経済破局とは西洋文明の終焉⇒日本人の可能性
2009年08月20日の記事「吉田繁治氏の予測~デリバティブの価格崩壊による金融危機第3弾③」に、次のようなコメントをいただきました。
海外にいましたが、仕事で信頼できないということは非常に手間暇が増えることです。仕事を部下に依頼しても、ちゃんとできているか必ず確認しなければなりません。日本に帰ってきて、「ああ!!日本は仕事をするには天国だ」と感動しています。「信頼が基本の社会」と「嘘が基本の社会」では、比較さえできるものでは無くまったく違う次元のものであると思います。と言いつつも、もう日本の「信頼社会」は崩壊の最終過程になりつつありますが。
「信頼が基本の社会」と「嘘が基本の社会」を分かつものは何なのか?
そして、今後の可能性はどちらにあるのか?
いつも応援ありがとうございます。
『実現論』「私権文明を問い直す(東洋と西洋)」より引用する。
教科書が「人類の文明発祥の地」として教えるメソポタミア・エジプト・インド・中国は、全て掠奪闘争が繰り広げられた場所であり、それらの国家は、全て掠奪闘争の覇者によって作られた国家である。つまり、今日の「文明」は、全て掠奪闘争によって生み出された文明である。
この私権「文明」は、人類を含めて全ての生物がその中で育まれ、進化してきた本源集団(筆者註:原始共同体)を破壊した上に築かれている。しかも、自然の摂理から大きく逸脱したその私権原理そのものが、今や機能不全に陥り、人類滅亡の危機が迫ってきた。とすれば、本源集団を破壊して終ったことが、人類の最大の誤りであった可能性が高い。ところが、西洋と東洋では本源集団の破壊度に大きな差がある。従って、この「文明」を見直す上で、西洋と東洋の違いがかなり重要なテーマとして浮上してくる。
人類最初の掠奪闘争がイラン高原の白人(コーカソイド)遊牧部族によって引き起こされ、それがモンゴル高原の黄人(北方モンゴロイド)遊牧部族に伝播していったことは既に述べたが、両者はその前身も、掠奪闘争の在り様も大きく異なっていた。
コーカソイドはもとから狩猟部族でそれが遊牧に移行した人種であるが、北方モンゴロイドは、南方の平和な採集部族(南方モンゴロイド)が北方に移動して狩猟・遊牧に転じた人種である。乾燥期に入った頃、イラン高原にはもともと農耕・牧畜・遊牧などの諸部族が混在していた。しかも、イラン高原は急速に乾燥していったことにより、極めて深刻な食糧危機に陥った。従って、遊牧派生の邪心集団による掠奪闘争は極めて激しい容赦の無いものとなり、皆殺しが常態となる。従って、仲間を皆殺しにされて一人二人と生き残った者たちは憎悪と警戒心の塊となり、共認基盤を失って終ったことと相俟って、全面的にかつ強く自我収束する。そんな者たちが生き延びる為に寄せ集めの新たな掠奪集団を形成しては他部族を襲うという形で、数百年に亙って掠奪闘争が繰り返された。そんな生き残りの末裔が、西洋人である。それ故に、本源共認の基盤を根こそぎ解体して終った西洋人は、本源的な共認収束力≒集団収束力が極めて貧弱で、自我収束が極めて強い。しかし、自我だけでは共認を形成できない。そこで彼らは、専ら自我に基づく本源風の架空観念に収束し、架空観念で共認を形成する。
それに対して、モンゴル高原は見渡す限りの大草原であって、そこには同じ遊牧部族しかいない。加えて、イラン高原ほど乾燥が激しくない。従って、ここでは掠奪闘争というより覇権闘争の色彩が強く、皆殺しも発生したが、それより支配・服属という形が主流になる。従って、勝者はもちろん服属した氏族も、氏族集団としての本源性を強く残すことになる。東洋人は、概ねこの遊牧→掠奪の北方モンゴロイドが、採集→農耕の南方モンゴロイドを征服した混血であり、従って東洋人は小氏族(大家族)の本源性を色濃く残しており、西洋人ほど自我を肥大させていない。
この様な意識構造の違いは、夫々の思想の違いに典型的に現れている。同じ二六〇〇年前頃に、西洋ではユダヤ教(→その後キリスト教)、東洋では儒教が登場するが、西洋の観念信仰が自我に基づく極めて独善性・排他性の強い唯一絶対神を非現実世界に構築したのに対して、東洋の儒教は残された本源規範に基づく仁・義・信など、現実世界を導く関係規範に収束した。本源集団・本源共認を破壊して自我に収束した西洋人は、非現実の世界に失われた本源価値を(架空観念として)再構築するしかなく、かつそれが自我に基づくものであるが故に独善的・排他的な絶対観念(ex. 唯一絶対神)への思い込み信仰となるしかなかったのに対して、本源的集団と本源的共認が残存している東洋人の方は、本源規範を私権秩序と整合させることによって現実世界を律しようとした訳である。
本源集団を破壊した私権文明が滅亡の危機を迎えた今日、東洋人の心の底に残る本源集団性・本源共認性は、人類再生の基盤を成すものとして極めて重要になる。中でも、島国ゆえに一七〇〇年前まで掠奪闘争に巻き込まれることなく原始文明を発展させてきた日本人の心の底に残る本源的な共認体質は、極めて貴重である。もし、人類に絶滅を免れ得る資質が残されているとしたら、それは東洋人、とりわけ日本人の心の底に残された、類い稀なる縄文人的精神基盤なのではないだろうか。
このように本源集団(原始共同体)の破壊度・残存度によって、その民族性や思想までが規定される。
本源集団の残存度が高ければ(残存した歴史が長ければ)、その民族の集団性は高く「信頼が基本の社会」となる。一方、本源集団の破壊度が大きければ、その民族は警戒心から侵略性や私益性が大きくなる。要は人を心底から信頼することができないのである。これが「嘘が基本の社会」あるいは侵略国家の原点である。その最右翼が移民国家→人工国家アメリカであり、それに準ずるのがかつての覇権国家イギリスである。
ドル・米国債暴落→経済破局とは、本源集団・本源共認を根こそぎ破壊して作り上げられた西洋文明⇒市場社会の終焉を意味する。そして次代をリードするのは私権原理⇒市場原理ではなく、共認原理⇒本源集団性に立脚する民族になる。人類500万年を貫く統合原理は共認原理であり、本源集団を破壊した私権文明の歴史はわずか5000年(人類史の0.1%)にすぎない。私権文明、その最先端の西洋文明が終焉する以上、人類社会を統合する原理は共認原理しかないからだ。
参考「潮流1:共認原理と私権原理」
そしてドル・米国債の暴落→経済破局の混乱期において、何よりも求められることは社会秩序を維持することであるが、社会秩序を維持できるか否かもその国民の社会性⇒本源性(集団性や規範性)に規定される。そして、社会秩序を維持しえた民族にこそ、次代の世界をリードする資格がある。その最右翼にいるのが、本源性を色濃く残した日本人なのだと思う。
注)今や東洋人全てが本源的だとは言い難い。歴史的に出来上がった制度や観念によって左右されるファクターが大きい。例えば、中国は本源集団を残存したまま支配・服属によって巨大化した国であるが、覇権国家としての歴史が長いことと、それを「中華思想」によって正当化し続けてきたことによって、本源性は見る影もない。儒教もその祖孔子が、仁・義・信などの関係規範が破壊されていくのを嘆いて、それを復興させようとして創始したものだが、2600年経った現在、儒教を拠り所にしている中国人はどれだけいるのだろうか。実際、米中という二大覇権国家が経済破局が迫りつつある現在、結託しようとしているのは、西洋と東洋の旧覇権国家の最後の悪あがきなのかもしれない。
(本郷猛)
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コメント5件
atila | 2013.02.01 10:17
非常に客観的な資料参考になります。今日本と中国間で揉めている釣魚島に関するブログを探しているのですが存在しますか。有ればリンク先を連絡して頂ければ幸いです。
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