2009年03月08日

消去法で維持されているドル

ドル暴落するかどうかの追求を続ける。
以下、「ビジネス知識源:遙かな国トルコ(1):経済と文化のコンチェルト」から引用。
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日本の鉱工業生産も、輸出の急減(-30%)のため前年比-20.8%(08年12月)と、落ち込みが急激です。米国の金融危機と信用収縮は、月を追って深まっています。
回復は、住宅価格が、普通の世帯がローンを組んで買える時期、つまり価格底打ちして、米国のローンが回復する時期(2011年か)を俟(ま)たねばならない。通常の景気循環とは違い、金融機関、世帯、企業の負債の過剰を原因とする今回のような劇症の不況は、そのバランスシート(資産と負債の関係)が好転に向かう時期まで、回復しません。
金融機関が、自力で利益を出すようになり、企業と世帯の過剰負債が所得に対し見合うまで、減らねばならない。政府の金融対策と言ってもそれは、新たな、政府や中央銀行からの貸し付け(負債)です。貸し付けや資本供給だけでは、一時の延命しかできない。例えばトルコ政府が国債を増発し、損失で破産した自国の金融機関に政府資金を緊急に貸しても延命はしても、再生するわけではない。米国の3大自動車会社も同じです。40%も販売台数が減った車が、再び売れるようにならねば、自動車会社も再生しません。自動車が売れるには、家計の負債が減って(所得が上がり)、再び、ローンが組める時期が来ることが必要です。

この指摘は重要である。
米政府がどれだけ資金注入しても、問題の先送りにすぎず、景気は回復しない。そして、米国債とドルの暴落危険性が高まる一方である。が、未だにドルも米国債も暴落しないのはなぜか?

【外貨が信用される】
(トルコの)通貨はリラですが、米ドル、ユーロ、円が店舗ではそのまま通用します。人々はインフレを起こした自国通貨より、先進国の外貨を信用する。
前記のように、(トルコ)政府は2005年に、通貨の呼称を新リラとし100万リラを新1リラに換える「デノミ」を行っています。賃金も預金も物価も、すべてを1日で100万分の1にした。今、新1リラは53円付近です。ドル・ユーロ・円からリラへの交換は、容易です。しかしリラから円への逆交換は、闇レートでしかできない。トルコ国民も世界も、まだ新リラを信用していません。ペーパーマネーの信用は、発行権を独占するトルコ政府の信用に他なりません。

【インフレの国の通貨と預金】
世界金融危機の後も、国際通貨として米ドルの信用が(ある程度のレベルで)強いのは、世界では、自国通貨の長期的な価値を信用していない国民が多いからです。トルコのように、ドルが自国の通貨よりましだ・・・とされている。またいつか、ペーパーマネーを、経済規模(GDP)に対し過剰に増発するのではないか、政府官僚と富裕者に、経済を破壊する腐敗が起こるのではないかとも思っている。
ロシア人は、預金するのが、今も怖いと言う。90年代に、国が管理する年金も預金も、物価の高騰(ルーブルの価値下落)で、同時に無価値になったから・・・それが政府信用です。

【生産とマネー】
商品は、生産でしか増やせません。他方、ペーパーマネーは、金融の規律を無視するなら、財政赤字に困る政府が、際限なく増やせます。インフレは国内の通貨で計れば物価高騰に見えます。しかし本質はその国の通貨の価値下落です。トルコリラを、円やドルの関係で見ればこれが分かる。円で買えば、トルコも物価は10万倍に上がっていません。リラが10万分の1に下がった。このインフレの本質も、トルコでは実によく分かったのです。

日本では実感できない感覚であるが、トルコに限らず世界中には、自国の通貨が信用できないという国の方が多いのだろう。アフリカのジンバブエに至っては、数億倍というハイパーインフレの最中らしい。それくらい国民から信用されていない通貨が世界に数多くある。
未だドルが暴落しない理由の一つに、他の国の市場もアメリカ以上にガタガタで、他の通貨も碌なものではないということが挙げられる。ポンドやユーロ・ルーブル、さらには自国民からも信用されていない通貨に比べれば、ドルの方がまだ相対的にましという訳だ。現在の米国債の高騰も他に安全な資産がないので、逃避先として米国債を買うという消去法的選択によるものである。
従って、どの国の市場もアメリカ以上に落ち込んでいく状況下では相対的に米国債・ドルは暴落せずに維持されていくという見方もできないことはない。しかし、事態はそれほど楽観できるものではない。(続く)
(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2009-03-08 | Posted in 06.経済破局の行方2 Comments » 

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コメント2件

 unimaro | 2009.06.28 22:17

お疲れ様です。
>自衛隊海外派遣に際して、陸上自衛隊の中央情報隊隷下の『現地情報隊』が、先遣隊として、現地に派遣され、ヒューミントで、情報収集にあたる
素人愚考ですみませんが、ヒューミントは信頼関係を築くのが重要だと思います。必要時に始めてもどうなのでしょうか。
と言っても、その組織を構築しておくなどということもできないでしょうし。
大企業や商社などを利用しても良いかもしれませんが、企業が簡単に配置換えする昨今では成果が出にくいでしょうし、、
かといって、大使館や日本の報道が現地の新聞やテレビラジオ等からの情報を収集しているかと言えば、それはあやしいです、、というかやってないのが通常状態かと。
仰る通り
>日本の情報戦力の現状・・・かなりお寒い
のであり、しかも今後も永遠にその状態が続きそうなのが見えます。
日本人の大半が「陰謀説」を鼻で笑うお国柄なので、日本人が情報の重要性を理解することは半永久的に無理なのではないかと思います。
少なくとも、その狭小な「概念」を捨て去ることを知らない限りは、どんな情報を得ようとも、有用な分析は不可能でしょうし。
この日本文化における情報の価値観と固定概念などを研究してくれるかたが出てくればそれも変わるかも、
などと独断と偏見の素人愚考を失礼いたしました。

 nandeyanen | 2009.07.07 19:35

unimaroさん コメントありがとうございます。
戦後、日本の情報戦力は低下し続けているようですが、遡って調べてみると、戦中には「陸軍中野学校」など情報将校の育成に力を入れていたようで、世界各国で民族独立運動を支援するなど、騙し合いではなく、信頼関係構築路線で活躍していたようです。
このあたりが、今後の日本の情報戦略上の突破口にならないか?と考えているところです。

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