「ウォールストリート;恐怖の8日間」
著者:吉田繁治さん「ウォールストリート;恐怖の8日間」の記事とその記事を引用したるいネットの秀作投稿を紹介します。
吉田繁治さん
「ウォールストリート;恐怖の8日間」
以下るいネット
ウォールストリート発;世界の損失額その1
ウォールストリート発;世界の損失額その2
ウォールストリート発;世界の損失額その3
ウォールストリート発;世界の損失額その4
世界金融危機の現在状況~「ウォールストリート;恐怖の8日間」より(1)当面の国債発行の手順
世界金融危機の現在状況~「ウォールストリート;恐怖の8日間」より(2)米国債は単年228兆必要
世界金融恐慌が叫ばれる今、欧米政府や中央銀行の緊急対策の後も一時的反発はあれど、その後の株の暴落は、小手先の対策では最早解決しない、底無しの様相を示しています。
記事では今回の世界金融恐慌の発信元である欧米を中心とする世界の「損失額」に目処をつけ、今後の推移と、経済を下記の問題に分けて予測、分析されています。
本稿では、政府系エコノミストやIMFが言っている損失の数倍の、金融機関の損害を想定しています。
1.4種の巨額損に、見当がついていないという問題
2.ヘッジファンドには解約が殺到している
3.14か月の経緯
4.米欧の政府・中央銀行の対策
5.中央銀行はどういった形で、金融機関に、資金供給を行うのか?
6.問題になるのは、米国経済の信用
7.米欧の資産価格の下落
8.重要な事実
本ブログでは特にるいネットの投稿に紹介されていない「7.米欧の資産価格の下落」を全文、引用紹介します。
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■7.米欧の資産価格の下落
▼短期では想定ゼロサムだが・・・
株や不動産価格(資産価格)の下落は、一時的な相対(あいたい)取引では、想定でゼロサムです。
たとえば1500円だった株を1000円で売った人と、買った人がいる。1000円で売ったAさんは、500円の損失を確定しています。他方1000円で買ったBさんは、1500円だったものを1000円で買ったので、500円の将来利益の可能性があるように思えます。
Aさんの確定損500円+Bさんの予想利益500円=想定ゼロサム
こうした、資産取引でのゼロサムが成立するのは、株価が上がったり下がったりする、普通の時期です。
▼2007年8月以後の、不動産・株の下落はみんなの損
今回のように、長期で全面的に下げるときは、株を売っていない多数派も、巨額の含み損を抱えます。
ここ1年の、世界の株の、半分の価格への崩落で失われた3000兆円は、株を売った人・買った人・保有している人・金融機関・ファンドに、共通する損になっています。新興国の株は、米欧の投資銀行やファンドがその過半を持っています。
この損は、米国の住宅、欧州の住宅でも、同じです。米国では、2009年にかけ不動産で1200兆円、欧州でも1200兆円の損が想定できます。
●米欧の合計の損は、株価で3000兆円、不動産で2400兆円です。合計5400兆円です。米欧のGDP約3000兆円の、1.8年分に相当します。
●日本のバブル崩壊では、株の時価総額が600兆円から300兆円にまで下げ、地価は2500兆円から1500兆円に1000兆円下げました。
合計で1300兆円の、資産の損害でした。日本のGDPが500兆円ですから、その2.6年分でした。
【結論】
今回の、米欧の不動産と株バブルの崩壊の規模は、日本のバブル崩壊の規模に対し、70%くらいと見ていいでしょう。
最終的な資本注入で、米欧の金融機関は、国有化され、あるいは大統合されます。投機の先兵だったヘッジファンドは、元本が100兆円と半分に減ります。
原油・天然ガスなどのエネルギーや、金属価格と穀物(国際コモディティ)は、(米国、イスラエル、あるいはロシアが戦争を起こさない限り)下げます。
●以上のように、各国政府が国債を発行し、中央銀行がそれを買い受けて、青天井で必要なマネーを刷るため、1929年~1933年のような、大恐慌は起こりません。
1929年の大恐慌では、米国のGDP(生産・流通活動)は30%も減り、失業は25%になりました。こうしたことは、今回は、起こらない。
●起こるのは、まずは、米ドルの崩落です。ユーロも下げる。そして、米国を輸出先とする中国や日本の、商品輸出経済の低迷です。
円や元は、米ドルの協調買いをやめれば、即刻に、上げます。
●そして、今後数年(おそらく3年)の世界は、過剰な生産力をかかえ、商品価格の下落(デフレ)になるでしょう。米欧の金融機関が自己資本比率に問題を抱えるため、融資力が縮小するからです。
【波乱】
波乱の要素は、$62兆(6200兆円)のCDS(債務保証険)の清算価値が、いくらになるかです。
CDSの契約では、相手の金融機関が破産し、政府資本が入れば、清算しなければならないという条項があるからです。
各国の政府は、今、CDSの想定損には、目をつぶっています。誰も、計算ができないからです。これがどう決着するか、今はまだ、不明です。
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