2009年12月09日

普天間基地問題1 県内移設を望んでいるのは日本?!

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最近、毎日のように「普天間基地移設問題」がマスコミを賑わせている。
この件については、「アメリカ軍が日本から撤退すれば、中国や北朝鮮が攻めてくる」「米軍がいたおかげで経済だけに注力できた」「日米同盟を軽視していいのか」など、感情論だとして思えない発言が続いている。
アメリカに関する問題は、マスコミによる発信だけでは『何も真実が分からない』ことは、郵政民営化議論を巡って我々が最も教訓としなければいけないことである。
まず、普天間問題を巡る「事実」から押さえてみたい。

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普天間移設 2006年までの年表
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1995 沖縄で米軍兵士による婦女暴行事件発生
1996 SACO合意
 日米両政府で代替施設(ヘリポート:50m程度の滑走路)建設を条件に普天間基地全面返還に合意
1997 名護市辺野古が代替施設(ヘリポート)建設候補地となる
2004 米軍ヘリが大学に墜落
2006 『再編実施のためのロードマップ』

 2014年までにグアムに基地を移設、辺野古に代替施設(1800mのV字滑走路)建設が決まる
2006 『グアム統合軍事開発計画』
 辺野古のヘリポート建設は何も語られておらず、普天間基地をグアムに全軍移転するかのような内容になっている(しかしこれは日米両政府ともに「正式な決定ではない」としている)。
2009(現在) 民主党がマニフェストで「県外・国外への基地移設」を謳い大勝。
・アメリカからの圧力が強くなる「さっさと辺野古にヘリポートを造れ」
→伊波(宜野湾市)市長「『グアム統合軍事開発計画』などによると、グアムに全面移転することは確実だから、辺野古のヘリポートは不要」
→岡田外相「そういう話にはなっていない」


宜野湾市「普天間基地のグァム移転の可能性について」
1995年の婦女暴行事件に端を発した沖縄住民による「米軍基地反対」要求は、1996年のアメリカ側の提案により、普天間基地全面返還の日米合意に至る。しかし、この日米合意では、代替施設(→ヘリポート)の建設が条件であった。それを受けて、翌1997年には代替施設の候補地が名護市の辺野古に決まる
そして2006年5月、日米両政府が在日米軍再編の行程を定めた「ロードマップ」に合意。沖縄の負担軽減策としては、14年までに米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古崎に移設し、米海兵隊8千人をグアムに移すことが柱。普天間飛行場代替施設は米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立て、1800メートルの滑走路2本をV字形に設置する計画。
しかし、2006 年7 月に、米太平洋軍司令部は、「グアム統合軍事開発計画」を策定し、
同年9月にホームページに公開した。その中で、『普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊は(全面的に)グアムに移転する』と書かれている。

宜野湾市「普天間基地のグァム移転の可能性について」
宜野湾市市長によると「沖縄海兵隊の主要な部隊が一体的にグアムへ移転する。普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊も含まれる。だから、辺野古の代替施設(ヘリポート)など不要だ」という。沖縄県民(宜野湾市市長)の主張は、感情的に「米軍出て行け」と言っている訳ではなく、「アメリカ軍もグアムに全面移転する方向で動いて来たのだから、そのままお引取り願ったらいい」と言っているに過ぎない。
しかし、アメリカ政府は、「グアムに全面移転する」といった話を公式には認めていない。それどころか、アメリカは強硬に日本政府を恫喝している。
そして、辺野古移設を強硬に主張するアメリカからの圧力により、岡田外相は変節してしまった。

岡田氏は、五年前、沖縄県民の前で、米軍基地の「県外、国外移転論」を主張している。しかも今回の選挙でも、鳩山党首自らが、「県外、国外移設」を発言している。にもかかわらず、政権に就くや否や、選挙公約をあっさり反故にして、「県外、国外移設」は「現実性がない」「不可能だ」と現状肯定派に転じようとしている。
山崎行太郎:「琉球新報」掲載の拙論「鳩山政権と普天間移設」

一体どうして、こんなことになっているのか?
《アメリカ軍はグアムへの全面移転を視野に入れている》
米軍、米国務省に関する情報を見る限り、グアム全面移転は間違いないように思われる。実際、2009年11月に米海軍省グアム統合計画室が発表した「沖縄からグァム及び北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価」には、沖縄からの海兵隊移転の詳細が記述されているが、 海兵隊ヘリ部隊だけでなく、地上戦闘部隊や迫撃砲部隊、補給部隊までグアムに行くことになっている。つまり、米軍は『グアムへの全面移転を前提に』戦略を立てている。
《日本の権力闘争が“米軍残留”を望んだ》
一方で、米政府は『グアムへの全面移転を否認し』、沖縄県内の代替施設を強硬に要求している。しかし、『沖縄県内の移設』は元はと言えば過去の自民党政権が望んだことだった。なぜか?県内代替施設建設に伴う莫大な利権を手に入れ、またアメリカという権力基盤を確保し続けるためだ。

「テルカン」こと、社民党の照屋寛徳は当初の計画より規模や機能が拡大したことに怒り、「V字型滑走路基地の事業をめぐって、特定の土建業者、官僚、政治家らがうごめき、工作し、不正に利権をむさぼっている」と国会で再三にわたり防衛省にかみついている
普天間移設、利権構造も検証を

加えて、外務省など日本の官僚機構は、冷戦後も日本の対米従属を維持して自分たちの権力を守るため、金を払って米軍にとどまってもらってきた。
田中宇の国際ニュース解説

《アメリカ政府は金目当て》
そもそも、普天間に限らず沖縄の米軍海兵隊駐留は、日本にとってもアメリカにとっても戦略的価値はない。アメリカにとっては、思いやり予算を初めとする金銭的価値しかないのだ。それも、日本官僚の従米路線が生んだ状況であり、いずれ終わることも知っているはずだ。
つまり、アメリカ政府は、軍事的・戦略的な目的のために、民主党政権に対して強硬に要求しているのではなく、「できるだけ多くの金を引き出すために」ゴネているに過ぎない。そして、深刻な財政危機に陥っている米政府においては、喉から手が出るほど欲している金なのだ。
《鳩山政権は、できるだけ引き伸ばす戦略を取るしかない》
この場合、鳩山政権は「できるだけ結論を引き伸ばす」しかない。辺野古への移設を決断すれば、代替施設の建設費及び維持費を差し出す必要が出てくるだろう。グアムへの移設を決断すれば、それを米政府に呑ませる段階で巨額の移転費用を更に負担する必要が出てくる。(アメリカは既に、施設建設費として60%にあたる、60.9億ドルを日本に負担させる約束を取り付けた。)
つまり、日本政府が「どちらを決断しても」更なる負担は避けられない。だから、「アメリカ政府に決断させる」必要があるのだ。アメリカが自ら『(ウラの既定通り)グアムへ全面移転する』と決断し発表すれば、日本政府はムダな金を出す必要はなくなる。
希望的観測かも知れないが、鳩山首相の優柔不断な態度は、それを狙っているようにも見える。
実際、ネット界では、「米軍のグアム全面移転」は、徐々に広がりつつある。(マスコミだけが、「グアム全面移転」を報道せず、“日米同盟を重視せよ!”“鳩山は優柔不断だ!”と民主政権批判を繰り返している。どこの国のメディアなのかと疑いたくなるほどアメリカべったりだ。「アメリカが怒ったら大変!」という強迫観念
これが、沖縄県民の民意となり、日本国民の民意となり、それを受けて鳩山がアメリカに対して強い姿勢に出れば、アメリカも「グアムへの全面移転」を認めざるをえなくなる。これを端緒に民意発で対米追従路線が見直され始めれば、アメリカ支配から逃れた民主政権が確立し、脱マスコミが大きな潮流となっていく。
     (by ないとう)
田中良紹『国会探検』:普天間問題から見える日本
永田町異聞::辺野古より沖縄海兵隊グアム移転こそが米国の眼目?
真実は何?::在日米軍と思いやり予算③ マスコミの報道は正しいのか?
反戦な家づくり::普天間基地はグアムに移転するようだ
宜野湾市::「普天間基地のグァム移転の可能性について」
「普天間基地のグァム移転の可能性について」配布レジュメ
「普天間基地のグァム移転の可能性について」プレゼンテーション資料
田中宇の国際ニュース解説
山崎行太郎:「琉球新報」掲載の拙論「鳩山政権と普天間移設」
新ベンチャー革命::ルース米国大使はなぜ戦争屋の味方をするのか

List    投稿者 tnaito | 2009-12-09 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本9 Comments » 

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コメント9件

 静かなる革命2009 | 2010.07.04 3:00

2010年参院選とミセス・ロビンソンの関係

「ミセス・ロビンソン」はサイモンとガーファンクルがコンサートのオープニングで必ず歌う,言ってみれば彼らの「テーマソング」である.アメリカ映画「卒業」(19…

 eggy | 2010.07.04 21:19

今、色分けリストを確認したんですが、「静岡 中本奈緒子 ▼:嫌小沢・政策が反する 2010年3月、記者会見で小沢辞任要求」となってます。
転記ミスかと思うので、確認いただけますか?

 匿名 | 2010.07.04 22:13

お願いがあります。同様に比例区の情報もほしいです。小沢系議員を多数派にしたい!

 kirin | 2010.07.05 18:38

eggyさん、コメントありがとうございます。
>「静岡 中本奈緒子 ▼:嫌小沢・政策が反する 2010年3月、記者会見で小沢辞任要求」となってます。
転記ミスかと思うので、確認いただけますか?>
御指摘のとおり間違いです。
記事の内容を、
静岡 中本奈緒子 △:小沢チルドレン・浮動政治家
【 小沢系】 ◎小沢派3人+○親小沢派10人=13人 
【反小沢系】 ▼嫌小沢19+×反小沢7人=26人 
【  流動 】 △22人
に修正します。
ちなみに、記者会見での小沢辞任要求は、民主党の支持基盤である連合の、連合静岡の吉岡会長が小沢氏の2人擁立に対して行ったものでした。
小沢氏が静岡で2人擁立を行ったのは、民主党現職の藤本裕司氏(野田グループ、チーム前原)を意識していると推測します。
ですので、中本奈緒子氏は、小沢氏の意向が反映された候補者で小沢チルドレンです。
貴重な情報ありがとうございました。

 kirin | 2010.07.05 19:19

匿名さん、コメントありがとうございます。
次回の記事で、参議院の改選前の議員を同じように評価します。
その次には、今回の参院選の比例区の当選議員、またその次には衆議院議員も評価し、民主党の衆参のすべの議員を評価しますので、応援お願いします。

 ニシ | 2010.07.05 22:27

政権をとったのに、小沢派って少ないんですね?!
小沢派≒脱米派は、失脚させられてるから?
小沢ガールズの人たちが、どっちにつくのかですね。
「浮動政治家」だからマスコミに流されそうで心配ですが。。(- -;)

 kirin | 2010.07.06 16:46

ニシさん、コメントありがとうございます。
>政権をとったのに、小沢派って少ないんですね?!
小沢派≒脱米派は、失脚させられてるから?>
そうなんです。
だから、小沢氏は、幹事長の時にチルドレン候補者を多く立てたと思います。
>小沢ガールズの人たちが、どっちにつくのかですね。
「浮動政治家」だからマスコミに流されそうで心配ですが。。(- -;)>
仰るとおり、小沢氏が幹事長を降りた今、チルドレンが小沢派になるかどうかがポイントになります。

 yellow hermes | 2014.02.03 1:52

hermes rendsburg 日本を守るのに右も左もない | 民主党内『小沢vs反小沢』勢力図予測:2010参院選候補者編

 mbt outlet | 2014.02.22 9:10

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