2009年08月20日

吉田繁治氏の予測~デリバティブの価格崩壊による金融危機第3弾③

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引き続き、吉田繁治氏の「090817 ビジネス知識源:米国経済の実情と、控えるデリバティブの危機」の紹介。
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つまり、アメリカは国家の借金を担保にマネーを創造する(これが不換紙幣)だけではなく、民間人の借金(ローン)を証券化することでマネーを創造してきたわけだ。
’70年頃先進国では、貧困の消滅によって私権への収束力(私利私欲)が衰弱し始めた。人々はこれ以上の物的充足を得る為に、あくせく働こうとはしなくなり、物的欠乏が飽和限界に達したことによって、市場は拡大を停止し縮小過程に入った。にも拘らず、この社会を差配する全世界の統合者(政・官・財および学者・マスコミ)たちは、なりふり構わず市場の拡大を続行し、不足する需要を補うべく大量の国債を発行して、日本では800兆円を超える財政赤字を累積させてきた。
その結果、増刷された紙幣がダブつき、経済は必然的にバブル化する。そして全世界がバブル化した。バブル化とは言い換えれば借金経済でもある。市場をバブル化させた原動力は国家の借金であり、金融機関もレバレッジ倍率(資産/自己資本)、つまり借金ふくらませて投機を膨張させてきた。つまり、’70年貧困の消滅以降、市場は見せかけの数字上の成長を維持するためには、借金経済化→バブル化するしかなくなったったのである。
紙幣の裏づけ(担保)が借金である、この構造は借金本位制と言っても過言ではない。しかし、この借金本位制は借金が返済されることを前提として成り立つ構造である。では、マネーの担保である借金の返済(回収)リスクはどうするのか?

回収リスクに、保険をかければいい。これが、回収リスクを計算したCDS(回収保険:デリバティブ)です。保険料(プレミアム)を払って、その回収リスクを、他の金融機関に引き受けてもらう。このCDSは、保証元本が$50兆(4750兆円)を越えています。ほぼあらゆる債券にCDSがかかっていると見ていい。これを「シンティックCDO」と言いました。リスクプレミアム(リスクにかける保険料)が2%なら、4750兆円×2%=95兆円が、引き受けた側の、保険料収入になります。
金融利益は、こうして、新たなデリバティブ(金融派生商品)が開発される度に、膨らみます。CDSを買うと、将来リスクを引き受けますが、当面は巨額利益が出るので、トップと開発者には巨額ボーナスが支払われます。
以上のデリバティブは、すべて、以下の性格を持ちます。
(1)証券やローンの未回収リスクの、将来への飛ばし。その場だけは、バランスシートがきれいになって、保険料支払い後の利益が出たように見えますが、損失リスクは、将来に先送りされています。保証を引き受けた側が、AIGやリーマンのように破産すると、残った純資産での精算配当額にしかならない。
(2)住宅価格の値下がり、諸々のローン破産率の上昇があると、MBSやCDOの時価下落し、保険料は高騰して、一挙に自己資本リスクが表面化します。
●こうしたリスクの総額が、いくらあるのか、まだ誰にも見当がついていません。500兆円(IMF)とされますが、それでも甘いみつもりでしょう。
金融機関や政府が公表するリスクは、その時点での、経済見通しを前提にしています。住宅価格、商業用不動産が更に下げ、ローンの未回収率が上がったとき、以上のような「デリバティブの核爆弾」が破裂してしまう。
【結論】
債務保証型のデリバティブは、要は、危機(=回収リスク)の先送りです。世帯の所得(または住宅価格)が上がって、原資産になるローン回収率が好転しないと、それを保証するCDS(債務保証保険)の危機が続きます。そのため、住宅価格の下落の停止、あるいは上昇がないと、オフ・バランスで隠された金融の危機がいずれ、再び勃発します。
今は、3月9日以来の株価上昇(金融機関による自己売買)での利益確定で、その迫り来る損を埋めようと必死な状況だと思えばいいでしょう。そのため、仮に株価が下落すれば、危機の再来です。

確かに、CDSをはじめとする金融派生商品(デリバティブ)という爆弾のうち、処理済みは極一部にすぎず、大量の未処理爆弾が残っている。以上の吉田繁治氏の予想を踏まえて、ドル・米国債がいつ暴落するか?を考えると、以下のようになる。
いずれ、全米に広がるローン(借金)のいずれかが返済不能であることが明らかになる。それは遠い将来ではなく、決算期ごとに危機が訪れる。早ければ9月末、次は12月末、その次は3月末というように。それを引き金といして再び金融危機が勃発する。
その時は昨年の金融危機をはるかに超える大量の国債が発行され、それをFRBが直接引き受けするしかない。その段階で「FRBの国債直接引き受けは禁じ手である」という批判が登場する(おそらくはドル・米国債暴落を目論む勢力によって)。「FRBの国債直接引き受けは禁じ手である」という説は全ての経済学の常識(固定観念)なので、誰も反論できない。この批判の前ではFRBはそれ以上紙幣増刷し国債を買い支えることができなくなる。そして、その数ヵ月後にドル・米国債の暴落が始まるのではないだろうか。
(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2009-08-20 | Posted in 06.経済破局の行方2 Comments » 

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