『国際金融機関どうなる?』16.~バクチ市場の巣窟である短期金融市場とは?~
今回の米サブプライムローン問題による金融市場混乱 の背景には、住宅ローン そのものの問題と共に、住宅ローンの証券化という複雑な商品が絡んでいた。そしてその証券化された商品は投資家に転売される事でリスクの分散がはかられていたが、その商品を購入していた金融機関の子会社等は、証券化商品そのものを担保にしてCPを発行する事などで資金を調達していたのである。結果、リスクが担保に組み込まれていた事 が明らかとなり、CPの買手が消滅、欧米の短期金融市場そのものが麻痺 してしまう事となってしまった。このCP市場やヘッジファンドの多いデリバティブ市場等は短期金融市場、その中でもオープン市場に位置づけられる。ならば、今後の金貸し規制を可能にするにはこの短期金融市場を抑制しなければならない 。では、その短期金融市場とは?オープン市場とは何なのか?
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★ 短期金融市場とは?
短期金融市場とは、金融市場の中でも1年以内の資金の調達や運用(貸し借り)がされる市場のこと。この市場のうち、金融機関以外の一般の事業法人、地方公共団体などが参加できる市場を「オープン市場」と呼び、CD市場、CP市場、TB市場、FB市場、債券現先市場などもこれに含まれる。また、金融機関のみが参加する市場は「インターバンク市場」と呼び、コール市場、手形市場がこれに含まれる。
日本の短期金融市場の中のレポ市場
(注) 1998年7月末現在。ただし、債券現先のみ6月末現在。
TBの残高は発行残高。FBは市中売却残高が0円のため省略している。
(資料) 日本銀行、日本証券業協会
※ 債券現先、債券レポ
債券現先市場は、証券会社の資金調達手段として最初にオープン市場で発達した取引。ニクソンショックを経て国債が大量発行され、証券会社は手持ちの国債等の債券を元にして、売り現先を行う事で資金を調達するようになり、現先市場が自然発生的に広がった。
※短期財務省債権(TB)
償還期間が6か月以内の割引国債のこと。国債の大量償還、借換に円滑に対処するために、1986年2月以降に発売された。機関投資家向けの短期金融市場商品として位置付けられている。
※短期無担保手形=コマーシャル・ペーパー(CP)
企業が資金調達を行うために発行される短期の約束手形の事。無担保の割引方式で発行される短期の約束手形であり、発行体は優良企業に限られる。また、金融機関、証券会社などが発行を引き受け、販売先は機関投資家に限定される。
※市場、譲渡可能定期預金証書(CD)
第三者に譲渡可能な定期預金証書の事。指定された金額が預金されていることを示す証書で、銀行や貯蓄機関が発行する物。CDの発行は都銀、地銀、信託銀行。購入者は事業法人、地方公共団体、金融機関、海外投資家等。
★ インターバンク市場とは?
インターバンク市場とは、短期間の資金を取引する短期金融市場のなかでも、参加者が銀行や信用金庫、労働金庫、証券会社、といった金融機関に限定された市場のこと。この市場内でも、古い歴史を持ち中心的な存在なのが、ごく短期間の資金を貸し借りする市場「コール市場」。また、機能的には「コール市場」と同じだが、「コール市場」を補完する形で、期間が長めの短期資金の貸し借りを行うのを「手形売買市場」と言う。その歴史は1900年頃、金融機関同士が資金の過不足を調整する場として、自然発生的に定着していき、現在のコール市場(短期金融市場内でも金融機関が、より短期間の資金の取引を行う市場)になったといわれている。その後はこのコール市場が中核となり、手形市場や各種オープン市場の開設へと広がっていった。しかし、現在規模を拡大しているのが金融機関以外の一般の企業などが参加できる「オープン市場」と言われる物。99年末の発行残高は、インターバンク市場が25兆円、オープン市場が144兆円とその差を大きく広げている。
★ オープン市場とは?
短期金融市場の中でも、一般企業などの非金融機関が参加できる市場を「オープン市場」と呼ぶ。 「オープン市場」の中は、種類によりさらに細分化されており、もっとも歴史の古いオープン市場「債券取引市場」を筆頭に、「CD市場」(譲渡性預金市場)。「CP市場」(コマーシャル・ペーパー市場)。「TB市場」(割引短期国債市場)。「FB市場」(政府短期証券市場)。など多くの市場が存在。短期金融市場の中で、オープン市場がその規模と残高を増大させていったのは1980年代頃から。1979年の「CD市場」(譲渡性預金市場)の開設、1987年には「CP市場」(コマーシャル・ペーパー市場)が開設し、1985年に導入され1986年に第1回の発行がされた「TB市場」(割引短期国債市場)。 現在はこのオープン市場が急速に拡大している状況で、市場における通貨取引の95%は投機マネーだと言われている。
★一体、どうしてここまでオープン市場の規模は肥大化してしまったのか?
このオープン市場の中で見られる各市場はどれを取って見ても、基本的には貧困の消滅後、縮小して行く市場の中での慢性的な金余りを解消しようとする為に作られた制度と見てとれる。先進国を中心とする貧困の消滅による世界的な金余りが、マネー経済に一気に収束して資本の自由化はどんどん進み、マネー経済はここまで肥大化してしまったのである。そして金融危機を引き起こしてしまった結果、現在では現物市場にまで影響を及ぼすようになってしまった。その為、オープン市場を抑制し、市場における新たなお金の使い道を創出する必要があるのである。では、どうすればオープン市場を規制し、新たなお金の使い道が出来るのだろうか?
参考文献:最新短期金融市場の基本とカラクリがよ~くわかる本 久保田博幸 著
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コメント10件
赤頭巾ちゃん | 2009.08.25 19:34
日本は米国債を永遠に買い支えることができると、ある政治家が言った。資金がなくてもだ。つまり、からくりはこうだ。買った米国債を日銀?かあるいは大蔵省?に持って行けば、あるレートで円に交換してくれるらしい。ほれっ!一昔前に『なお一層の金融緩和を』とか叫んだ財界人が大勢おっただろう?そん時が、その要求だったんだろうな。きっと・・・。永久運動の原理だな。
赤頭巾ちゃん | 2009.08.25 19:36
日本は米国債を永遠に買い支えることができると、ある政治家が言った。資金がなくてもだ。つまり、からくりはこうだ。買った米国債を日銀?かあるいは大蔵省?に持って行けば、あるレートで円に交換してくれるらしい。ほれっ!一昔前に『なお一層の金融緩和を』とか叫んだ財界人が大勢おっただろう?そん時が、その要求だったんだろうな。きっと・・・。永久運動の原理だな。
赤頭巾ちゃん | 2009.08.27 8:41
追伸:それでは現在もその財界が要求してできた制度を利用してジャンジャンやっているかと言うと疑問なんだな、これが。ほれっ!思い出してごらん。少し前にマスコミが円とドルが同時に売られたと大騒ぎしたことがあるだろう?一般の国民は永久ドル買い支え制度を知らないから『そんなに大騒ぎするほどのことかよ。』と思っているのにね。そりゃあそうだろうよ。それに永久的に買い支える制度なんぞ、どこかに無理が来るに決まっている。そりゃあ、円とドルが同時に下がるだろうよ。多用すれば二通貨同時暴落は底なしだ。オマケに米国から買い支えすぎだと叱られたこともある。みじめだねぇ~。
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blogger0 | 2009.08.18 20:08
ドル増刷にタガが嵌められたとしたら、FRBによる米国債購入という「禁じ手」以外にドルを買い支える方法は無さそうですが、何よりも、金主たる欧州と金貸しがドル買い支えで真剣勝負したら、どちらが勝つかは目に見えてますね。