2007年08月09日

原油枯渇説の論拠

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7/29「原油が枯渇する日」、8/9「世界石油価格指標WTIって何?」など、原油価格上昇問題、原油枯渇問題が取り上げられている。
原油枯渇が事実だとすれば、社会的な大問題である。
まず必要なことは、本当に原油が枯渇するのか否か、事実関係を冷静に検証することだろう。

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まずは、原油枯渇説の論拠を挙げる。以下『ピーク・オイル・パニック』(ジェレミー・レゲット著 作品社 2006年刊)の中から、訳者の一人田中優氏の日本語版解説より引用。
ピークオイル問題とは?

それまで「石油はあと30年もつ」といわれ、石油は枯渇するときが問題なのだと思っていた。しかし問題は、枯渇する30年先のことではなかった。伸びゆく石油需要に、供給が追いつかなくなるときに問題が発生するのだ。
採算に合うほどの大油田は、どこにでもあるものではない。ということは、岩石の並び方がわかれば、どこの地域になら存在し得るのか推定することができる。その地域を調査し、試掘してみることで油田は発見されていくことになる。その調査も、世界のすべての地域ですでに終えている。地質調査と、地震波と同様の振動を送り、その反射によって探索する方法で。したがって残念ながら、これから新たな巨大油田が未開の地から発見されるということはない。それが証拠に巨大油田は1970年までに発見済みであり、それ以降に発見された油田に巨大なものはない。それ以降発見された油田のサイズを年代順に並べると、きれいな下降線を描いており、ほぼ確実に今後もそうなっていく。完全に有限な資源なのだ。これがまず、まず第一の所与の事実だ。

釣鐘型を描く石油採掘量のカーブ

油田の原油の採掘量は、埋蔵量の最後の一滴まで毎年一定量の石油を産出しつづけ、一直線を描くものならば、それでもの計算通りに「あと30年もつ」ということができただろう。しかし油田からの石油採掘量は、釣鐘型を描くのだ。つまり、どのような油田でも、採掘開始当初は単位期間あたりの生産量は少なく、次第に大きくなって、埋蔵量のある程度の比率を採掘してしまうと、単位時間あたいの生産量は減りはじめる。この生産量の最大の点を「ピーク・オイル」という。
そして、油田内部の圧力によって自然に噴出してくる石油は多くはなく、通常、採掘することのできる石油量は油田の埋蔵量のたった35%程度だという(しかも、この時点ですでに「油田に海水を流し込む」などの方法を実施したうえでの数字だ)。その後は、コストに見合うなら「増進回収法」によってさらに5%ほど追加されるだけである。「蒸気や薬剤を油井に注入したり、石油の体積を増やすために二酸化炭素ガスや発泡性の炭酸水を注入したり、油井に空気を注入して着火させたりする手法」に加えて、「掘削プラットホームのあらゆる角度から穴を掘ることができる傾斜掘り」という手法によって。しかし、それでも半分以上は取り出すこともできずに、残されたままになる。この油田からの産油量が釣鐘型を描くということが、第二の所与の事実だ。

世界の石油需要を拡大させる誤ったデータ

にもかかわらず、石油の消費量は世界中で伸び続けている。もっと深刻なのは軍事にともなっての石油消費である。石油は消費されるように仕向けられ、さもなければ政府自らが莫大に消費しているのだ。
どうしてこんなことが起きているのだろうか。なにか別な可能性でもあると言うのだろうか。そこに登場するのが「非在来型の石油・天然ガス」であり、「統計のウソ」である。非在来型の石油は、確かに「タールサンド」「瀝青と原油」「オイルシェール」という形で存在し、「それらすべてを合計すると7兆バレル以上」になる。しかし地質学者として石油にたずさわってきた著者リゲットは、語られていない事実があると言う。それら非在来型の油田は、実際の採掘量としては大きなものにはなり得ず、コストが高く、しかも莫大な天然ガスと淡水の消費をともなうというのだ。
一方、世界で最も信頼されているBP社の石油統計には、「ここに示されている埋蔵量の合計は、必ずしも確認埋蔵量の決定に関する米国証券取引委員会の定義と指針に沿うものではなく、国別の確認埋蔵量に関するBP社の見解を代表するものでもない」と注意書きされ、「誠に遺憾ですが、BP社は、『世界エネルギー統計年鑑』のデータに関する問い合わせには応じることができません」と書かれている。このデータは独立した第三者によって検証されたデータなどではなく、各種の政府・企業公表の大本営発表データの寄せ集めであったのだ。
それでもデータに信頼性があるのならそれでもいい。2006年6月21日、クウェートの野党・民主フォーラム(KDF)のリーダー、アブドゥラ・アル・ニバリ前国会議員が、石油確認埋蔵量の「水増し」を認める発言をした。クウェートの場合、公式発表の約半分だったのではないかと見積もられている。世界はなんと、これだけで世界全体の4.5%もの石油を失ってしまったのだ。さらに疑問なのは、1985年から1990年にかけて、OPEC諸国が、自国の埋蔵確認量について、突然二倍に増やして申告していることだ。これらの数字は、「まだあるように見せたい」という政治的思惑が大きく働いたと見るしかない。同時期に、相次いで新たな油田が発見されたわけではないのだから。こうして石油は消費が促され、浪費が黙認される。しかしその根拠になっているデータは、善意に解釈して「不確実」、より実態に即して言えば「改ざん」されているのだ。

著者のジェレミー・レゲット氏は、イギリスや日本などの石油企業のコンサルタントとして、世界各国で石油探査をした経験を持つ。石油がどうして生まれ、どのように発見され、どのような手段で採掘されるのか、という地質学的・技術的観点からピーク・オイル問題を論じており、一定の説得力がある。
一方で、原油は枯渇しないという説は、どのようなものなのだろうか?
(本郷)

List    投稿者 hongou | 2007-08-09 | Posted in 06.経済破局の行方9 Comments » 

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コメント9件

 NS | 2007.09.20 19:43

いろんな陰謀説より腑に落ちる。

 yuji | 2007.09.20 22:59

安倍辞任を受けた今回の自民党総裁選で、当初は麻生氏有利との憶測が飛んでいまたが、一気に福田擁立に動いたのは小泉純一郎が福田支持に動いたからのようですね。
麻生ー与謝野ラインでは、平沼氏が自民党に無条件で復帰して郵政民営化の実現が危うくなる可能性が出てくるという理由です。
確かに、郵政民営化法は可決されましたが運営を含めて詳細部分が決まっているわけではないので、民主党あたりとタッグを組まれると法案そのものが潰される可能性があるということでしょうか。
現在、その方向性に8つもの派閥が乗っかり福田氏支持を表明しているというのは、何か以前の派閥政治に逆戻りしたようですね。何れにせよ、危機感を感じずにはいられません。

 野路菊 | 2007.09.20 23:20

結局、小泉政権の継承を掲げて、官邸主導型の組閣はしたが、失敗に終わり、参院選敗北後、旧来の派閥均衡型の自民党に少し戻した組閣したものの、途端に執行部、アメリカ、官僚の抵抗に合い、安倍氏は、行き場をなくして自滅してしまったという事なのでしょう。ところが、この派閥均衡型の流れが、一気に福田氏指示へ動く。なるほど、自民党内の政局の流れから察するに合点がいきます。しかしながら、福田氏は今や最大派閥の旧森派に属している。これは、結局、またアメリカべったりになるのでしょうか?う~ん。

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