2008年08月28日

天皇家の裏方に廻った強力氏族~葛城氏

2008年08月25日の拙稿「金貸しに狙われる皇室」に対して、次のようなコメントがあった。

皇室って、そんなに影響あるの?潜在的に、縄文気質を感じることはあるけれど、天皇を感じることはありません。いまや、「ただの人」というのが、正直な感想です。

しかし、日本の支配階級たちは、常に皇室を戴いてきた。源頼朝も、徳川家康も。市場社会化が始まった明治でも、さらには、敗戦後の占領軍であるマッカーサーでさえ、皇室を廃止することはせず、日本の象徴として奉った。
なんで、皇室を奉る必要があったのか? こんなことは日本だけである。世界中の私権国家では、武力闘争によって前王朝は打倒されるのが常識である。ここに日本の(支配階級の)特殊性の一つがあるはずだ。そういう問題意識で、しばらく、大和朝廷と皇統の起源問題を追いかけてみたい。
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①倭とは朝鮮半島南部のことである。
「謎の小説家・未来狂冗談(ミラクルジョウダン)氏のHP【葛城ミステリーと伊豆の国=伊都国(いとこく)説】」によると、
倭とは中国から見て、朝鮮半島南部の三国百済・新羅・任那のことを指すらしい。おそらく三国の前身馬韓・弁韓・辰韓の時代から、日本列島は倭の植民地(出張所)であったのだろう。朝鮮半島北部に高句麗が登場、南下して、高句麗対倭国連合(百済、新羅、任那)の争いになった。大和朝廷が度々援軍の要請を受け朝鮮に派兵したのは、任那が天皇や豪族たちの母国だったからである。
その後、発祥の地である任那は新羅によって追い詰められる一方。それに対して元植民地であった日本列島の方が、大和朝廷成立後は拡大可能性が広がる。その後、任那滅亡までに、本拠地である任那の王族の多くが日本列島に移って来た可能性が高い。
②朝鮮半島から日本列島に流入した部族は、大陸系と海洋系の二派に分かれる。
「謎の小説家・未来狂冗談(ミラクルジョウダン)氏のHP【葛城ミステリーと伊豆の国=伊都国(いとこく)説】」によると、
朝鮮半島南部の倭国(=百済、新羅、任那)は、民族的には中国北部から朝鮮半島と移動してきた大陸系部族と、おそらくは揚子江周辺の中国南部から黒潮に乗って朝鮮半島に流れ着いた海洋系部族に分かれるとされている。任那が加羅(から)と呼ばれていたことからと、任那は大陸系部族の国家であったと推測されている。
百済・新羅はそれぞれ大陸系?海洋系?
いずれにしても、日本列島には、両方の部族が流入してきたことは想像に難くない。
③天皇家の裏方に廻った葛城氏
「謎の小説家・未来狂冗談(ミラクルジョウダン)氏のHP【葛城ミステリーと伊豆の国=伊都国(いとこく)説】」によると、大陸発の加羅系部族の一つが和邇氏族(臣王)であり、宇佐岐氏族(神武朝)とそれを助けた葛城(御門)氏族は海洋系であるとされている。その葛城氏(賀茂族)は神武に服属したが、武力を持たず「神の威光で統治する」天皇家の武力的後援者であったと推測されている。
確かに『古事記』『日本書紀』(記紀)の記述にもこの説を裏づける逸話がかなりある。
記紀に出てくるヤタガラス=武角身(タケツノミ)はその代表であろう。武角身(タケツノミ)は、神武東征の際にその先導役となり、現在の大和葛城の高鴨神社に祀られている。武角身(タケツノミ)が葛城氏(賀茂族)であり、神武の支援に廻ったことが伺える。さらに武角身(タケツノミ)の父が、出雲大社に祀られる大国主(オオナムチ)である。彼も葛城氏(賀茂族)であり、天照大神に「国譲り」をしたのも彼である。
記紀が天武朝の皇統を正当化するために編纂されたのは一面の事実である。しかし、記紀の記述にも一面の事実が隠されているはずである。記紀の記述から伺えることは、葛城氏(賀茂族)が神武の裏方に廻って協力があってはじめて、神武東征→大和朝廷ができたということである。
だとしたら、なぜ葛城氏(賀茂族)は神武→天皇家を截てて自らは裏方に廻ったのであろうか?
私には、葛城氏のこの行動が、その後天皇を奉って自らが実権を握った頼朝~家康らの行動とダブって見える。日本の支配階級の特殊性の源流が葛城氏にあるのではないだろうか。
~続く
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2008-08-28 | Posted in 14.その他4 Comments » 

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コメント4件

 ホシノ | 2008.11.18 19:19

個人で、ブログを始めてみようかと意気込んでは見たものの、記事を3つ4つ書いたらもう息切れ。反応があると嬉しいが、それだけで多忙を縫って発信し続けるのは、そう簡単ではないと実感した。
 リレー式なら、参加者も多く反応もあるし、個人の負担も少ないので、それだけ、1つの記事の内容にエネルギーをかけられる。だから可能性を感じるのでしょうね。

 中年のおじさん | 2008.11.18 20:25

ネットの大きな魅力の一つは、多種多様な考え、気づかない事実が投稿される点です。
マスコミの特徴は、どれも同じ内容で同じ分析して同時に報道する事です。そして偏向している点です。これでは、情報操作されているといわれても仕方がない事ですね。
以上のことだけでもマスコミがネットに取って代わられるのは時間の問題と思います。

 のだおじさん | 2008.11.18 21:28

インターネットを利用している人が、人口の70%、約9000万人という数字には、正直驚きました。
既に、時代が大きく変わる基盤は整っていると言えるのでは。

 匿名 | 2008.11.19 19:50

ホシノさん、中年のおじさん、のだおじさん、コメントどうもありがとうございます。
のだおじさんが言われるように、ネットの利用率はすでに高く、特に若年世代では90%を超えています。
彼らが社会の主力になる時代(もうすぐですが)、ネットによる世論形成というのはきわめて現実的な話です。そのネットをリードする言説こそが次代の社会を形作っていくと言っても過言ではないと思います。

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