2009年05月04日

原発導入の歴史 8-原発と保険

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写真は「陽だまりの中で・・(保険代理店のブログ)」さんよりお借りしました。
原発のエネルギー収支は、全体的な視点から考えると決して良いものではなく、当然、環境にも優しくないと言うことでしょう。
また、エネルギー収支の良くない理由は、危険な廃棄物管理の期間でだいぶ異なるようです。つまりリスクの見方によってはとても効率の悪いエネルギーと言うことになります。
で、今回は、そのリスクある原発について、そのリスク回避の動きはどうなっているのかを扱ってみたいと思います。
その前にポッチとお願いします。

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一般的に危険なものを扱う業種は、そのリスクを考えて保険に入るものですが、原発の保険はどうなっているのでしょう?
こんな記事を見つけました。
原発と保険(1) より引用。

この何でも保険の「保険社会」で、保険会社も避ける原子力。では、「原発と保険」についてその歴史的背景や現在の状況などを見ていこう。                                                           ◇         ◇        ◇ 
始まりは、やはりアメリカである。1953年アイゼンハワーによる「原子力の平和利用」宣言の後、アメリカでは原子力開発への民間企業の参入を促進すべく、原子力法を可決した。しかし、民間企業は原子力の持つ危険性を恐れ、尻込みするばかり。その上、保険会社も保険の引き受けを拒否する始末。原子力の危険性、その被害の甚大さを一番認識していたのが保険会社と言うべきか。そこで困り果てた政府が、保険会社に無理やり保険を引き受けさせるために作った法律が、プライス=アンダーソン法である(1956年)。これは、原子力災害に対し、5億6000万ドル(当時のレートで2000億円余り)を上限として保障する、その内6000万ドル(216億円)を民間の保険で、5億円(1800億円)を政府が補償しましょうというもの。この民間の6000万ドルも、保険会社の連合組織が原子力保険プールとしてやっと掻き集めたのがこれだけだったからに過ぎない。つまり、これ以上の保障は不可能と拒否したのである。ところが一方、当時の政府機関が算定した原子力災害の被害予想額は、なんと70億ドルであった。70億ドルの被害に対する補償が、その10分の一にも満たない5億6000万ドルという不可思議。十分な保険もないまま、原子力開発は強行されてきたのである。そしてこの状況は、今も変わらない。
では日本はどうなのか、次に見ていこう。
日本における原子力保険・賠償制度もその成立の経緯、内容は基本的にアメリカと同 じである。1961年に制定された「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法と略す)の第一条では、「この法律は、原子力損害が生じた場合に…被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする」と定めてはいるが、後者の「原子力事業の発達」に重点が置かれていることは言うまでもない。
原賠法の中身は、電力会社が保険会社と契約する「原子力損害賠償責任保険特約」、 国と契約する「原子力損害賠償補償契約」の二つに分けられるが、やや煩雑なのでここでは単純化して考えたい。(詳しくは引用文献を参照のこと)
——————————————————————————-
 無制限  ┃            ┃    ◆原子力損害の賠償制度概要◆
       ┃国の補償( 援助)  ╂─────────┐補完 
※50億円 ┃            ┃   免責 ・正常運転による損害
       ┣━━━━━━━━┫       ・地震、津波、噴火 
       ┃  電力会社    ┃       ・損害発生から10年以降の請求
       ┗━━━━━━━━┛
※ 1961年法制定時、’79年改正 100億円、’89年改正 300億円 
——————————————————————————-

これって、経済的な次元で保険は成立しないと言うことですよね。
だから、国家が強引に数字を決めて、無理矢理「保険」を成立させているだけのようです。
つまり、誰も責任は負えないということです。
台風や地震、津波、火山噴火、などの天災と同じ規模の災害(保証などできない)リスクにもかかわらず、そのリスクを政策で誤魔化して実現しようとしている人為的な行為と言えそうです。
そもそもそんな産業って、経済的にも成立していると言えるのでしょうか?
また、そんなリスクを国民に押しつける政策って、いったい何なんでしょう?

List    投稿者 ryu0106 | 2009-05-04 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本5 Comments » 

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コメント5件

 ふしぶじゑ日記 | 2009.08.10 0:13

景気浮揚のための公共事業としての戦争もまだ捨ててないのでしょうか。

 バイデン副大統領が昨秋「予言」していたという7月までの“危機”は幸いにも回避されたようですが、下記のようなニュースが…。
 ドルによる石油決済を中止し…

 ふしぶじゑ日記 | 2009.08.10 0:15

アメリカ政府は不動産価格の再バブル化を画策しているとか。

 オバマ政権というかサマーズやガイトナー等ウォール街&ワシントンDC政府は、政府主導で米国内での不動産価格の再バブル化を画策しているとか。
 なんでもそ…

 !うにまろ!日記 | 2009.08.10 20:13

花火、景気

昨日は花火日和であった。
雨が降らず風が少々あり煙が流れやすい良い日であった。
今日日曜日に雨が降ったのを見れば、昨日降らなかっただけでもありがたく、感謝…

 イマナビ!News&Shopping | 2009.08.13 10:09

「米国債」を含むニュースと関連グッズの紹介

イマナビでは「米国債」を含むニュースと関連グッズの紹介をしています。「米国債」に興味があれば是非ご覧ください!

 unimaro | 2009.08.14 20:47

お疲れ様です。
いつも興味深く勉強になるエントリをありがとうございます。
>普通に仕事をもち徐々に伸びて行く所得の範囲で消費することと、無尽蔵にカネを借りまくり、消費しまくるのとの違いである。当然、後者が作り出す需要のほうが巨大であるに決まっている。
これほどわかりやすい説明は無いと思います。
今までひとに説明するときわかりにくい説明しかできまsねんでしたが、これからはこの喩を使わせていただきます!

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