2007年03月25日

紙幣=銀行券の原点は、国家の借用証書(手形)


国家と市場の関係を考える上で、興味深い記事を見つけました。「Circulate Income~循環する通貨」というサイトです。紙幣=銀行券の 原点は、国家の借用証書(手形)であったらしい。

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①紙幣の原点は国の借金であり、国家が利息を払っていた。

英国の初期の銀行制度英国最初の紙幣はチャールズニ世治下の財務省手形でした。これは完全な不換紙幣で、法貨と定められたものの、あまり流通はしませんでした。1696年には財務省札に代わります。この紙幣は兌換券で、政府は兌換に充分な金貨や地金を維持しようと大いに努力しました。言い換えると本当の預り証貨幣でしたから、交換手段として広く受け入れられます。更にこの紙幣は政府の短期国債とみなされて、持ち主には実際に金利が支払われました。1707年、少し前に創設されたイングランド銀行にこの通貨の管理責任が委ねられましたが、銀行は独自の銀行券を流通させるほうが儲けが多いと気付くことになります。この銀行券は部分準備貨幣で、金利を支払うのではなく、金利を徴収するために発行されます。この結果、政府の紙幣はだんだんに姿を消して銀行券にとって代わられ、18世紀半ばには銀行券がイングランド唯一の紙幣になります。

②利息だけでなく金の裏づけがないと、この国家紙幣は紙切れとみなされ流通しなかったということ。それくらい国家には信用がなく、金策に窮していたのである。何でそんなに金が必要だったのか? 戦争である。

過重な税で英仏戦争や数々の内戦を戦って半世紀、英国の財政は疲弊していました。アウグスブルグ同盟戦争中の1693年、ウィリアム王は深刻な財源難に陥ります。その20年前にチャールズニ世は大勢の金細工師から借りていた100万ポンドの債務の不履行を宣言し、その結果、一万人の預金者が損害を蒙ることになります。この記憶がまだ生々しいものでしたので、当然ながら、人々は政府をリスクの低い投資先とは考えませんでした。増税も出来ず、借金も出来ないということで、議会は他の方策を必死で探しました。グロスクローズによれば、目的は「もっと理性的なコントロールのもとに通貨メカニズムを置くことではなく、増税や政府借り入れといった煩わしい方法以外に、無一文の政府の金銭的必要を満たす方法を探すこと」でした。

③戦費を賄うためにどうやって資金調達するか? そこで設立されたのがイングランド銀行。イングランド銀行が紙幣(銀行券)を発行し、その紙幣でもって国債を買うというスキーム。

パターソンとそのグループは政府の債券を喜んで買いましょうと申し出たのです。ただし、新しく無からひねり出されて、彼らに種々の特権を与える銀行券で購入できるなら、と。銀行は融資をする振りをしましたが、実は政府が使う通貨を「製造」したのでした。政府自身がそのようなことをすれば、その通貨が不換紙幣であることはすぐに見破られますから、戦費を支払おうとしても額面どおりの価値では受け取ってもらえないでしょう。しかし、銀行システムを通じて通貨を創出しますと、一般市民にはそのプロセスは見えません。新たに創出された紙幣は金貨の裏付けがあるそれまでの紙幣と見分けがつかず、一般市民は騙されます。国債を購入すると見せかけてこっそり通貨を製造する機械で、政治家が必要なときにはいつでもこの通貨製造機が動き出します。政治のサイエンティストにとってこんなにありがたい仕組みはなく、もう税金に頼る必要も、財務省の信用で資金を調達する必要もありません。それどころか、印刷機を回すよりももっと簡単でした。プロセスが市民には見えず、政治的なリスクがないからです。

④近世~近代の初期、ヨーロッパ国家は戦争によって市場拡大を目指したが、戦争するための資金調達スキームが、中央銀行による紙幣発行→国家への貸付だった(国家と市場の結託とも言える)。ところが、最初は紙幣=銀行券にも、現在のような絶対的な信用はなかったらしい。

当時はまだ銀行は完全な中央銀行ではなかったことを理解しておく必要があります。ロンドンその他の中心地では独占的に銀行券を発行することが認められていましたが、それらは法貨ではありませんでしたので、誰も使用を強制することは出来ませんでした。民間銀行が一部を金貨で裏付けている私的な部分準備貨幣に過ぎず、市民は受け取ることも拒否することも、割引して流通させることも自由でした。法貨の地位が与えられるのは1833年になってからのことです。一方議会は帝国内の他の多くの銀行にも認可を与えていましたが、例外なくどれも部分準備貨幣の発行から破綻し、預金者に損害を与える結果になります。しかし、政府はどこよりもイングランド銀行に便宜を図り、議会は何度も債務不履行から同行を救うことになります。

紙幣=銀行券も受け取り拒否や割引されていたことに注目すべき。紙幣=銀行券の正体は、国家への借金の借用証書(手形)にすぎないということ。庶民は最初はそのことをわかっており、国家が借金を踏み倒しかねないと思っていたから、受け取り拒否や割引していたのである。
現在は紙幣=銀行券は絶対的に信用されている。それは、国家が法制化や破綻した銀行を救済することによって、「最後は国家が自腹を切ってでも紙幣の価値を保証する(=絶対に借金を踏み倒さない)」という信用秩序を作り上げてきたからである。
国家にそれだけの信用があるのならば、今や国家紙幣に変えても何ら問題はないはずである。国家紙幣にしなかったのは、紙幣=銀行券の方が市場にとって都合がよかった(=国家が借金をすればするほど利息で儲かる)からなのだろう。(本郷)

List    投稿者 hongou | 2007-03-25 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本2 Comments » 

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コメント2件

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