企業の貸借対照表と、同じ構造です。
全米の、8つの連銀の合計(連結)です。勘定科目はまとめ、単純化しています。まず、米国の金融危機がサブプライムローン危機から勃発する直前のものです。
 【保有資産】          【負債と資本】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●米国短期国債 28兆円   ●$紙幣発行高     77兆円
●米国長期国債 51兆円   海外の中銀からの借入金 2兆円
短期貸付金     2兆円   米国政府からの預金   0.5兆円
通貨スワップ    6兆円   当座預金預かり      0.5兆円
                    資本            3.4兆円
                   その他資本        2.8兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
資産合計     87兆円    負債・資本合計      87兆円

【結論】金融危機の前までは、米国FRBは、
●印の米国債を、合計で79兆円分、買って資産として保有し、
●印の$紙幣を、77兆円分発行し、バランスさせていました。
米政府が発行した国債(国の利付借用書)を買い、そのほぼ額面金額分(77兆)のドル紙幣を、発行していた。
この構造は、日本国債を資産として、75兆円の1万円札を発行している日銀と、紙幣発行の金額も、B/Sの内容も、瓜二つの構造でした。
(1)ドル紙幣の発行額(77兆円)が、米国の経済規模(GDPで日本の500兆円の約2.5倍)に比べ少ないのは、米国では、経済取引や買い物に、現金を使わないためです。
食品スーパーの$10の肉を買う時でもクレジットカードを使う。企業間の取引は、銀行口座振り込みです。企業の借金は、長期・短期の社債です。
(2)なお、通貨スワップ(通貨の交換の残:6兆円)は、FRBが、海外の中央銀行の間で行っているものです。FRBが、日銀やECB(欧州中央銀行)に米ドルを差し入れ、他国の通貨と交換する取引です。
【(3)資本勘定】FRBの資本勘定は、資本の3.4兆円とその他資本の2.8兆円で、合計6.2兆円です。総運用資産に対し、7%です。これは、(かつての)シティバンクなどの民間銀行並みの、自己資本比率で
す。
【(4)株主は特殊】米国FRBの3.4兆円の資本は、ロスチャイルド家とロックフェラー財閥(国際金融マフィアと言う)が出しています。
FRBは、政府機関でなく民間金融機関です。しかし、法で、ドル紙幣の発行権を付与されているという特権があります。
(注)日本の日銀の資本金(なんと明治の創設以来1億円という少なさ)は、その55%(5500万円)を、財務省が持つとされています。日銀の株を買っても、法で議決権はない。
日銀創設(明治15年)の時、明治政府にお金はなく、英国のロスチャイド家(国際通貨マフィア)が資本を出したのは事実です。
いま日銀とロスチャイルドが、実際にどう関係しているのか、日銀のマネー政策にどう関与しているかは、歴史の闇です。

【結論】FRBについて結論を言えば、米国政府の信用(=国債の信用)がFRBの信用、つまり米ドルの信用の裏付けでした。
それを立証するのが、79兆円分の、米国債を、FRBの資産としての保有していることです。国債はその国では、もっとも信用度の高い債券・証券とされます。そのため、金利が低い。
金利は、回収リスクを含むので、財務と利益の信用が低い会社が発行した社債(企業の国債に相当)は、金利高くないと買われません。
●2007年8月初頭まで、FRBも、まぁ普通でした。簡単にいえば、米国債を買って、その金額に相当するドル紙幣を印刷し、発行していた。ドルの裏付けは、AAAとされる米国債でした。

~続く
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2008-10-30 | Posted in 06.経済破局の行方1 Comment » 

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コメント1件

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