2008年07月13日

イギリスの金融資本は、アメリカからEUへ拠点を移そうとしているのでは?

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2008年07月10日の記事「イギリス金貸しによるグローバル・マネー循環構造」は、2008年07月01日の記事「ドル基軸通貨体制で儲けていたのはイギリスの金融資本」を傍証する内容である。

まるでイギリスが通貨覇権をにぎっているような図だ。世界中のお金がイギリスに集められ、そこからアメリカに集中して投資され、アメリカから世界中(特にカリブ海、そして中国やEU)に投資され再び英国に循環している。(中略)このマネーフロー図は、ドル覇権がポンド覇権の移行形・発展形として成立してきたということを示唆している。つまりドル覇権の主体は、イギリスの金貸し(ロスチャイルド系)であるということではないだろうか?

イギリスの金融資本は、ガタガタになったアメリカ=ドルを捨てて、ユーロ覇権へ移行しようとしているのではないか。
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7月10日の記事では「なぜドイツの中央銀行だけは国有化されなかったのか?」と書いたが、ドイツの中央銀行=ドイツ連銀は国有化されていたとのこと。ところが、1999年のユーロの発行機関である欧州中央銀行(独フランクフルトに本店を置く)の登場によって、その地位を取って代わられたらしい。
『反ロスチャイルド同盟』「日本銀行のヒミツ-いい中央銀行 悪い中央銀行」によると、

中央銀行は、一部の金融財閥に利益をもたらすと決まっているわけではない。独立性を重視せずに、政府と協調して金融政策に当たる中央銀行もちゃんと存在した。ドイツの連邦銀行、ブンデスバンクがそうだ。
1957年に設立されたブンデスバンクは、他の中央銀行のように銀行家たちが出資したものではない。資本金は100%、ドイツ連邦政府が出資している国有銀行だ。
ドイツ連邦政府は、ブンデスバンクに金融政策を直接指示できないが、議会のほうは法律を定めて、さまざまな命令を下すことができた。この中央銀行には「物価の安定」だけでなく、「経済の安定」と「完全雇用」という目標が法律によって定められている。
ブンデスバンクが議会の決定どおりに金融政策を実施してきた結果、第2次大戦後の旧西ドイツは、バブル経済が発生することもなく、大きな不況にも見舞われなかった。インフレ率の低い安定した経済が続き、失業率も欧州諸国の中では低かった。
戦後ドイツの飛躍的な経済成長は、ブンデスバンクの政策が生んだとまで高く評価された。

ブンデスバンクの成功は、ドイツ国民の深い反省と、中央銀行に対する研究のうえに成りたっている。
戦前のドイツには、1875年設立のライヒスバンクという中央銀行があった。銀行家たちによって設立され、帝国政府からの独立性が高く、誤った金融政策をとっても、だれもブレーキをかけることはできなかったのだ。民主主義的なチェックが利かない、中央銀行の典型だったのである。
1918年に第1次世界大戦で敗北したドイツ帝国は、1320億マルクという戦前のGDPの3倍近い戦時賠償金を請求された。支払い先は、アメリカのモルガン商会だ。イギリスが戦争中に、モルガン商会から多額の借金をしていたので、ドイツ帝国からの賠償金をその返済にあてることにしたのである。戦勝国のアメリカとイギリスがつくった賠償委員会は、ほとんどがモルガン商会などの銀行家によって構成されていた。
彼らに巨額の賠償金を支払うため、ライヒスバンクは国債と交換に通貨を乱発した。世界史に残るハイパーインフレの始まりである。1923年には、物価が20億倍に跳ね上がり、人々はお札の山を運んで買い物するようになる。

ライヒスバンクの反省から生まれた国有銀行ブンデスバンクは、ドイツ経済の発展を支える一方で、ドイツマルクの地位を高めていった。しかしそのドイツマルクも、2002年の欧州通貨統合により、他国の通貨とともにユーロに取って代わられた。
安定した経済を維持してきたブンデスバンクは、自由市場主義の経済には目障りな存在だったに違いない。それは日本型経済システムと同様、排除すべき対象だった。
安定的に成長する経済は、一部の金融財閥たちにとって魅力はない。バブルや大不況が起こらなければ、儲けのチャンスに恵まれないからだ。国民にとって優れた中央銀行は、彼らにとって合理的な経済システムを阻害する存在なのだ。
99年に欧州中央銀行(※)が誕生したことで、ブンデスバンクはヨーロッパで、最も力のある中央銀行の地位を追われた。法律的にどの国の政府からも独立性のある欧州中央銀行は、戦前のライヒスバンクと同じくらいの強いパワーを持っている。これが、今後の欧州経済にどのような影響を与えるか、非常に興味深い。

※欧州中央銀行(ECB)
1999年に単一金融政策=ユーロ政策を実施するための機関として設立された。出資は、EU加盟15カ国の中央銀行が行なっている。ヨーロッパ各国の中央銀行を指導する役割を担い、その権力は大きい。
2001~02年、ECBはブンデスバンクに対し、信用縮小を命じた。このため、ドイツは02年頃から不況に。ECBは不況の原因を、金融政策ではなくドイツの経済構造のせいだといっている。

この記事によれば、ドイツ連邦銀行は金貸し支配の及ばない中央銀行であったが、EU統合後設立された欧州中央銀行に取って代わられつつある。そして欧州中央銀行は、EUのどの国家からも拘束されない「EUのFRB」とも言える機関になりつつあるようだ。
これが何を意味するか?
イギリスの金融資本によるアメリカ支配の結果、アメリカは貿易赤字・財政赤字でボロボロになってしまった。アメリカ(連邦準備準備制度)に代わる金融支配の拠点、それがEU(欧州中央銀行)なのではないか。つまり、イギリス→アメリカ支配というスキームをイギリス→EU支配に、金融支配の拠点をFRBから欧州中央銀行に移そうとしているのではないか。
一極派(イギリスの金融資本)が目論んでいるのは、拠点をアメリカからヨーロッパに移すことである。しかし、拠点は未完成である。ヨーロッパの拠点が確立するまでは、現在の拠点であるドル基軸通貨体制を崩壊させるわけにはいかない。だから、イギリスの金融資本は、何とかドル暴落を引き延ばそうと図っているのではないか。
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2008-07-13 | Posted in 08.近現代史と金貸し8 Comments » 

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コメント8件

 kenshin | 2008.10.22 20:30

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<金貸しの没落、から最後は共認原理(これは新しいワードですか?)の世界へ>。
これって大嘘ですよね。
金貸しが世界を支配し、ロスチャイルドによる統一政府を作るではないのですか。

 米流時評 | 2008.10.22 20:30

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 山テツヲ | 2008.10.23 21:30

アメリカ覇権の終焉により戦争を無くすことに繋がる。
戦争は人類の本能ではないのだから、いかに今までの私権原理(戦争することで市場成立)のシステムに無理があって自然の摂理から反れていたかがみえますね。
これからは共認原理へ。

 パンダマン | 2008.10.23 21:45

 アメリカ大統領候補マケイン氏も金融に対する規制強化を打ち出しているようですね。(大統領選では劣勢ですが)
 世界各国でこのような金融資本家に対する抗議が、出ているとは知りませんでした。
 
 世界世論は金融資本家による金融支配に対してNO!を突きつけ始めたという表れですね。

 復讐の叫び | 2008.11.04 20:26

kenshinさま、山テツヲさま、パンダマンさん、コメントありがとうございます。
>これって大嘘ですよね。
これはレポート2に展開している内容です。貧困が消滅から私権原理の終焉が意味するところです。貧困が消滅して以降約40年間金貸しの思惑で騙され続けていたのですが、それが今や事実収束や私権の崩壊によって、みんなの意識が私権から共認に転換していることに全く気付けていないのが金貸しの現状だと思います。共認原理についてはるいネットを参照して下さい。
>金貸しが世界を支配し、ロスチャイルドによる統一政府を作るではないのですか。kenshinさま、山テツヲさま、パンダマンさん、コメントありがとうございます。
>これって大嘘ですよね。
これはレポート2に展開している内容です。貧困が消滅から私権原理の終焉が意味するところです。貧困が消滅して以降約40年間金貸しの思惑で騙され続けていたのですが、それが今や事実収束や私権の崩壊によって、みんなの意識が私権から共認に転換していることに全く気付けていないのが金貸しの現状だと思います。共認原理についてはるいネットを参照して下さい。
>金貸しが世界を支配し、ロスチャイルドによる統一政府を作るではないのですか。< 現状の認識からロスチャイルドが統一政府をつくれるとういう根拠がよく分かりませんでした。教えていただければと思います。

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