小沢騒動に見る近代思想の大ペテン~③“市民に開く”の詭弁
このシリーズの最終回です 😀
小沢騒動は、検察とマスコミが、大事件であるかのように世間をあれだけ騒ぎ立て、検察が面子をかけて捜査した結果“不起訴”が確定した。
にもかかわらず、昨年5月に“司法に市民感覚を”という司法制度改革の一環で裁判員法施行と同時に施行された「改正検察審査会法による検察審査会」で“起訴相当”と結審され、検察とマスコミはまたも小沢騒動を繰り返している。
しかしながら、この「検察審査会」なるものの実態は、“申し立て人”をマスコミは報道せず、“審査員の選任方法”も“審査員が誰なのか”も“審査した内容”も非公開で、議決は“11人の審査員の無記名投票”である。
何から何まで非公開で、全く市民に開かれていなく、「司法に市民感覚を」の趣旨に全く則っていない。
そして、そもそも改正検察審査会法なるものも、マスコミを通じて注目を集めた裁判員法(の裁判員制度)の影で、世間ではしられずいつの間にか同時に施行されているところ事態おかしい。
つまり、この公にならない(架空の)市民団体と検察審査会によって、恣意的にいつでも誰でも起訴することも可能なのだ。これはまさに検察と国家権力の暴走ではないか。「司法に市民感覚を」というのは、その目的を達成するためのお題目に過ぎなかったのだ。
社会を統合する役割を担うはずの特権階級(司法・検察・マスコミなど)が,自分達に有利な制度(権益)を狙って暴走しているとしかいいようがない。
このシリーズの①と②で、小沢騒動の背後に、
特権階級(検察とマスコミ)が、「司法に市民感覚を」という言葉を建前に、検察審査会という制度を悪用し、自作自演で己の私的権益(私権)を目的として暴走していることを明らかにした。
それにしても、権力行使の目的を達成するためのお題目になっている「司法に市民感覚」とは何であろう?
「司法に市民感覚」という建前が通用するのは、背後に「市民に開く」ということは良いことという価値判断がある。そしてその価値判断を支える観念が『民主主義』という観念である。
確かに、政治や司法など社会統合の政が、密室のなかで一部の者の都合で決められていくのは、社会はみんなのために在る限り大きな問題であり、市民に情報を開いていくというのは正しいだろう。
しかしながら、ここまで見てきたように、これは一部の者が自分の都合で権力行使するための正当化観念としか使われていないことが明確になった。
権力行使の目的を達成するためのお題目になる「司法に市民感覚を←市民に開く←民主主義」という観念は、特権階級の暴走を正当化する言葉=欺瞞観念に過ぎないことを、今回の件は如実に示しているのではないだろうか。
なんで、「市民に開く←民主主義」は欺瞞観念になるのか?
このことは、【るいネット】の以下の構造認識が参考になる。
民主主義は、私権統合国家の核心部を、(全く実質を伴っていない、形式だけではあるが、)身分制から合議制に変えた。その意義は大きい。合議とは共認であり、国家は社会共認に従う存在となったのである。
だが、合議制になったにも拘わらず、なぜ国家→社会は根底から変わらないのか?
その答えは、既に明らかだろう。
確かに、国家は社会共認に従っている。しかしその社会共認は、全て支配共認なのである。支配共認とは、強制的に(否応無く)形成された「性権力」や「占有権力」、つまり権力そのものの共認であり、それを基盤にして、権力者=支配階級が己の権力や身分を正当化し、維持する為に形成された架空観念(欺瞞観念)の共認である。
人々は、その私権を共認し、自由な性=恋愛を共認し、市場拡大を共認し、自由や個人や権利を共認している。そうである限り、私権統合→性権力支配→市場拡大→権利拡大のパラダイムも変わらない。
西洋の民主主義は、権力によって否応無く支配共認に染脳されて終った民に主権を与えただけである。あくまでも支配共認の枠の中での合議、これも大掛かりなペテンの一つである。
国家は、私有・私的権益を目的とした法制(規範・制度・法律)の強制圧力によって統合された私権統合社会(権力統合体)であり、そうである限り、民主主義という観念は、私権を自己正当化するための『欺瞞観念』でしかない。
市民に開く(民主主義)というならば、4年に一度投票するだけの参政権や、誰も選択したことのない役人を作り出す官僚制度や、発信の場を独占するマスコミを排し、政治や司法そしてマスコミなどの社会統合の場(政の場)を、一部の者が独占するのではなく、万人が当事者として自ら参加し動かすことができる仕組みをゼロからつくることではないだろうか。
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コメント2件
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