2013年12月15日

自給期待と日本の近未来7 ~今、日本で何が起きているのか?~

前回の記事「自給期待と日本の近未来6 ~金貸し支配の構造と崩壊の兆し~」では、世界を動かす勢力の構造とそれに歯止めをかける新勢力の動きを見てきました。
今回は、さらに日本に焦点を絞り、最近の国内の動きとその背後にある支配構造を見ていきます。

最近では、アベノミクス効果の大々的なアピール、消費税増税、特定秘密保護法の可決、TPPや原発推進と様々な政策と法案が輻輳的にかつかなり強引に進められています。
しかし、私たちの実態に目を向けると、インフレどころかデフレが進行し、原発事故も全く収束する気配もなく、特定秘密保護法に対する反対運動が続くような状況で、どうもいい方向に進んでいるようには感じられません 🙁
また、マスコミから発信される情報は、極めて断片的であり、今、日本政府によって何が推し進められ、どこに向かおうとしているのかイマイチ見えてきません。

そこで、まずはこれらの政策や法案の思惑はどこにあるのか 読み解いていきたいと思います。

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■見せかけの好景気演出。その意図は?
長引く不況の中で、幾度となく金融バブルと崩壊が繰り返され、先進国はどこも借金まみれです。市場の縮小にも歯止めがかかりません。
そんな中、欧米先進諸国は国債増発を繰り返し、アメリカではつい最近もデフォルト騒ぎが起きたばかりです。市場経済への不安視は日本でも年々高まっていますが、一向に改善の兆しが見えません。
この状況を打破するためにムリヤリ好景気を演出するための策が、アベノミクスであり、2020年の東京オリンピックです。

○アベノミクス 
第2次安倍政権の目玉として掲げられ、「3本の矢」と例えられている政策です。
しかし、その中身は、紙幣を市場にばらまき、消費(投資)を拡大させることであり、過去の手法と変わりません。
しかも、消費欠乏が衰弱しきった今、ばらまかれた紙幣は、設備投資や個人消費にはほとんど向かっておらず、実体経済への効果はほぼないと言っていいでしょう。
しかし、一方で、株価は上昇し円安に振れています。これはなぜでしょうか

実は、ばらまかれた資金のうち、5兆円もの資金が米債買いに流れ、結果、ドル高→円安誘導が進行
他にも、日本がばらまいた資金は、海外銀行への貸し出しを通じて、外資系企業に流入し、彼らはその資金で、日本企業の株を投機目的で、買い漁っています。
その結果、実態を伴わない為替や株価の数字だけが独り歩きし、好景気感を演出しているのです。

つまり、アベノミクスは、好景気を装いながら、大量の借金をしてまで、アメリカに貢いでいるのです。
当然、アメリカや金貸しの圧力が背後にありますから、これはアメリカと金貸しによる日本からの搾取です。
<参考>
アベノミクスの本質は、米ドル・米債買いによる米国FRB救済か
アベノミクス~ガタガタの内需企業決算。輸出企業も予想を裏切る実績。円安でかろうじて嵩上げされているだけ。


○東京オリンピック 
東京都が試算したオリンピックの経済効果は、需要増加が約1兆2000億円、経済波及効果は約3兆円と予測されており、直接的な需要増加はGDPのわずか0.25%にしかすぎません。
しかし、マスコミがお祭りムードを演出し、開催のために一定公共投資が見込まれることから、これまた根拠のない好景気が演出されています。

また、多くの資金が広告費や放映権、運営費という形で、大手マスコミや広告代理店に支払われますが、大手メディアの親会社や資本提携先が外資系企業であり金貸しであることを考えれば、これもまた、アベノミクス同様、景気を捏造し、日本の資金を金貸しが収奪する構造となっていることがわかります。
<参考>
オリンピックと国債発行 
「招致、運営、ライセンス料、放映権…」オリンピック開催で電通が何重にも儲ける仕組み
電通の親会社。そのまた親会社。そこまで遡るとロスチャイルドに至る。


■TPPは日本に何をもたらすのか?
TPPについてもメディアで大きく報じられており、国内産業への影響の不透明さから、大衆は不安と不信感を募らせています。年内妥結が目標とされる中で、未だにその全貌は見えませんが、TPPとは一体何をもたらすのでしょうか?

TPPは、簡単に言ってしまえば参加国の企業間で自由競争を加速させ、その障壁になるものは排除してしまおうという協定です。その主たるものとして関税撤廃が取り沙汰されますが、TPPには、ISD条項、ラチェット条項、NVC条項など、企業利益を最優先し、そのためには国の法律さえ排除できてしまう強制力をもちます。
(詳しくは右の写真をクリック)
つまり、国家の主権を解体し、外資優位の自由市場を強力に推進する協定です。
それによって、価格競争の激化→企業体力の低下→国内産業の崩壊→外資系大企業の日本企業買収・産業支配が進む可能性も高く、日本の植民地化といっても過言ではないほどの影響も予測されます。
先に挙げたオリンピックバブルが本格化すれば、そこでひと稼ぎしようと多くの金貸し系大企業も参入し、TPPを理由に都合の悪い日本の制度を改変or撤廃させ、利益の独占を画策してくるでしょう。

言い換えれば、TPPは日本企業の力を奪い取り、日本企業が得るはずの利益を金貸し系大企業が収奪していく仕組みなのです。
また、最近、特定秘密保護法の騒ぎの背後では、国家戦略特区や農地バンク制度など外資系企業を日本に呼び込みやすい制度も密かに整備され、収奪の準備が着々と進められているのです。
<参考>
知らないうちに次々に可決される重要法案!国家戦略特区法案、がん登録法、農地バンク法が可決
マハティール元首相がTPPに警鐘、「我々は再度植民地化される」 


■税率引き上げの狙いはどこにあるのか?
大々的に好景気を演出する一方で、2013年9月には消費税増税が決定されました。
市場経済への不安視と節約志向や自給志向の流れを受けて、大衆の消費は減退する一方ですし、かつての過剰刺激ももはや通用しなくなっている状況です。このような状況下で、増税を断行すれば企業の設備投資は控える方向に作用しますし、当然景気を低迷させる要因となります。
統計的に見ても、過去、増税前後は目先的に税収は増加するものの、数年経てば増税以前より税収は下がっており、逆効果であることは明らかです。(右の写真を参照)

また、右のグラフ(出典;財務省ホームページ 一般会計税収の推移)にあるように、増税してもしなくても消費税による税収の変動はなく、所得税、法人税は、一時のバブルを除けば減少の一途です。
これは、どれだけ市場拡大政策を取ろうとも、消費欲求を刺激しようとも、大衆は必要な分の消費しかしなくなっており、経済活動が促進されることがないということを物語っています。

そして、大衆の消費にどうやっても期待できないが故に政府や官僚とった方針が増税です。
金貸しの傘下にあるIMFから消費税増税の要請があったことからも、日本は金貸しから強い増税圧力をかけられていたとみるべきでしょう。

消費税の他にも、所得税、相続税、たばこ税、年金等などが段階的に引き上げられていますが、その対象は一般企業や大衆、富裕層や高齢者であり、徴収しやすいところから強制的に資金を吸い上げる策だと言えます。
その反面、輸出戻し税など、大企業優遇制度が整えられていることにも大きな矛盾があると言えます。
つまり、増税は、もはやほとんど消費しない大衆から、強制的に直接、資産を収奪する仕組みだということです。
税制以外にも、マイナンバー制度ガン登録法などの法整備が行われ、資産や、健康、行動等個人情報が集約されている理由も、収奪できる資産や対象を把握し、さらに収奪を強めていく布石でしょう。
<参考>
消費税論議で駆使される嘘やマヤカシは“消費税特権者”を守護する粉飾:経団連が消費税増税を求める真の理由①
これからの税制どうする? 第1回~消費税増税するのなんで?
大企業の法人税優遇制度


■原発推進に秘められた思惑は?
震災から3年弱、未だ福島原発事故の収束が全く見えず、放射能の影響が未知数であるにも関わらず、政府、大企業から原発再稼働の声が止みません。
また、世界中が東日本大震災の悲惨な状況と原子力技術の不完全さを目の当たりにしたにもかかわらず、依然、先進諸国が途上国への原発輸出を推進しようとしています。
日本も、ベトナムやヨルダン、最近ではトルコへの原発輸出を進めています。

国内で見れば、政治家や原発関連企業、御用学者が、既得権益(原発利権)を死守したい思惑があるというのはもはや一般常識でしょう。
世界的にみれば、新興国の市場化が目的だと考えられます。
市場化の手段は、日本の歴史を振り替えればわかるように、民主化運動(戦争)、中央銀行制度、インフラ整備などが常套手段です。
原発推進は、新興国にエネルギーインフラを構築し、大量生産の基盤を構築し、新興国の市場化と利益回収を行うという算段でしょう。
今、日本で原発推進・再稼働が強力に進められている理由も、廃棄物処理問題を覆い隠して、安全神話を押し通し、市場拡大に突き進むための動きだと考えられます。
※データはコチラからお借りしました。
<参考>
「脱原発・脱市場 不屈の日本再生!」6  ~原発推進の3角関係~


■あまりにも強引な策と特権階級の暴走。その背後には?
ここまで、アベノミクス、オリンピック、TPP、増税、原発推進とみてきてわかることは、特権階級(政治家やマスコミ、官僚など)が暴走していると、大衆の目に映っている背後には、共通してアメリカや金貸しの思惑や圧力が存在するということです。

そして、日本に対してこれだけ強引に、強力に、急速に支配体制の強化を迫ってきているということは、金貸したちの資金が急減し、その存在基盤を失うほどの打撃を受けていることの証です。これは、市場縮小を目先的に取り繕うために、金融バブルとその崩壊を繰り返してきた結果だと考えられます。また、同じく大打撃を受けた金貸し支配下のアメリカ系の大企業は、国からの資金援助で救済され、その結果、アメリカは財政危機で崩壊寸前という状況です。

そのような状況下で、彼らは「日本からの資金収奪」と「強引な新市場形成」に大きく舵を切ったのだと判断できます。
金貸したちの莫大な収益源は、大きくは「戦争ビジネス」「中央銀行制度による国からの収奪」です。しかし、世界世論が戦争を許さない状況にある以上、国からの収奪を強めていかざるを得ないわけですが、先進各国は今や借金まみれでこれ以上収奪するのが困難な状況に陥っています。

そこで、金貸したちは、まだ搾取可能な日本からアメリカを使ってとことん搾取することと、新興国の市場を急拡大させ、搾取することを画策しているのでしょう。

そして、その計画を秘密裏に進めるために、金貸し勢力はメディアを使って大衆の共認支配を進めてきましたが、近年では、ネットも普及し、大衆の共認を支配しきれない状況も続いています。金貸したちは、日本からの収奪を完遂するために、共認支配をこれまで以上に強めていくでしょう。
ですから、特定秘密保護法の強行採決も金貸しが強力に共認支配し、不都合な情報を隠蔽し、金貸しの意に反する人間を社会的に封じるためのものだと考えられます。
ここまでの記事をまとめると以下の図解のようになります。


■大衆が進むべき道はどこにあるのか?
このように金貸しに支配された、アメリカ、マスコミ、政治家、官僚、御用学者によって、日本の支配体制は構築されつつあり、今後ますます、その暴走はひどくなっていくでしょう。

20131212%E3%80%80%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93.jpgしかし、このシリーズで何度も述べているように、今や大半の大衆が「もはやお上に任せてはおけない」と特権階級を見限り、彼らの支配をよそに、「自分たちの生きる場は自分たちでつくっていこう」とする動きが各所で生まれ始めています。
節約志向や健康志向、自給志向は、大きな消費をせずとも日々の生活を充足したものとし、メディアの情報に振り回されず、本質を自分たちの目で見極めていく潮流を生み出し始めています。

また、市場原理が崩壊させた共同体は、企業の共同体化やコミュニティビジネス、産官学連携といった形で、再生への兆しもみられ、本来の保育や教育、集団のあり方の追求などもネットを中心に広く発信されるようになってきました。

このような大衆発の動きは、今後自給期待の共認圧力を高め、金貸し支配体制からの脱却と共同体社会(共認社会)の再生を実現していくことになるでしょう。
そしてそのためには、金貸したちの思惑と支配構造を読み解き、支配勢力に対する手立てを自分たちで構築していく必要があるのです。

List    投稿者 misima | 2013-12-15 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本No Comments » 

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