2007年06月27日

医療制度の改正は「誰のため」のものなのか?

ないとう@なんで屋です。

 小泉元総理の時代から、日本の医療制度の改革が急速に進んでいます。
郵政民営化に引き続き、あらゆる「日本の資本」がターゲットになっています。
例えば、医療費の自己負担率アップも、国家財政が逼迫しているという単純な理由だけではないようです。混合診療の解禁も検討され続けていますが、これも、未承認薬を使用しやすくする、という単純な理由だけではないようです。また、「医療費が国家財政を圧迫している」と公的医療費(→国民負担率)を抑制しようとしていますが、これもこんなに単純なものではありません。 

自己負担率アップには(アメリカの)民間保険会社 
混合診療の解禁 には
(アメリカの)製薬会社 
公的医療費の抑制には
(アメリカの)民間保険会社 
の強い意図と強い圧力が背景にあります。 

詳しい内容は下段に譲りますが、医療制度や医療法の改正がこんなところまでアメリカの意図と圧力によって形作られているのを知ると、一体「日本の医療」とは誰のためのものなのか?と非常に違和感を持ちます。
 こんな状態に至ってしまうのは、対処療法に過ぎない(西洋)医学の限界に近づきつづあることと、地域共同体が破壊しつくされ何をするにも金がかかる市場原理社会の限界に近づきつつある事の二つが大きな原因だと思います。「根本から考えようとする人がほとんどいない」現状にも危機感を覚えます。

市場原理主義の怖さ;アメリカの実情は日本の将来図

にほんブログ村 政治ブログへ

医療費の自己負担アップは、医療費への不安を煽り、(ガン保険などを扱っている)民間保険会社が儲かる構造にあることを近藤克則氏は指摘しています。 

これで誰か得をするかというと、実は民間の保険会社です。なぜかというと、「いざ病気になったときの自己負担が増えるんですよ」と言われれば、誰でも不安になりますから、お金に余裕がある人は民間の医療保険に加入します。
民間保険会社が営業をしなくても、「将来、自己負担が大変ですよ」と不安を煽るような広告を打つだけで、どんどん新規の契約が入ります。
(中略)
規制改革・民間開放推進会議は政府の諮問会議なのですが、その事務局のスタッフには、民間の保険会社からの出向者がかなり入り込んでいることがその証拠です。(アメリカの日本改造計画より)

 

混合診療が解禁されると、日本で未承認のアメリカの新薬や治療法がどっと参入する上、病院や製薬会社が自由に価格を設定できるため、”ぼろ儲け”が可能です。

 

混合診療とは、保険が利く「保険診療」と保険が利かない、つまり厚生労働省が認めていない「保険外診療」(自由診療)を同一の患者に行う事である。現在は認められていないため、日本で未承認薬などを使うと、本来保険が利く診察代や入院費などにも保険が適用されず、かかった費用全額が自己負担になってしまう。しかし混合診療が解禁されると、厚生労働省が認めていない部分のみは自己負担だが、診察代や入院費など通常の経費は保険でカバーされるため、日本で未承認の新薬や治療法をより利用しやすくなる。患者にとってはけっこうな話に聞こえる。
しかし米国がなぜ日本に混合診療の解禁を熱心に要求しているかといえば、厚生労働省が認めていない薬や治療法を使う「自由診療」については、製薬会社や病院などが値段を自由に決められるため、収益性が高いからである。保険が利く「保険診療」のほうは、診療報酬の単価や薬の価格を政府が統制しており、高騰しないよう抑制されているのだ。
(奪われる日本)

 近年の医療費の増加は、国家財政を圧迫し、維持できなくなると言われています。この大前提が、前段の自己負担率アップを容認し、加えて、公的医療費を抑制する流れが作られようとしています。当然、公的保険の給付範囲をせばめる必要が出てきます。

 

つまり、政府が価格や報酬を抑制している公的医療保険が利く分野が減らされ、外資を含む製薬会社や民間医療サービス業者が自由に価格や報酬を決められる「保険外診療(自由診療)」の分野が拡大される子とにつながる。公的医療保険に代わって保険外診療分野をカバーする民間医療保険へのニーズも発生する。それは日本の医療制度に市場原理を導入し、公的医療保険を「民」すなわち米国の製薬業界、医療関連業界、そして保険業界に対して市場として開放する事にほかならない
(奪われる日本)

他参考ブログ
アメリカ:個人破産の半数は高額な医療費が原因
市場原理主義の怖さ;アメリカの実情は日本の将来図

 

List    投稿者 tnaito | 2007-06-27 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本7 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2007/06/306.html/trackback


コメント7件

 日本がアブナイ! | 2007.07.30 15:21

参院選の自・民の差は、国民の感覚とのズレor一致の違いでは? + 共闘&ご支援に感謝!

(*゜▽゜)ノ☆+☆【祝・参院選・野党勝利】☆+☆ヾ(゜▽゜*)
 目標としていた自民党40人割れを達成。(*^^)v
 投票率も目標の…

 Hiroshi | 2007.07.30 22:59

“ヨーロッパで母系集団が残り続けた”という点は、驚きでした。
そういえばヨーロッパって、巨石文明の痕跡が残っていたり、なまはげみたいな風習が残っていたりして、意外な側面があります。
そんな視点から検証してみる必要ありそうですね。

 kato | 2007.07.31 22:13

 そういえば、政治学者のサミュエル・ハンチントンも「日本は中華文明には属さず、日本文明に属する文明の孤立国である。」と言ってましたね。
 日本の本質を知り、将来を探る為には単なる西洋・東洋という括りに囚われないほうが良いのかもしれません。

 kato | 2007.07.31 22:13

 そういえば、政治学者のサミュエル・ハンチントンも「日本は中華文明には属さず、日本文明に属する文明の孤立国である。」と言ってましたね。
 日本の本質を知り、将来を探る為には単なる西洋・東洋という括りに囚われないほうが良いのかもしれません。

 匿名 | 2007.08.01 22:11

米中が似ていることに異論はないが、
>ヨーロッパは、個人と国家の中間に、地域共同体や同業者集団、家族主義的な小集団が存在します。
具体的には?
>ヨーロッパでは母系集団が残存し続けた。
それって本当?

 コーチ レガシー | 2013.10.08 12:54

グッチの財布

 匿名 | 2013.12.08 18:30

日本とヨーロッパは同じだなんて、短絡的思考ですね。
ヨーロッパはもともとフランスとイギリス、ドイツとロシア、
そして南欧のスペインとポルトガルが争っていました。
やがて白人でも三つのグループが誕生します。
アングロサクソン人、ラテン人、スラヴ人ですね。
ヒトラーはゲルマン民族と言ってアングロサクソンの中で
ドイツ語を喋る者はドイツであると、これが民族主義の
発端となりました。一方でイギリスはアメリカを含む
アングロスフィアを共同体、ロシアはロシア語を話す者を
同族として扱っております。
一方で中国も漢民族の他に、満州族や朝鮮族など
色々な人種がおり、中国語も北京語や広東語では
全然違うんです。
アメリカは「同盟国は守る」と他国から思われていますが
やはりWASPとしてつながりが深いイギリスやカナダ、
オーストラリアやニュージーランド以外は信用していない。
中国はヨーロッパで古いと思われている民族主義を
未だに信じて、東アジア統合を目指しています。
日本にも移民を送り込んで、将来的に中国本土の
太平洋進出の足掛かりにしたいのが本音です。
そしてアメリカは「アメリカ同化主義」を掲げており、
中国は「漢民族同化主義」を掲げて、ある意味で
似ておりますが、それは対立を意味しております。
しかし日本は元々大和民族、アイヌ民族、琉球人と
「協調と日本語を話す人々」としてヨーロッパと違い、
戦争で民族浄化するほど、荒っぽい事はしません。
それに戦争に負けて、アメリカに弱体化された日本は
話し合いで解決策を模索していますが、それが他の
国から見れば「滑稽なアジア人」と舐められているんです。

Comment



Comment