2011年05月24日

次代の社会統合の場を考える①~国家はどう統合されているのか?~

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                    <菅首相と東電社長>
福島原発の事故では原発の危険性が明らかになりました。同時に、これほど危険な原発をここまで推進してきた市場、それを止める事無く、事態を収拾する事もままならない政治家官僚と、市場国家それぞれの統合限界も露わになりました。
また、今回の原発事故は、「今後どうする?」という問題意識を作り出し、普通の人たちのネット等での事実探索や発信が増えています。今後、利便性を追求するばかりの市場、政局や利権に囚われ現実に答えが出せない国家には、社会統合を任せられないという意識が強まっていくはずです。
国家も市場も限界を迎え行き詰った今、今後どのような場が必要になるのか?るいネットの秀作投稿を紹介しながら、歴史を遡って市場と国家の成立構造を押え、今後どの様な社会統合の場が必要なのかを明らかにしていきます。
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「超国家・超市場論7 私権闘争を統合した 力の序列共認」より

自我は「自分以外は全て敵」とする。しかし、「全て敵」である以上、共認は成立せず、従って共認機能で止揚・統合することはできない。従って、この様な自我と自我がぶつかり合い、欲と欲がせめぎ合う性闘争→私権闘争は、必然的に掠奪闘争(縄張り闘争、つまり戦争)を生み出して終う。
この様な自我に基づく性闘争→私権闘争→掠奪闘争は、力によってしか制圧できない。従って、これらの自我に基づく同類闘争(性闘争・私権闘争・掠奪闘争)は必然的に武装集団を生み出し、最終的には力による制圧を土台とし、それを追共認した力の序列共認によって統合された武力支配国家を作り出す。
この力の序列原理も、互いに顔が見える範囲の集団内部でこそ有効に機能する原理であり、それだけでは数百万人もの超肥大集団=国家を統合するには無理がある。互いに顔の見えない社会を統合するには、統合指標(評価指標)となる観念の共認が不可欠になる。そこで、力の序列共認を下敷きにして、士・農・工・商etcの身分制度が確立された。つまり、最終的には身分(肩書き)という観念の共認によって国家は統合されており、武力時代の評価指標とは、この身分観念に他ならない。
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                    <士農工商>

まだ、互いに顔が見える範囲であれば、力で相手をねじ伏せる事ができ、お互いの力の序列は体感的に共認され、集団が統合された。しかし、集団が互いの顔が見えない規模になってくると、成員同士が互いの序列を認識できずに、絶えず同類闘争が行われ、統合することができません。そこで、全ての構成員に互いの序列を認識させ、秩序化を図る為に誕生したのが力の序列を固定した「身分制度」だったのです。
現代の身分として、代表的なものは、企業における社長、部長、課長、係長という身分でしょう。大企業に勤めている会社員の話で、社長の顔を一度も見たことがないという事を聞いたことがありますが、彼らは見たこともない社長の指示に従っています。これは、人事権という強力な力を社長が持っているから従うのであって、やはり、力の序列共認を背景にした、身分制度によって集団が統合されていると言えます。
「超国家・超市場論7 私権闘争を統合した 力の序列共認」より

私権社会での活力源となっているのは、性闘争・私権闘争の圧力である。しかし、性闘争・私権闘争の圧力は、武力による制圧⇒力の序列共認⇒身分制度の共認による徹底した収奪によって(つまり、人為的に作られた飢え=貧困の圧力によって)、生存圧力に等しいほぼ絶対的な強制圧力となる。つまり、無政府的な性闘争・私権闘争を止揚(秩序化)した筈の私婚→私権の共認は、真の統合原理たる力の原理によって絶対的な私権の強制圧力に転換する。
この私権闘争の圧力が生み出した(力の原理に基づく)私権の強制圧力(私権を獲得しなければ生きてゆけないという圧力)は、最末端まで貫通する圧力であり、従って、「私権」という価値の評価指標(=最先端価値)たる「身分」観念は、立派に統合機能として働くことになる。(例えば、この肩書きという統合指標=評価指標は、現在でも官庁や企業において、普遍的に使われている評価指標であり、ほんの数年前まで「肩書き」こそが、人々の最大の圧力源とも活力源ともなっていた。)
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                    <参勤交代>

誰もが身分制度を共認する事で、私権獲得を巡る乱戦状態を脱し、社会は秩序化されました。
しかし一方で、序列上位者による収奪によって、人々は私権を獲得しなければ生きられないと同時に、分相応の私権獲得しか出来ないという否応ない強制圧力下に置かれる事にもなったのです。
次回は、末端まで貫通した私権の強制圧力と「身分」観念によって統合されてきた国家の統合限界を明らかにしていきます。

List    投稿者 kagano | 2011-05-24 | Posted in 14.その他1 Comment » 

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コメント1件

 2013 hermes bags | 2014.02.03 1:17

hermes firma 日本を守るのに右も左もない | 共同体社会の実現に向けて ―24 ~実現論序7.企業を共同体化し、統合機関を交代担当制にする(その1)~

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