「米住宅金融支援法」~FRBと財務省が無制限にドルと米国債を発行できる?
アメリカ政府系住宅金融会社(ファニーメイとフレディマック)をアメリカ財務省とFRBは、どのようにして救済しようとしているのか?
どうも、議会の制限なしに、アメリカ財務省とFRBが無制限に米国債とドル紙幣を発行し、ファニーメイ債とフレディマック債と米国債を交換するというものらしい。
『投資小僧の金相場日記~世界恐慌に備えて』から引用。
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ついに来るべき時が来たと感じます。8日早朝に米政府が米政府系住宅金融会社2社に公的資金注入することが発表されます。ついに米政府は世界恐慌という名のパンドラの箱を開けよとしています。
なぜ、今日まで米政府は政府系住宅金融大手の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社に公的資金注入をしなかったのか?理由は、公的資金注入するお金が1ドルもないからです。それでは、どうやって資金を調達するか?ドルと米国債を刷り、米国債で資金注入をするわけです。つまり、今アメリカがやろうとしていることは不良債権である米住宅ローン債券を米国債に置き換えようとしているわけです。借金を返すために政府保証をつけてまた借金するわけですから、自転車操業と一緒。そして、無尽蔵な米国債の発行は、米国債とドルの暴落につながり、株暴落、金暴騰につながるわけです。米政府は十分それをわかっているので今日まで公的資金注入はしないと言い続けてきたのです。しかし、そうは言っていられない深刻な状況であるために決断したと思えます。
米議会は7月26日、政府系住宅金融会社2社に対してFRBの監視権限を与える決議をした。これは、米住宅金融支援法と呼ばれるもので、内容は540兆円近くの借金を合法的に踏み倒す恐ろしいものになっています。これに対してアメリカ政府のロン・ポール議員がネット上で住宅法案を批判しています。英語のわかる方は下記載の映像をぜひ見てください。
内容を簡単にまとめると、「FRBが政府系住宅金融会社2社に対して行われる緊急融資枠は無制限となっている。つまり、必要に応じて無尽蔵に米財務省の権限で米国債と米ドルを刷れるわけです。そして、買い手がいないファニーメイ債券とフレディマック債券は米国債と交換される」という法案に対しての批判となっています。公的資金注入は、インフレを加速させ、ドル暴落を引き起こすとロン・ポール氏ははっきりと述べています。
今、アメリカがやろうとしていることは、ぜいたくな暮らしをした多重債務者であるアメリカ国民の借金を全てチャラにしてアメリカ国民を助け、その借金を米国債に置き換え、他の国にその米国債を引き取らせようとしているのです。ドル暴落、米国債暴落につながる行為であり、通貨切り下げの宣言をすればアメリカの借金は0になり、他の国が被害を被ることになるわけです。つまり、完全に借金を踏み倒すつもりでいるように感じます。おそらく、今回の決定でどの国も大量の米国債を持っているため、中央銀行レベルで金買いが加速すると思われます。もはや、円の現金と金をもつことが唯一の資産防衛になると思えます。すでに日本の金融機関のサブプライム被害が少ないこと(農林中央金庫は5.5兆、三菱UFJ銀行は3.3兆、日本生命は2.6兆円の米住宅ローン債券をもっているので危ない)と将来性を見て各国の中央銀行が外貨準備金に対する円の比率を高めてきています。
ロン・ポール議員による「米住宅金融支援法」の要点は以下。『恐慌前夜』(副島隆彦著 祥伝社)より引用。
1.当初FRBは、今後の法案では25億ドルの緊急融資枠(ライン・オブ・クレジット)を財務省に与えるとされていた。ところが出てきた法案では数字がなくなっていた。つまり「無制限」ということになる。
2.議会が資金の供給を決めるのではなく、これからは財務省が決めることになる。
3.アメリカの国家負債の天井はさらに膨れあがり、(単年度で)8000億ドル(80兆円)になる。
4.今や誰も欲しがらないファニー債とフレディ債と、アメリカ国債との交換が行われることになる。
5.この政策の遂行は、さらなるアメリカのインフレ傾向を悪化させる。物価が上昇し、ドルの価値の下落がさらに進行する。
6.住宅ローン業界で働く人々の指紋登録が行われる。
7.アメリカ国民がクレジット・カードでやりとりした売買記録は、すべてIRS(米国歳入局。アメリカの国税庁)に報告されることになる。
ロン・ポール議員によれば、今回の法案はポールソン財務長官にとって、議会が夏の休暇に入る前にどうしても成立させておかなければならなかったもののようである。ブッシュ政権が終わってオバマ政権になった時に、この法案に規定されている「オープン・エンド」(無制限な融資枠)の巨額な資金が金融市場に突っ込まれることで、アメリカの大恐慌入りを防ごうとするものだ。
ところが、このシナリオ通りに進むと、市場にドルと米国債が溢れかえることになり、それがドルと米国債の暴落の引き金となるのではないか。
(本郷猛)
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コメント2件
大車輪 | 2008.12.09 20:29
逆境こそチャンスである。
逆境とは新たな状況変化であり、その状況に適応すべく可能性を探していく。当たり前といえば当たり前のことなんですよね。
本文に出てきたカラオケ屋さんも特別なことをしている訳じゃなく、接客業の原点に立ち戻ったって事ですよね。
アメリカによる覇権の安楽死へ、ほか個人的妄想を徒然に。
金融業界のみならず自動車産業にも公的な支援を本格化させるアメリカ政府。じゃぶじゃぶ注がれるお金の元はといえば、日中を中心とした海外所有の米国債っ…