2013年11月18日

米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?3~金融市場は実体経済(一般市場)とは無縁である

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▲『株トレーダー瞬』は株式投資を題材にしたアドベンチャーゲーム。
さまざまな情報から株価の推移を読み取りながら、ライバルたちと”トレードバトル”と呼ばれる株取引で戦うのだ。
これはバーチャル世界の話だが、現実の金融市場も実体経済(一般市場)とは無縁である。その意味では金融市場もバーチャルの世界なのかもしれない。
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米国債デフォルトによって金貸しは何を目論んでいるのか?
『ヤスの備忘録』「これからアメリカはどうなってしまうのか?」)が提起しているシナリオは、米国債デフォルト→米国債が暴落しドル紙幣が紙クズ化→ハイパーインフレで減価した資産を、金貸しが金(ゴールド)を裏づけ新紙幣(ペトロドル)でもって買い占め、金貸し独裁的な社会主義体制を構築するというものである。
しかし、「国債が暴落しても、ハイパーインフレにはならない」で提起されたように、消費欠乏が衰弱し世界的に生産力が有り余っている現代では、ハイパーインフレは起こらない(金貸しは食糧と原油価格を5倍に吊り上げるので、一時的に物価は2倍に高騰するが、一年もすれば元に戻るだろう)。
また、ハイパーインフレによって大暴動が広がり社会秩序が崩壊することは、金貸しにとっても危険極まりない。
そこで提起した仮説が「国債を暴落させて国の借金を減らす軟着陸説」である。
すなわち、金貸しがデフォルトによって暴落させた国債を、中銀が金を裏づけとした新紙幣で買い取った上で、買い取った時価と同額の新国債に交換することで国の借金を減らす(国の借金を銀行に移転する)という目論みである。
また、『ヤスの備忘録』「これからアメリカはどうなってしまうのか?」)では、「軍産複合体や金融界の支配エリートは、米国債デフォルトを契機とするハイパーインフレで大幅に減価した米国内の資産を独占的に買い占める」とされているが、暴落するのは国債をはじめとする金融商品のみである。例えば、不動産資産が暴落することは100%ありえない。その理由は後述する。
ここで、「国債をはじめとする金融商品が暴落すると、実体経済に大きな影響があるのでは?」という疑問を感じる読者もいるだろう。
しかし、金融市場に固有のカラクリがあることを忘れてはならない。
国が借金する際には、国家から中銀or銀行に国債証券が発行されるが、中銀から銀行への貸付金はコンピューター上で数字が移動するだけである。この銀行への資本金(中銀の資産)とバランスする中銀の負債に計上されるのが紙幣であるが、実際に紙幣が印刷されるわけではなく、これも帳簿上の操作にすぎない。
つまり、これまで大量に印刷されてきたのは、中銀の紙幣ではなく国家の国債証書である。
こうして’70年以降、国債発行によって人工的に水膨れさせたマネーは、専ら中銀と銀行のバランスシートを水膨れさせてゆくだけだということであり、その人工的なマネーの流れは(国債発行前の)実体経済とは無縁だったということである。
つまり大きく見れば、金融市場は実体経済(一般市場)とは無縁なのである。
予想される軟着陸路線でも、その国債が1/10に暴落して「正常」に戻るだけであり、金融市場の中で数字が動くだけ(中央銀行と銀行のバランスシートの数字が一桁増えるだけ)で、実体経済には影響しない。
これが国債が暴落しても実体経済はハイパーインフレなどの大混乱にはならないということのもう一つの原理論上の論拠である。
「経済指標指数グラフ」を見ていただければわかるが、
実際、’13年段階で原油価格は’72年値の10倍、金価格は5倍にまで高騰しているが、これは原油・金の市場規模が小さいが故に、金貸しが買占めによって価格操作することが可能だからである。同じく、株式市場も一部の金融市場の住人だけが参加する閉じられた市場である。だからこそ、金貸しの株価操作によって米の株価は’65~’84年の20年平均の4倍、日本の株価も2倍という高値を維持し続けることができた。
それに対して、大衆が参加する一般市場は規模が桁違いに大きく、金貸しと云えども価格操作はできない。例えば、不動産市場においては日本の地価はバブル期をピークに下落し続け、’65~’84年の20年平均に対して現在は1倍にまで下がっている。
このことも、金融市場と一般市場は無関係であって、債権市場や株式市場が暴落しても実体経済には根本的な影響がないことの傍証であろう。
(もちろん、株が上がれば、実態経済に影響を及ぼすが、それは例えば物価を2倍に押し上げるような、経済に対する根本的な影響ではない。)

List    投稿者 staff | 2013-11-18 | Posted in 06.経済破局の行方No Comments » 

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