2008年07月20日

イスラエルとロスチャイルド2~ロスチャイルドはイスラエルの力を制限した

引き続き、『田中宇の国際ニュース解説』2005年6月22日の記事「イスラエルとロスチャイルドの百年戦争」からの引用。
ロスチャイルドはイスラエルの建国に消極的だっただけでなく、その力を制限するよう画策したらしい。
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戦いがあれば敵同士の両方に賭けておくロスチャイルド式の商法からいうと、シオニズムの革命家も投資の対象ということになる(実際、ロシア革命には、たくさんのユダヤ人が先導者として参加していた)。また、政治活動をする者にとって、大衆に敵視されないようにすることは重要である。ロスチャイルドがシオニズム運動を支持したのは、妥当な選択だった。

とはいうものの、中東のパレスチナに建国されるイスラエルが、大きな国になってしまうのは、ロスチャイルドだけでなく、ユダヤ系の商人全体にとって好ましくなかった。建国後のイスラエルが強くなると「すべてのユダヤ人は、欧州を捨ててイスラエルに集まれ」ということになり、黒幕として欧州で儲け続けたいスファラディ系のユダヤ商人は、立場が弱くなる。
だからロスチャイルドは、イスラエルの建国を支持する一方で、イスラエルをなるべく小さな国として建国させ、そのころちょうど中東で採掘されるようになった石油の油田からも遠い場所のみを与えるようにした。

ロスチャイルド家は、ユダヤ人国家の範囲を狭め、油田地帯を外させただけでなく、ユダヤ人が入植してくる前からパレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)の権利を重視するとバルフォア宣言に明記することで、イスラエルが建国後にパレスチナ問題を抱えねばならなくなるという素地も作った。
しかもバルフォア宣言では、ユダヤ人がパレスチナに作ることを約束されたものは「国家」ではなく、もっと曖昧な「ユダヤ民族の故郷(ナショナル・ホーム)」だった。その「民族の故郷」を「国家」にするためには、そこに住んでいる人々の意志が重要になるが、イスラエル建国前の英領パレスチナに住んでいる人の大半はアラブ人だったから、住民の意思としては、パレスチナにできる国家は「ユダヤ人の国」ではなく「アラブ人の国」になってしまう。

さらに、第二次大戦後にイスラエルが建国の最終段階に入った1947年11月、イギリスはアメリカと組んで設立して間もない国連において、パレスチナをアラブ人国家とユダヤ人国家に二分し、中心都市であるエルサレムはどちらの領土にもせず国際管理下に置く、という決議を下した。
これは、ユダヤ人国家の範囲を、大パレスチナの中の英領の中の、ヨルダンを除いた西半分の、そのまた西半分に限定し、しかもシオニストが「永遠の首都」にしようと夢見ていたエルサレムは渡さない、という「国際社会」による決定だった。
イスラエルは建国を強行し、国連決議から半年後の1948年5月に独立を宣言し、独立を阻止しようとするエジプトやヨルダンの軍隊に勝って、建国を果たした(エジプトやヨルダンとは事前に話がついており、戦争は「ふり」だけの部分が多かったとされている)。イスラエルは国家となったものの、国連決議を破ってパレスチナ人を追い出した「悪い国」というレッテルを「国際社会」から貼られ続けることになった。

大英帝国は、第一次大戦を機に衰退が明確になるが、イギリスが衰退しても、ロスチャイルドやその系列の資本家たちが世界で儲けることができるようにするために、英米が中心となる国際社会や国連が作られた。またイギリスは、自国に近いアメリカを次の覇権国にすべく、アメリカの資本家を国際社会で儲けられるように誘った。
欧州のユダヤ商人は、ロスチャイルドの出現以前に、スペイン帝国からオランダ帝国へ、そしてオランダ帝国からイギリス帝国へと、何回も覇権の移転を経験しており、この覇権の移転そのものが、新規投資対象の開拓の結果だった可能性がある。
ロスチャイルドの世界支配は、覇権がイギリスからアメリカに委譲された時点で、ロスチャイルド家という一族支配から、ロスチャイルド家によって作られた英米中心の世界体制で儲ける人々のネットワーク(「国際エスタブリッシュメント」あるいは「国際協調派」)へと進化した感がある。

「国際社会」も、その実態は彼らであり、実際の世界の人々の民意とは、本質的に関係がない。米英の政府やマスコミも、このネットワークの中の組織であり、世界の民衆の世論は、米英中心の国際的なマスコミによって、扇動されている部分がかなりある。イスラエルの建国を制限し、建国後も国連のパレスチナ分割案などでイスラエルに制限をかけ続けたのは、この国際エスタブリッシュメントである。
資源を持たず、パレスチナ人との関係という問題も抱えた、小さな国として建国されることになったイスラエルの初期の政府(労働党政権)は「国際社会」という巨人と戦うことを得策ではないと考え、むしろイスラエルが国際社会から認知されることの方を重視した。ロスチャイルド家は、イスラエルの建国に際し、国会議事堂その他の政府機関の施設などをいくつも建設・寄贈した。シオニストが小さなイスラエルで満足している限り、お金を出してあげます、というわけだった。

~さらに続く
(本郷猛)

List    投稿者 hongou | 2008-07-20 | Posted in 08.近現代史と金貸し6 Comments » 

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コメント6件

  | 2008.10.28 20:29

アメリカ庶民の矛先が金融資本家に向かうのは良い傾向だと思います。
失業率の拡大を抑制するのに、政府の資金注入は必要だと思いますが、その資金注入によって、金融機関を半国営化して、金融規制を強化するべきだと思います。

 tama | 2008.10.28 20:32

>05年度の報酬額は約40億円
>06年度の報酬額は約20億円(06年に政権入りした為、半年の額)
>退職金は約500億円(無税)
金融関係って、報酬が飛びぬけて良かったんですね。
金融機関が潰れると、市場の秩序が崩壊してもっとひどい事になるといって、
彼らを救済するなら、彼らが稼いだあぶく銭を没収すべきですよね。

 kaz | 2008.10.28 20:47

アメリカ庶民の意識としては、ウォール街のエリート達など救済する必要ない!と感じるのも頷けますが、その意識が政府・金融資本家達にどう写っているかは疑問です。
ここでアメリカ国民の根底に共通している、消費・市場第一の意識が転換していかなければ、これからのアメリカも変わらない気がしますが・・・。
金融市場の破綻から連鎖するこの混迷はまだしばらく続きそうですね。

 sionz | 2008.10.28 21:46

梵さん  
コメント有難うございます。
>失業率の拡大を抑制するのに、政府の資金注入は必要だと思いますが、その資金注入によって、金融機関を半国営化して、金融規制を強化するべきだと思います。
仰るとおりですね。
金融規制強化案が世界中に広がると、資本家達の居場所がなくなる。
彼らの最後の『あがき』ってなんでしょうね?
tamaさん
コメント有難うございます。
>金融機関が潰れると、市場の秩序が崩壊してもっとひどい事になるといって、彼らを救済するなら、彼らが稼いだあぶく銭を没収すべきですよね。
そうですよね。日本では、昨年マスコミ報道によって、国民感情を刺激し、防衛庁の守屋事務次官の退職金を返納させろ⇒返すとなった事例がありましたよね。
桁が違いすぎるし、それをしかも無税でちゃっかり自分の懐に入れている訳ですから、彼らだけを救済するのはおかしいし、返納させろ!!って声が上がっても、不思議ではないですよね。
Kazさん
コメント有難うございます。
>ここでアメリカ国民の根底に共通している、消費・市場第一の意識が転換していかなければ、これからのアメリカも変わらない気がしますが・・・。
確かに、消費・市場第一の意識が転換しなければ、アメリカ国内の5500兆円と言われる借金は、返せる見込みも無く、国家破綻が近づいている気がします。

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