金融資本による世論操作の歴史②
再び、『日本人が知らない 恐るべき真実』のチョムスキー『メディア・コントロール』(1993年)紹介からの引用(益岡賢氏のホームページ「メディア操作:世論操作のめざましい成功」の要約)。
いつも応援ありがとうございます。
○世論操作
1930年代になると大きな問題が発生した。大恐慌の中、労働者の組織化が広まり、1935年になるとワグナー法の制定により、労働者が組織化し団結する権利を勝ち取ったのである。これによって2つの問題が生まれた。烏合の衆が法的な勝利を勝ち取り始めたことによって、本来あるべき姿の民主主義が機能しなくなったことと、大衆の団結が許されたことである。実際、人々が力を合わせて政界に入れば傍観者ではなくなってしまう。これは非常に恐ろしいことである。そのため、経済界は労働者にとってこれが最後の法的勝利になるよう、膨大な資金と労力を注ぎ込んだ。
1937年のペンシルバニアの鉄鋼ストライキの時である。経営者側は武力ではなく、より効果的な世論操作を戦略に使った。大衆に対して、スト参加者は社会の害であり、公共の利益に反した行動を取っていると印象付けたのである。公共の利益とは、調和や協力、親米主義といった抽象的なものである。その調和を乱し、問題を起こしている悪い連中にストを中止させようというのが、この世論操作の大筋であった。こういったスローガンは何も意味しないが、それが秘訣なのである。焦点はもちろんその政策を支持するか否かだが、それを大衆に考えて欲しくないために、反対も賛成もないようなスローガンを作る。重要なことは、人々の関心を核心から他へ逸らすことなのである。
広告業界の役割は正しい価値観を植え付けることであり、彼らの考える民主主義社会とは、社会を支配する特殊階級と、組織化の手段を奪われた残りの国民からなる社会なのである。一般大衆はテレビの前にじっと座り、人生で大切なのはたくさん物を買って、テレビドラマにあるような裕福な中流階級のように暮らし、調和や親米主義といった価値観を持つことだ、というメッセージを頭の中に叩き込まれていればよいのである。
民主主義にとってはこの烏合の衆が問題なのである。彼らが大声を発し、じたばたし始めないように彼らの関心をどこかよそへ逸らさなければならない。彼らはスーパーボールやテレビドラマを見ていればよいのである。そして彼らを襲う悪魔の存在を信じさせておかなければならない。そうでないと考え始めるかもしれない。それは危険だ。なぜなら彼らは考えるべきではないからである。
これも民主主義の1つの概念である。事実、経済界に話を戻せば、労働者にとっての法的な勝利は1935年のワグナー法限りとなってしまった。第二次世界大戦後には、労働組合の数は減少し、それと共に労働組合と結び付いた非常に豊かな労働階級の文化も衰退し、崩壊した。これは米国が恐ろしい速度で経済界に牛耳られる社会へと移行したためである。通常は、国家資本主義の工業社会であれば社会契約というものが存在するはずだが、米国にはそれがない。工業社会と呼ばれる社会の中で、国家医療制度がないのも南アフリカを除き米国だけだと思う。このような国家方針の下では、個人ですべてを賄わなければならないが、それができない国民に対して、米国では国家として最低限の保証さえしようとしてはいない。組合は事実上存在しないに等しく、それに代わる組織もない。少なくとも社会構造から見て、大衆の声を反映できる理想とはかけ離れていることは明らかである。メディアは企業に独占され、どこも同じような思想を共有しているし、二大政党といっても元をたどれば1つの財界政党から派生した2つの派閥に過ぎない。国民の大半は選挙で投票すらしない。彼らは社会の主流から退けられ、うまく関心をそらされてしまっているのである。
こうして、世論形成(共認形成)の場から除外され大衆は、私生活第一の価値観を植えつけられ、私的な充足に埋没していったのである。それが20世紀の民主主義制度が正しく機能する上での不可欠の条件だったのである。
1930年代の労働運動は、労働者が自らを組織化し社会的な発言権を獲得しようとした運動であるが、ここでもアメリカ経済界(金融資本)は世論操作によって労働運動を封じ込めたのである。この20世紀初頭の成功体験をもとにして金融資本はマスコミによる世論操作の術を磨いていったのではないか。そして、敗戦後の日本にも、大衆を私生活第一の価値観に洗脳し、私的な充足に埋没させる世論操作が導入される。これが現代まで繋がる世論支配の原型ではないだろうか。
(本郷猛)
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コメント13件
さーね | 2008.02.09 21:12
>【携帯電話とインターネット】
・ 日常化の進む携帯電話(1968年ポケットベルサービス開始、1995年PHSサービス開始)
これは、娯楽史なんでしょうか?
意外に、みんな必要だと感じている気もするし…
米流時評 | 2008.02.10 8:49
グローバルメディアが伝える米大統領選の相貌
||| 世界が見守る大統領選のゆくえ |||
予備選の山場スーパーチューズデーを伝える世界各国のメディア
By ストライカー・マクガイア/ニ…
Hikaru | 2008.02.11 1:21
コメントありがとうございます
>確かに、これは序列原理崩壊の現われ。
なるほど。作品が現実社会を捉えていますね。
一方で、ヒーロものの作品には、子供の頃から違和感を感じていた。
なぜ、非現実的な作品を作る必要があるのか?
また、仮面をかぶるなど不気味でしたね。
>「一億総白痴化」とは、否定の論理⇒非現実の充足で思考が支配されたこととも言える。それを加速したのがテレビである。
では、なぜ、国民がテレビに充足を日常的に求めたのか、気になるポイントです。どうでしょうか?
こうだくみ | 2008.02.12 13:21
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080212-00000001-gen-ent
↑これなんか読むとマスコミのどうしようもなさが丸分かり。
ついてるコメント読むと、みんなうんざりなのも丸分かり。
Hikaru | 2008.02.12 22:59
コメントありがとうございます>こうだくみさん
マスコミの報道の手法、一部ですが、ご紹介します。
ご参考になれば・・・
http://blog.trend-review.net/blog/2007/11/000543.html#more
コメントを見る限りでは、マスコミ離れも大きくなってきているのがわかりますね。
ken | 2009.10.09 0:03
はじめまして^^
僕は、昔からテレビっ子でした。
テレビのことは、事実で本当のことだと思いました。
でも最近違和感を覚えました。きっかけは、2012年のアセンションのキーワードに、闇の権力者がいることにきずき、
今は信じれないほど、洗脳されてきたと思いました。
支配階級があることが分かって、すごく怖いと思いました。
そう思えば、自分の行動も周りの反応や、価値観や好きな芸能人やテレビいろんなものに支配されていたことにすごくがっかりです。
今の現在のマスコミも同じですよね。
マスコミの流している新型インフルは、意図的に作ったでしょうか?もしかして目先の利益のためですか?
本当に国民のために流しているのでしょうか?
ken | 2009.10.09 0:03
はじめまして^^
僕は、昔からテレビっ子でした。
テレビのことは、事実で本当のことだと思いました。
でも最近違和感を覚えました。きっかけは、2012年のアセンションのキーワードに、闇の権力者がいることにきずき、
今は信じれないほど、洗脳されてきたと思いました。
支配階級があることが分かって、すごく怖いと思いました。
そう思えば、自分の行動も周りの反応や、価値観や好きな芸能人やテレビいろんなものに支配されていたことにすごくがっかりです。
今の現在のマスコミも同じですよね。
マスコミの流している新型インフルは、意図的に作ったでしょうか?もしかして目先の利益のためですか?
本当に国民のために流しているのでしょうか?
ken | 2009.10.09 0:03
はじめまして^^
僕は、昔からテレビっ子でした。
テレビのことは、事実で本当のことだと思いました。
でも最近違和感を覚えました。きっかけは、2012年のアセンションのキーワードに、闇の権力者がいることにきずき、
今は信じれないほど、洗脳されてきたと思いました。
支配階級があることが分かって、すごく怖いと思いました。
そう思えば、自分の行動も周りの反応や、価値観や好きな芸能人やテレビいろんなものに支配されていたことにすごくがっかりです。
今の現在のマスコミも同じですよね。
マスコミの流している新型インフルは、意図的に作ったでしょうか?もしかして目先の利益のためですか?
本当に国民のために流しているのでしょうか?
ken | 2009.10.20 14:55
すいません。
3回連続押してしまいました。
不愉快でしたら、消してください。
広末涼子 | 2014.01.20 20:58
どうしてこういかがわしいのか オタ達は完全に見下されてんだよ
hermes clearance | 2014.02.03 2:03
website hermes indonesia 日本を守るのに右も左もない | 「どうする?マスコミ支配16」第一権力化したマスコミ ~娯楽史~
Cheap Pandora Charms On Sale | 2014.03.14 12:20
日本を守るのに右も左もない | 「どうする?マスコミ支配16」第一権力化したマスコミ ~娯楽史~
匿名 | 2008.02.08 14:14
>【ウルトラマンと仮面ライダー】
・ 「変身」はほとんどの場合「大人への変身」を暗喩している。「敵は大人」大人に変身をして大人を撃退することが目的
確かに、これは序列原理崩壊の現われ。
しかし、序列=都合の悪い現実を否定するだけ。否定の論理から抜け出せず、実現に向けて思考が働かず。頭の中だけの充足世界「こうなったらいいなぁ」を構築したにずぎなかった。
「一億総白痴化」とは、否定の論理⇒非現実の充足で思考が支配されたこととも言える。それを加速したのがテレビである。