2007年03月12日

アジアの自立を構想して、アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄

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アメリカの虎の尾を踏んで失脚した政治家として田中角栄がいます。彼がロッキード事件で失脚した原因も、「アジア太平洋構想」でアメリカの怒りを買ったかららしい。当時から田中角栄は、アジアの国々が結束して米ソなどの大国に対峙する、という「アジア太平洋構想」を抱いていた。以下、『最高支配層だけが知っている日本の真実』(副島隆彦編著)からの引用です。

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角栄の資源外交は、彼のブレーンだった小長啓一によって次のように解説されている。田原総一朗氏の論文『アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄』からの引用である。

>「アジア太平洋構想というのがありましてね。田中さんは、アジアが団結し、自立して、アメリカ、ソ連などの大国にむかうべきだという意見だったのです。中進国構想ってやつでしてねえ。中進国が結束して大国に対峙する。そのための会議、アジア太平洋会議を日本の手で開催する、というのが田中角栄さんの夢でしてねえ。いまとなっては、まぼろし的存在になってしまいましたが・・・」

田原総一朗氏は数年後の1980年に発表した著書『日本のパワー・エリート』の中で、角栄のアジア太平洋構想が形を変えて「太平洋コミュニティ構想」としてスタートしたことを明らかにしている。

>「太平洋コミュニティ構想」といえば、読者は、田中角栄のアジア・太平洋構想を想起されることだろう。だが、田中角栄の構想と「太平洋コミュニティ構想」とは、一点、決定的にちがう部分がある。田中角栄構想には、アメリカは含まれていなかった。むしろ、アジアの先進国が結束して、米ソ両国に対置する、という考え方だった。このちがいは重大である。

しかし、それは太平洋戦争の亡霊を呼び起こしかねない危険な行為だった。今でいえばベネズエラのチャベス、イランのアフマディネジャドといった指導者となる危険性を当時、日米の最高指導者たちが感じていた、ということはおおいにありうる。金脈問題、ロッキード事件のような政治スキャンダルが表面の動きだとすれば、このアジア太平洋における外交思想の衝突が水面下で進行していたというわけである。

そして、この外交思想をめぐる争いにアメリカは勝利した。今、アメリカは中国と連携し、世界経済の統合を進めている。数年前にも、東アジア共同体構想を日本の小泉純一郎前首相に、アメリカから「東アジア共同体構想からアメリカを除外しないでほしい」という要望が寄せられている。例えば、ブッシュ政権第一期において、国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏は、2005年4月29日に「朝日新聞」と行ったインタビューで、日本の東アジア共同体構想について、「米国がアジアで歓迎されていないと主張するのとほとんど変わりない」として、「深刻な誤り」「そういう方向性が出ること自体が問題だ」として強く反対している。

現在の東アジア共同体構想を推進しているのが、外務省などが参加している産官学の民間組織である「東アジア共同体評議会」だが、この評議会の会長は(従米派の)他ならぬ中曽根康弘氏である。それでもなお、アメリカは東アジア共同体からアメリカが排除されるのではないかと疑心暗鬼になっている。米中が日本の頭越しで接近し、ビジネス上の強固な関係を築いた現在でも、アーミテージ氏のような心配を抱く人物はいるのである。このことを考えてみても、当時角栄が行おうとした独自外交は、アメリカに対して相当のインパクトを与えたことが理解できるだろう。

中国との外交でも、アメリカに対して日本は遅れをとっており、今や米中関係の蚊帳の外に追いやられている感がある。それでも尚、日中の接近とアジアの自立についてはアメリカは過剰なまでに恐れているということ。田中角栄だけでなく、この虎の尾を踏んだ日本の政治家は失脚させられる。逆に言うと、そこにアメリカの弱点があるということ。
安倍バッシングが激化し、最近では「従軍慰安婦問題」で米国内からさえも安倍首相は叩かれる始末である。ここまで叩かれるには、安倍首相が対中国関係において、アメリカの虎の尾を踏んだのではないだろうか。(本郷)

List    投稿者 hongou | 2007-03-12 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本1 Comment » 

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コメント1件

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