BRICs(中・露・印・伯)の経済動向~世界のパワーバランスは?
今回の世界経済危機でアメリカの覇権力の衰退は時間の問題となっており、その後の世界の動向は、他の大国である中国・ロシア・インドが鍵を握っている。
世界のパワーバランスを考える上で、軍事面・経済面両方のアプローチがあるが、軍事力を規定するのは生産力と技術力であり、まずはそれを支える経済問題について、中国・ロシア・インド・ブラジル(所謂BRICs)の状況をわかりやすくまとめてあるサイトがあったので紹介したい。
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以下は、毎月BRICsの経済動向を調査発表しているゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのBRICsマンスリーレポートから引用する。
「2009/05/07 BRICsのリバランシング」より
BRICsのリバランシング
今世紀初めから世界の不均衡は着実に拡大してきたが、2006~07年から遂に縮小し始めた。米国の対外赤字と中国の対外黒字がそれを如実に示している。世界的不均衡の修正をもたらしているのは国内投資/貯蓄バランスの改善だ。世界の対外黒字に占める中国の比率は、他の地域の対外黒字の縮小や赤字転換によって上昇するだろう。これは、為替等の資産価格における中国の影響増大を示唆する。
Global Economics Weekly 09/16‘Two GiantsStep in Closer’でも世界的不均衡の規模と構造について記した世界的不均衡は2000年初めから着実に拡大してきたが2006~07年から遂に縮小し始めた。不均衡の最たるものは米国の対外赤字と中国の対外黒字だった。そして今、不均衡の縮小をリードしているのも米国の経常赤字と中国の経常黒字だ。家計セクターを中心とする国内投資/貯蓄バランスの改善に支えられるなら、世界的不均衡の修正はさらに持続的なものになるだろう。
BRICsに関して言えば、中国を除き対外黒字は近年との相対で大幅に縮小するか赤字に転落するだろう。BRICsの黒字を支えてきた中国の経常黒字は、世界的不均衡の是正の一環で絶対ベースでは縮小するだろう。しかし、世界の対外黒字に占める中国の比率は2000 年のわずか7 % から2009 ~ 10 年の60%へ上昇するだろう。こうした世界的不均衡の国別構成は、中国が膨大な対外黒字をどのようにリサイクルするかが為替等の資産価格に大きな影響をもたらすことを意味する。
家計の投資/貯蓄バランスは中国とインドが高く…
■BRICsの中で家計の投資/貯蓄バランス(貯蓄-投資)が高いのは中国とインドだ。中国では、高水準の個人貯蓄が投資/貯蓄バランス、延いては対外黒字を支える重要な背景になっている。家計は30%近い貯蓄率を背景に10~15%の貯蓄過剰で推移している。加えて、一時10%を上回った企業セクターの貯蓄不足も縮小に向かっている。
Government:政府 Household:家計 Corporate sector:企業セクター Overseas:対外収支
GS F’cast:GS予測
■インドは過去数十年、家計の貯蓄過剰がゆっくりと着実に拡大してきた。しかし、過去数年で企業セクターの貯蓄不足が急激に拡大している。2009年は政府の投資/貯蓄バランスも大幅な悪化が見込まれる。
■予想以上に強い国内需要と財政拡張、家計貯蓄率の穏やかな低下で、中国の対外黒字は当社の現在の予想以上に縮小する恐れがある。個人消費がGDPに占める比率は35%と他の主要よりずっと低いが、個人貯蓄率の低下で徐々に世界水準の60~70%に向け上昇するだろう。度合いは弱いが、インドでも同様の動きが予想される。
…ブラジルとロシアは相対的に低い
■家計の投資/貯蓄バランスがGDPの10%を越す中国やインドと違って、近年のロシアとブラジルは1%に満たない。ブラジルでは、国内貯蓄バランスの低さは政府の財政政策が原因だ。税負担はGDPの35%を越すのに公共投資は低水準だ(国有企業を含めてGDPの4%)。つまり膨大な個人所得(と個人貯蓄)が公共消費と移転の資金に回されている。ブラジル企業の貯蓄バランスはBRICsの中で最も高く、2000年のGDP比0.5%から2006年の5.4%へ着実に上昇している。
■財政収支の悪化が原因で、中国を除くBRICsの対外黒字は近年との相対で縮小するか赤字に転じている。原油などの資源価格トレンドが原因で財政収支が1999年以来はじめて赤字になるのを受けて、ロシアの経常黒字は縮小するだろう。
■同様に、ブラジルとインドも財政収支の悪化が投資/貯蓄の不均衡をもたらし対外バランスを悪化させるとみられる。
世界需要の後退がBRICsの経常収支を縮小させる
■2009年は世界の需要が後退し(2007年の前年比4.7%から2009年は-0.2%へ)各地の経常収支に影響を与えるだろう。日本の経常黒字は急激に縮小しており、欧州は赤字転落が見込まれる。調整の一環でBRICs全体の経常黒字/GDP比も低下しており、2010年を通じて低迷が予想される。
■BRICsの中でブラジルは、貿易黒字にもかかわらず経常収支は2008年に赤字に転落した。インドは地方の消費と政府のインフラ支出が主因で、国内需要の伸びが海外需要の伸びを上回るだろう。ロシアもエネルギー価格が反発しないかぎり赤字転落が見込まれる。
■米国の対外赤字は縮小し、中国の貿易黒字も国内投資/貯蓄バランスの回復(個人貯蓄率の低下)と共に縮小し始めている。こうしたトレンドにより、世界的不均衡はより維持可能なものになっていくだろう。
世界の資金フローにおける中国の影響力が増大するだろう
■今世紀に入ってからの世界的不均衡の着実な拡大―今回の金融危機の遠因、少なくとも増幅要因―は2006~07年から縮小に転じている。世界的不均衡の両極に立っていたのは米国の対外赤字と中国の対外黒字だった。そして今、不均衡の縮小をリードしているのも米国の経常赤字と中国の経常黒字だ。
■世界的不均衡が縮小するようになると対外黒字の拡大トレンドは少数の国に集中する公算が大きい。BRICsの広義基礎収支の黒字はピークだった
2007年の8,530億ドルに対して2009年は7,440億ドルと予想される。BRICsの黒字を支えてきた中国の経常黒字は、世界的不均衡是正の一環で絶対ベースでは縮小するだろう。しかし相対的な比重はむしろ上昇するだろう。世界の対外黒字に占める中国の比率は2000年のわずか7%から2009~10年は60%へ上昇するとみられる。対外赤字で米国が占める比率は2003年の67%から41%程度へ低下するだろう。
■こうした世界的不均衡の国別構成は、中国が膨大な対外黒字をどのようにリサイクルするかの選択が為替等の資産価格に大きな影響をもたらすことを意味する。G7を取り巻く国際協調のフレームワークは根本から覆るだろう。
BRICsの景気指標
中国の2009年第1四半期の実質GDP成長率は前年比6.1%と第4四半期の6.8%を下回り、1992年に四半期データが始まって以来の最低だった。
ブラジルではCOPOMが3月のミーティングでコンセンサスどおり政策金利を150bp引き下げた。その後、発表された議事録はハト派的なトーンだった。
BRICsすべての通貨がドルに対して上げた。上げ幅はブラジル・レアルが最大(2.4%)で人民元が最低(0.1%)だった。
中国(上海A株)を除きBRICsは月初からプラスのリターンを上げた。リターンが最も高いのはロシア(13%)だった。
以上まとめると、
・BRICsの中でも中国・インドは(貯蓄-投資)が高く、ロシア・ブラジルは低い。
・中国・インドも今後は、貯蓄率が下がり、個人消費upすると予測されている。
・ブラジルは、税金高く、公共投資が少ないため、個人貯蓄は低いが、なぜか企業貯蓄率はBRICsの中でも一番高い。
・今後も経常黒字を維持するのは、中国だけと予想されており、ロシアは資源価格が上昇しない限り、赤字転落は免れない。
・中国の対外黒字のマネーが、どこに流れるかによって、G7を取り巻く国際協調のフレームワークが根本から覆ると目されている。
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コメント5件
米流時評 | 2009.09.19 21:54
パワーシフト後編・親米から親中へ 急変する日本と東アジア
||| 後編・急変する日本と東アジア |||
親米から親中へ。保守政権の戦後体制終焉で急変する、日本と近隣諸国の勢力地図
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匿名 | 2009.09.17 20:26
>社会全体が活力を失っていくということ
を少し具体的に言うと、現在の福祉制度が持たない、ということでしょう。年々悪くなる福祉の状況をそれでも支えていかねばならないのだとしたら、活力など出る訳が有りません。
「楢山節考」の世界が復活するようなものですが、これとて受け入れてしまえば差ほど苦にはならないのかもしれません。
因みに私の父も老人ホームで寝たきりですが、費用は全て本人がこれまで受給してきた年金の蓄えです。年金制度は既に破綻していますので、後の世代が父のように年金で費用を払える可能性は有りません。
そのときは山に行くしか無いのかもしれません。