2009年04月15日

『国際金融機関どうなる?』14.為替相場ってどうやって決まるの?

「為替って何?」、「為替取引の種類って?」で為替の基礎の基礎を押さえてきましたが、次はいよいよ外国為替相場は何が要因で変動するのか?を探っていきたいと思います
まず、為替相場を読む上で経常収支(消費財 やサービス 等)や資本収支(金融資本市場)が引き合いに出されますが、実はそれ自体を見ても外国為替の需給を読むことはできません
消費財市場では価格が上がれば 消費は減少し 、反対に価格が下落すれば 消費は増加する 構造があります。(安定化機能が働く )
しかし、金融資本市場では・・・
 買いが集中 → 価格が上がる → 上がるから買う → バブル化
そして、(無限には上昇しないので)危機感が広まると、
 売りが集中 → 価格が下がる → 下がるから売る → とことん下がる
と、なっていて、消費財市場とは違った特性を持っています。
では、いったい外国為替相場の決定要因って何なのでしょう 🙄 ?
  

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■外国為替相場はどうやって決まる?
一般論として、挙げられる要因は大きく4つあります。
経常収支説
購買力平価説
アセット・アプローチ説
為替心理説
経常収支説とは?
貿易黒字の増加はその国の通貨相場の上昇要因になるという考え。
しかし、経常収支には計上されない国境を越えた投資資金の移動が今や貿易を上回る規模になっているため、現在は経常収支の黒字赤字は為替相場の需給を決定する諸要因のひとつに過ぎなくなっているのが現状です。
資本移動(投機=バクチ)さえ規制できれば、実態に近い相場が実現されそうな説ではあるのですが・・・
購買力平価説とは?
外国為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率により決まると考える理論。
異なった種類の通貨は、購買力が同じ(等価)になる為替相場で交換されると考え、その為替相場水準を購買力平価と言います。
🙄 わかりやすく言うと・・・
例えば、ある車が日本では500万円、アメリカでは5万ドルで買えるとします。この場合1ドル=100円の購買力平価が成り立ちます。
しかし、この時の相場がもし1ドル=120円だったら、日本で買った車をアメリカで売り、売却で得た5万ドルを外為市場で円に転換すると600万円になる=100万円の利益。市場参加者たちがこんな濡れ手に粟の取り引きを見逃すはずはなく、同じ取引に殺到するのでドル売り円買いの取引需要が増加し、1ドル=120円の為替市場は売買の利ざやが消える1ドル=100円まで下落する。つまり、市場の為替市場が購買力平価の水準に収斂する傾向がうまれる、ということです。
もしインフレになればその国の通貨の価値は下落します。なので、購買力平価は下落し、市場の為替相場も長期的には購買力平価の下落に見合って下落することになります。
購買力平価に為替相場は収束していく。
つまり、その国の生産力 に為替相場は規定されるということ。
アセット・アプローチ説とは?
1980年以降国際的な投資活動が活発化し、国境を越えた資本移動が大きくなった時代にあてはまる理論として注目されるようになりました。
「期待収益率が等しくなるように為替相場は決まる」と考えます。
期待収益率って 🙄 ?
期待収益率とは、投資家が予想する将来の利息に、投資対象になる金融資産の予想される値上がり率を含めた収益のこと。
例えば、アメリカ国債の金利の方が日本国債の金利より3%高く、ドル円の為替相場が固定だったら、迷わずアメリカ国債に投資しますよね?
ところが、満期が到来したドルを円に転換する時の相場が、購入時よりも日米金利差の3%以上下落していたら、金利差3%よりも為替損失の方が大きくなります。
もしこの相場の下落予想が日米金利差の3%よりも小さいとなれば、円の資産を売ってドルを買う投資家が増える=外為市場ではドル高になる
日本の投資家の期待収益率=アメリカ国債利回り+ドル相場の期待変動率
投資家は金利と為替相場の両睨みで投資先を選んでいるので、期待変動率の読みで通貨は売買される=期待変動率に為替相場は収束していく。
この説は、資本移動(投機=バクチ)を前提とした説。
為替心理説とは?
為替心理説とは、為替相場は、思惑・信頼感・人気・投機・予測などといった心理的要素によって変動すると考える理論です。(その”心理”とは、記事冒頭に書いた、金融市場にあります)
                                       
もともと、為替相場決定の要素に資本移動(投機=バクチ )などありませんでした。
それが、1980年代に資本移動が自由になり、活発化すると、金融資本家のさじ加減で為替相場は変動し、不安定なもの(先の読めないもの)となってしまったのです。
しかし、こうして金融市場が暴走した結果が今の金融不安
結局、現在の為替相場は投機を排除しないと見えてこないものとなってしまっています
今後金貸しを規制し、正常な為替相場を実現しようと思ったら、当然 の説は使えません
となると、今のところ、
経常収支説
購買力平価説
に可能性あり!と言えそうです
参考図書
PHP研究所 『マネーの動きで読み解く 外国為替の実際』 国際通貨研究所編

List    投稿者 pingu | 2009-04-15 | Posted in 08.近現代史と金貸し5 Comments » 

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コメント5件

 米流時評 | 2009.07.26 18:08

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 春風 | 2009.07.27 19:06

すごーい!!
ヨーロッパ各国のメディアの勢力関係がよくまとまっていますね!!
この投稿ではテレビが中心に書かれているみたいですが、新聞でも状況は似てるみたいです・・・。ヨーロッパの新聞は階級によって読む物が違うようですが、それぞれにテレビと似たような支配は受けているようです。
一握りの人たちの意見が、世界中にあっという間に広まる、というのは、かなり気持ちの悪い現象ですね・・・

 スズムシ | 2009.07.27 21:21

春風さんコメントありがとうございます!!
ヨーロッパでは、メディア事態があるい一つの大企業に握られているということは、同業他社にとっては勝ち目は無いですよね。
弱肉強食の仕組みが貫徹されていることがこんなところでも現れてるんですね。
新聞についてはおって調査して随時アップしていきますので、楽しみにしていてください。

 pipi | 2009.07.29 11:14

テレビ事情って、世界でこんなにも違うものなんですね!!
しかも、ヨーロッパではテレビなのに「製造系大企業」が牛耳っているとは・・・
その他の国のこともすごく気になります!
世界全体としての共通項が何か出て来るのでしょうか??
今後の展開を楽しみにしています♪

 hermes bags sweden | 2014.02.02 18:37

replica hermes lindy bag 日本を守るのに右も左もない | 『金貸しによるメディア支配』3 ~ヨーロッパのメディアの現状~

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