2009年02月06日

〔日本の政治のしくみ4〕GHQ=米国のための民主化政策

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GHQによる占領政策の影響については、このブログに多数投稿されています。
そこで論及されているのは、
・GHQ政策の左右対立:「戦後のGHQ政策から」 他
・GHQによる共認支配:「アメリカ=GHQの占領政策 ① 「マスコミ他編」」 他多数
・GHQによる教育支配:「アメリカ=GHQの占領政策 ② 「教育編:日教組もGHQの置き土産」」 
等ありますが、今回はGHQの占領政策の基軸である 「民主化政策」 について考えていきます。
興味のある方はボチッをお願いします。

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GHQの目標は、日本の軍事力を徹底的に解体し、民主的な国家をつくることにあった。
そこでまず、陸海軍解体、軍需生産の全面停止を指令、戦争指導者を逮捕し、東京裁判、公職追放など非軍事化政策が矢継ぎ早に実施した。
一方、占領開始の1ヶ月余後の1945年10月にその後の民主化施策の柱となる『五大改革指令』を発した。
●五大改革指令に基づく政策
1、婦人解放 
1945年に選挙法が改正され、20歳以上の男女が選挙権、25歳以上の男女が被選挙権をもつことになり、1946年の総選挙では女性議員が39人当選した。また、男尊女卑の風習を支える家父長制廃止、夫婦平等、長子相続廃止を盛り込んだ民法の改正も行った。
2、労働組合の結成
 
戦前日本では、低賃金構造に基づき国内市場が小さかったため、それを解消し、外国を侵略していく基盤を除去するため、GHQは「労働組合法」により労組結成を奨励すると同時に、労働基準法、8時間労働制、男女同一労働同一賃金などの「労働政策の改革」も行った。
3、教育の自由主義化
 
アメリカ太平洋陸軍総司令部の軍政局から独立してつくられた民間情報教育局(CIE)が教育政策を担ったが、これはアメリカの軍事上の心理作戦を担う情報機関であった。
民間情報教育局(CIE)は、教職追放、国家神道の禁止、修身・日本歴史・地理の授業停止などの教育指令を出すとともに、米国教育使節団の勧告を受けて、六三三制学校体系、男女共学、教育委員会の公選制度等を実施していった。
4、圧政的な諸制度の撤廃
 
治安維持法・治安警察法・特別高等警察を廃止するとともに,政治犯を釈放、思想・信仰・政治活動の自由を保障した。
5、経済の民主化
GHQは三井・三菱・住友・安田ら「財閥の解体」とともに経済同友会・経団連など「経済団体の設立」を進めた。そして、財閥の再結成を防ぐため、独占禁止法を制定し、監視機関として公正取引委員会を発足させた。
また、農業分野では大地主から強制的に土地を買い上げて小作人に分配する「農地改革」を実施した。
●旧体制を否定し、新勢力の拡大へ
男に対して女を、経営者に対して労働組合を、エリートに対して庶民を、財閥に対して一般株主を、大地主に対して小作人を・・・・・・と、いずれの政策もこれまで社会を統合してきた=力を持っていたものを否定・解体し、それに対抗する新勢力を『民主化・自由化』の名の下で拡大させていることが分かる。
そのために必要ならば、「言論統制」と国民の贖罪意識を増幅させる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」等の「洗脳」を徹底し、旧体制に後戻りしないように法律、監視機関で縛り、競争・対立構造をもちながら緩やかに統合される社会体制をつくっていったのである。
●GHQは情報操作で支配が可能に
これは、古代ローマ以来の支配のセオリー「分割して統治せよ」に通じるもので、当事者たちは内向きの競争・対立関係にほとんどのエネルギーを費やすことになり、連帯してGHQや米国などの外圧に対抗することなど考え及ばなくなる。それどころか、全体が見えているGHQにとっては、情報操作やスキャンダルを使って、一方に利したり、競争・対立を助長することで間接的な支配が可能となる。
民主化というと、頭の中に充足イメージが湧く。
それまでが封建的で不自由な社会と洗脳されれば尚更である。
しかし、GHQによる民主化の本質は、
①まず、旧体制を徹底的に否定する。
②新たな可能性収束先として、自由・平等をベースとした政策・制度をつくり、新勢力を台頭させる。
③そして、対立構造をもちながら微妙なバランスで統合される新しい体制をつくり、競争・対立構造を操ることでGHQ=米国が間接的に支配できる仕組みをつくる。
ことであった。
この民主化の恐ろしさは民主化される当人たちは進んで旧体制を否定して新体制を受け入れ、新たにつくられた競争・対立構造での活動も自らの主体的な判断で行っていると信じており、決して外から支配されているとは思わない点である。
このような仕組みによって、教育も、経済も、政治も全てがGHQ=米国から操られる従米体制になったのである。
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引き続き次回以降、「教育」「経済」「政治」の分野で、民主化という美名の下、どのようにGHQ=米国が間接支配してきたのか、そして、日本が何を失ってきたのかを見ていきます。

List    投稿者 papada | 2009-02-06 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本2 Comments » 

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コメント2件

 K.G | 2009.05.28 20:01

>過去の偉大な名作と競争しなければならない
のは何でですか?
クリエイターはみんな「過去と競争」しているのですか?
クリエイターって何ですか?
アテンション=注目も大事だと思いますが、その先(中身)は必要ないのですか?

 kon | 2009.05.28 20:11

霜月さま。はじめまして。Konと申します。ちょっとお題の建て方について私は疑問に思います。まず、マスメディア自体が、今後、どうなっていくのか?マスメディアの本質を見据えない限り、【過去との競争などの構造】を語れない気がします。
現在は、マスメディア自体、構造的に限界を迎えていますので、この議論が何を生むのか?私にはよくわかりません。シェアは、今のままでは、ネットや口コミという情報をアよりに人々は行動しようとしています。マスメディア不信です。
 この構造は、マスメディアの成立構造を根本から否定するのもなので、いくら、マスメディアの内部を探索したところで、何も見えないと思いますが・・・・
その点で、この論点の建て方をもう少し改善してみては?と思います。どうでしょうか?

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