2006年11月04日

日本は30年以上も前から核政策を議論していた!

 北朝鮮の核実験・核宣言によって、にわかに日本の核武装論が高まっています。つい最近でも中川・麻生両大臣の「核保有はしないが、核に関する議論はすべき。」といった発言を皮切りに、TVやインターネットでも核に関する議論が世間を賑わせています
 しかし核政策に関する研究は、国民の知らないところですでに1960年代から政府と一部の研究者で内密に行われていた!という驚きの記事があったので紹介します

にほんブログ村 政治ブログへ


ジェラス・ゲイ
日本の核武装化をめぐる動き「日本の核政策に関する基礎的研究」
より

>冷戦さなかの1967年から約2年半にわたって、当時の佐藤内閣が日本の核武装の是非について、蝋山道雄上智大教授(当時、国際文化会館調査室長)をはじめ著名な国際政治学者、科学者ら十数人を集めて秘密研究をし、68年と70年の2回に分け報告書をまとめていた。朝日新聞が入手したこの研究報告書は、日本は(1)プルトニウム原爆の少量開発は可能(2)だが、核武装すれば周辺国の疑いを招き、外交的孤立は必至(3)わずかな核兵器で抑止力を維持するのは困難(4)財政負担も巨額(5)国民の支持が得にくい、などとして「核戦力は持てない」と明確に結論づけている。これは同政権が打ち出した非核3原則を理論的に裏づけたとみられ、佐藤栄作首相も内容を知っていたと関係者は証言している。
第一回報告書の結論は
>単にプルトニウム原爆を少数製造することは可能で、また比較的容易だろう。しかし、近い将来有効な核戦力を創設するというのであれば、前述のような困難がある。日本の核戦力創設能力の検討に当たっては、技術的、財政的、人的・組織的条件だけからは最終結論を導き出すことは不可能。さらに戦略的、国民心理的、外交的側面について十分な検討を加える必要がある。
第二回報告書の結論は
>日本の安全保障が高まるという保証があるとすれば、核武装は1つの政治的選択として考慮する価値があろう。しかし、これまでの分析を通じて、日本の安全保障が核武装によって高まるという結論は出てこない。
日本は、技術的、戦略的、外交的、政治的拘束によって核兵器を持つことができないのであるが、そのことは日本の安全保障にとって決してマイナスとはならないだろう。核保有国となることによって、たとえ国威を宣揚し、ナショナリズムを満足させることができたとしても、その効果は決して長続きすることができないばかりでなく、かえって新しいより困難な拘束条件を作り出してしまうからである。
以上引用終わり

上記の記述の通り、いずれの報告書でも日本政府の見解としては、「核保有は一政治的戦略として考えられるが、核保有は日本の安全保障上困難である。」と結論づけている。
このように核政策は、日本においてもかなり前から議論されていたのである。
一方この研究報告に関して、重要な論点が抜け落ちているように思う。
それはアメリカと日本の関係である。

60年代はベトナム戦争勃発による東西対立が激化していた時期であり、中国が核保有したことで、日本でも核武装論が高まっていた。しかし当時のアメリカ政府は日本の核武装を容認してはいなかった。ロシアや中国といった共産主義国に対抗する防波堤として日本がアメリカの軍事戦略上重要な位置づけにあったからである。
加えて高度経済成長真っ只中だった日本は、アメリカの軍事的恩恵を受けながら、経済成長を第一の国家戦略として位置づけたがゆえに核武装回避の道をとったのではないだろうか?
日本の核政策が30年前以上も前から議論させていたことに驚きを抱くものの、最も重要な懸念事項であるアメリカとの関係を隠蔽したこの報告書はアメリカの属国として生き延びる政策を取った日本をカモフラージュしているように感じる。
andy

List    投稿者 andy | 2006-11-04 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本5 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2006/11/61.html/trackback


コメント5件

 にほん民族解放戦線^o^ | 2006.11.09 23:20

中米にまた反米政権!ニカラグア、オルテガ氏大統領に

ラテンアメリカでまたもや反米政権が誕生した。
「ニカラグア大統領選、反米のオルテガ元大統領が当選」
http://www.cnn.co.jp/world

 FSJ | 2006.11.16 21:14

共和党敗北は、反米感情ではなくて米国内の反ブッシュ感情ではないでしょうか?

 sakamoto | 2006.11.16 21:17

アメリカ国民はブッシュにノーと言っただけで、アメリカにはノーとは言ってない。
より強いアメリカ、No.1アメリカを指向する気持ちは変わってないのではないでしょうか。

 sakayu | 2006.11.16 22:35

現ブッシュ体制が世界中の国々の信頼を失い既に孤立しているということ、アメリカ国民からも見放されようとしているということだと思います。
そして今後、世界政治の潮流は脱ブッシュへと移行し、ブッシュべったりの安倍政権は存立基盤を失ったことによって崩壊していくことはほぼ間違いないのでなないかと思います。

 hermes bags pink | 2014.02.02 15:54

hermes usa employment 日本を守るのに右も左もない | 反米感情は世界的な高まりを見せている

Comment



Comment