2013年11月20日

米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?4~金貸しの存在基盤(国家からの収奪⇒借金経済)の崩壊

「米国債デフォルト後の世界経済はどうなる?2~国債を暴落させて国の借金を減らす軟着陸説」で提起した、金貸しの目論見は次の通りである。
デフォルトによって暴落させた国債を、中銀が金を裏づけとした新紙幣で買い取った上で、買い取った時価と同額の新国債に交換することで国の借金を減らす(国の借金を銀行に移転する)という目論みである。
これは金貸しの延命策に他ならないが、なぜ、金貸しはここまで追い詰められたのであろうか?
今回は金貸しの存在基盤とその崩壊過程を歴史的に明らかにする。

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【1】金貸し支配の中核戦略は、国家を利用し、かつ国家から収奪することである。
国家の力をそぎ落としつつ、同時にボロ儲けできる最も有効な手段が戦争である。
戦争するには莫大(かつ高利益率の)軍事費がかかるからであるが、戦争まで至らなくとも、戦争の危機を煽るだけで軍需が拡大し金貸しは儲かる。
この仕掛けは、金貸しがローマ法王をけしかけて行わせた十字軍遠征に始まっている。十字軍に参戦した王侯貴族や騎士たちは軍備を整えるために多額の借金を抱える羽目になった。こうして国家勢力の衰弱と金貸し自身の蓄財と、略奪財と軍需による市場拡大という、全ての目的を金貸しは同時に達成したのである。
幕末の薩長の倒幕戦争も日露戦争も、ロスチャイルドからの支援or借金によって行われたものである。ロスチャイルドが薩長や日本を支援した狙いは、幕府やロマノフ王朝という強力な国家を衰弱させることである。実際、幕府は倒れ、日露戦争で疲弊したロマノフ王朝はロシア革命によって瓦解した。
20世紀の第一次・第二次世界大戦から戦後の東西冷戦に至るまで、全て同じ構造である。
もう一つ、国家の力をそぎ落とす手段が革命を起こすことである。
これはすぐさま儲かるわけではないが、金貸しに都合のよい政権を作り上げることができるので後々、必ず儲かる。
その典型がフランス革命である。そして、明治維新、ロシア革命、中共革命から現代に至ってもエジプトやリビアの民主化運動と、金貸しは同じ手口を繰り返している。
そこでは、幕府には仏ロスチャイルドが、薩長には英ロスチャイルドが金を貸したように、対立する両勢力をけしかけ金を貸すことによって、どちらが勝っても金貸しは必ず儲かるというのが常套手段である。そのようにして金貸しは世界中の国家の支配権力を握ってきた。
【2】そして、国家の財を収奪する、その最終形態がイングランド銀行に始まる中央銀行制度である。
中央銀行とは国家機関ではなく民間企業である。とりわけ米の中央銀行FRBは100%金貸しが出資する完全な私企業である。一私企業である中央銀行が紙幣発行権(=無から有を生み出す特権)を独占し、紙幣を刷って国家に貸付けるだけで金貸しは濡れ手に粟の莫大な利息を手に入れてきた。
これは国家の借金が増えるほど金貸しが儲かるという打ち出の小槌である。そして、金貸しにそそのかされて国家は借金を積み重ねてきた。
それでも’70年までは市場拡大に伴って税収が増加したので、国家の借金が問題化することはなかった。
ところが’70年頃、先進国ではほぼ豊かさが実現され、飢餓の圧力が消滅した。すると、たちまち私権圧力が衰弱してゆく。そうなると、これまで、私権の強制圧力によって追い立てた上で利便性や快美性を囃し立て、過剰刺激によって水膨れさせてきた物的欠乏は、衰弱してゆかざるを得ない。
それは、市場の縮小を意味する。
市場を支配してきた金貸し勢力は、存亡の危機に陥り、それ以来40年間、今日まで何の打開策も見出せないまま、危機感に駆られて暴走し続けてきた。

物的欠乏の衰弱というこの事態を受けて、彼らが最初に打った手が、人々に改めて私権圧力を思い知らせるための、石油ショックという目くらましの猿芝居である。もちろん、そんなことで、物的欠乏の衰弱という根底的な地殻変動を止められる訳がない。
結局、彼らは、これまで常にそうしてきたように、国家を通じて資金を吸い上げ、延命を図るしか能がない。たとえ、それではこの大転換を押し止めることはできないと分かっていても、金貸しに出来ることはそれ以外にない。
彼らは、配下の中央銀行と政治家・官僚・マスコミに命じて、大量の国債を発行させ、その資金を市場に注入して、人工的な市場の拡大を図ったが、その結果、バブルの崩壊から底なしの金融危機に陥り、彼らの小細工は完全に破綻した。
彼らはこの40年間、学者や官僚やマスコミを動員して、経済成長=市場拡大を装ってきたが、騙されてはならない。例えば日本の場合、借金して作った1000兆円もの資金を市場に流し込んできたが、毎年のGDPからこの1000兆円を差し引けば、実態の経済はマイナス成長となる。つまり、市場は豊かさの実現によって縮小するしかなくなっていたのである。
その結果、今や世界中のどの国もこれ以上借金を増やすことができない限界に達している。金貸しの最大の収益源が絶たれつつあるということであり、これが現在、金貸しが焦りに焦って暴走を重ねている原因である。
しかし、金貸しがどんな手を打とうとも、この仕組みは崩壊するしかない。言い換えれば、金貸しは国家の財の寄生虫にすぎないのであって、宿主を絞り尽くして国家が倒れてしまえば、金貸しも共倒れするしかないのである。
追い詰められた金貸し勢力の最後の延命策が、「国債を暴落させて国の借金を減らす軟着陸路線」である。
すなわち、デフォルトによって暴落させた国債を、中銀が金を裏づけとした新紙幣で買い取った上で、買い取った時価と同額の新国債に交換することで国の借金を減らす(国の借金を銀行に移転する)という目論みである。
では、この目論見は金貸しの思惑通り成就するのだろうか?
仮に成就したとして、今後も金貸し支配は続くのか?
それは次の記事で扱います。

List    投稿者 staff | 2013-11-20 | Posted in 06.経済破局の行方No Comments » 

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