2007年12月06日

深化するドルの危機

OPEC.bmp
ドル安、中東産油国のドルペッグ制の見直しによって、ドル崩壊が現実のものとなりつつあります。
以下、田中宇の国際ニュース解説より引用します。

世界的な絵画の価格高騰の背景には、ドルに対する信用不安がある。大口の投資家にとって高額の絵画は、株式や金、不動産などと並ぶ投資対象の一分野である。通貨の分野では、たとえばEUの通貨当局はドル安ユーロ高を放置すると欧州の輸出企業に打撃を与えるので、ドル安が進行する中で、ユーロも実力以下の為替価値に抑えている。ドル安は、世界的な通貨安を引き起こしている。(そのため石油や金などの商品が高騰し、商品一般が値上がりして世界的インフレになっている)

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各種の投資対象の中でも、たとえば不動産などは、これまで有力な投資対象だった米英の不動産市況がサブプライム問題の影響で悪化傾向にあり、投資先として適当でない。このような中で、世界の大口投資家たちの間で、投資多様化の一環として高額絵画に対する投資が拡大し、その結果、世界的に高額美術品の価格高騰が起きていると考えられる。
(中略~)
▼イランと協調し、ドルペッグをやめそうなペルシャ湾岸諸国
中東では今週、ドルの将来を決定するかもしれない国際会議が開かれている。最近の記事にも書いたが、12月3-4日にカタールのドーハで開かれているペルシャ湾岸協力機構(GCC)6カ国のサミット会議、そしてGCC会議の結論を受けて12月5日には、アブダビでOPECの会議が開かれる。これらの会議の中心議題は「GCC6カ国の通貨の対ドルペッグを続けるかどうか」「GCCがドルペッグをやめて通貨統合するなら、OPECは、ドルではなくその通貨で石油価格を表示する制度に移行してはどうか」ということである。
中東産油国が独自の統合通貨を持ち、今後の石油価格がドルではなくその通貨で表示されるといった将来像は、最近までほとんど机上の空論として扱われていた。今回のGCC会議では表向き、通貨の問題は話し合わないことにもなっている。
しかし、これは世界を煙に巻くための事実に反する発表だろう。ドルの信用不安や世界的インフレがひどくなっているのに、GCCがサミットで通貨の問題を話し合わないというのは、あまりに非現実的である。今回のGCCサミットに際し、サウジアラビアとカタール、バーレーンの財務大臣らは、相次いで「ドルペッグをやめない」と宣言した。これらも、世界の為替関係者たちが「GCCがドルペッグをやめるかもしれない。そうしたらドルは暴落だ」と騒いでいることに対応する、一時的な処置にすぎない。
今回のGCCサミットで驚くべきことは、イランのアハマディネジャド大統領が招待され、参加していることである。GCCは親米諸国の集まりであり、反米的なイランを招待したのは前代未聞である。そしてアハマディネジャドは、11月中旬のOPECサミットで「石油のドル建て表示をやめるべきだ」「代わりに通貨バスケット建てで石油を表示すべきだ」と最も強く主張した人物である。「通貨バスケット」とは、GCCがドルペッグをやめたり、通貨統合したりした場合に採るであろう制度だ。
GCCがサミットに「ドル離脱」「アメリカ抜きの世界を作ろう」と主張するアハマディネジャドを招待したことは、いくつもの意味で大きな出来事である。一つは、GCCがドルペッグをやめて、ドルのほかにユーロや円などを含んだ主要諸通貨のバスケットに対するペッグに転換することを本気で考えていることを示していることだ。GCCがドルペッグをやめたら、ドルは短期間に20%減価すると予測されている。長期的には、ドルはもっと大きな打撃を受け、基軸性を喪失していくだろう。
2番目は、GCCの通貨統合に、ゆくゆくはイランも加盟してもらう可能性があるということ。この場合、GCC諸国とイランの間に挟まっているイラクも、米軍撤退後、通貨統合に参加する可能性が高い。統合された通貨は、中東を代表する通貨になる。これは従来、米英イスラエルによって分裂・弱体化させられ、世界の極の一つとして機能していなかった中東が、統合され、石油の富を背景に、中国やロシアと並ぶ世界の極の一つとして台頭する可能性を示している。
3番目は、イランの台頭に対し、アラブ諸国はアメリカとイスラエルが提唱するイラン包囲網の強化には参加せず、逆にイランとの協調関係を強めて緊張を緩和する方向性が感じられることである。逆に言うと、アラブ諸国にとって、すでにアメリカは頼れる存在ではなくなっており、自前で安全保障を確保するため、イランと強調する方向にある。先週アメリカのアナポリスで行われた中東和平会議が何の成果も挙げられず、今後の中東和平はアメリカではなくロシアやEUが主導していくであろうことと合わせ、中東の国際政治に巨大な構造転換が起きている。

いよいよ中東産油国のドル離脱→中東通貨統合へ向けての動きが活発化してきたということでしょうか。
対ドル・ぺッグ制を取る中東などの産油国にとってドル安は、ドル建て資産価値および原油輸出収入の減少や、欧州などからの輸入価格の上昇を意味しますから、国家経済を直撃します。
産油国はドルペッグ制の見直しが必要不可欠の状況に置かれているといっていいと思われます。
先日(12月5日)開かれたOPEC総会では、ドルペッグ制の見直しがどこまで議論されたかわかりませんが、石油消費国の増産要求が退けられ、原油生産量の据え置きが決定されたということは、ドル安による収入の目減りを相殺すべく、当面高い原油価格を維持ためではないかと推測されます。
何れにしろ、アメリカ連銀は、サブプライム問題に端を発した不況を乗り切るため、今後も金利引き下げを行う可能性が高く、このままでは中東諸国のインフレは加速するばかりであり、ドルペッグ制の維持は国家の崩壊にも繋がりかねません。
中東諸国のアメリカ離れ、ドル離れによって、ドル覇権の崩壊は時間の問題とも言えそうですが、日々情勢は動いており、OPECや各国の今後の動きを注視していく必要があります。

List    投稿者 yuji | 2007-12-06 | Posted in 06.経済破局の行方1 Comment » 

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コメント1件

 くまがわ直貴 | 2008.02.29 21:34

 旧ユーゴスラビア問題ということで、少し脱線しますが、「ウスタシャ」について是非諸外国民にも知ってもらいたいと思います。
 ユーゴ紛争や、今回のコソボ独立の背後にはクロアチアやセルビアの民族問題やアイデンティの存在意義が深く関連しています。
 ウスタシャは、クロアチアの極右民族主義者達のことで、パベリッチ率いる指導部のもとで虐殺や民族浄化「クレンヂング」を決行し、やがて要人テロなどで東欧を震え上がらせましたが、第二次大戦~冷戦でその存在自体が忘れ去られていました。
 しかしながら、社会主義パルチザン・ミロシェビッチ以後のバルカン半島では残党の復活が顕著になっているとの情報もあります。
 超大国は現地の民族情勢をどれ程まで理解しており、対東欧戦略を進めようとしているのか?気掛かりです。

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