2009年05月05日

原発導入の歴史 9-原発推進への再転換

今回は、
>1990年から賛成と反対の世論がぐぐっーと近づいているのが気になります。このあたりについては次回に続きます。  日本の原発導入の歴史3 ~日本の反米世論操作~lより
の宿題について考えて見たいと思います。
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画像は虹とモンスーン さんからお借りしました。
毎日新聞 2008年8月15日 東京朝刊より

世界で原発ラッシュ 温暖化対策や原油高騰背景に
 地球温暖化や原油高を背景に、先進国が原子力発電に回帰したり、発展途上国や産油国が新規導入する動きが加速している。世界の原発は435基(発電電力量2兆7000億キロワット時)から将来的に現在の1・8倍の800基に近づくとの推計もある。一方、原発事故や核兵器への転用は世界的に重大な影響を及ぼすため、安全性や平和的利用の確保などの課題がより一層重みを増している。

最近は特に原発推進に拍車がかかっているようです。。。。。
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1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故、その後も1991年美浜原子力発電所、1995年高速増殖炉「もんじゅ」、1997年東海村アスファルト固化施設で事故が起きたが、1990年頃から原発容認の世論が回復し始めている。
これまで扱った原発のリスクやそのエネルギー収支の問題は隠蔽されてきたにせよ、事故の報告がありつつこの世論の変化はどの様にして起こったのか?
この時期、1988年8月にIPCCが設立され、1990年には地球温暖化説が定着しはじめました。
こうした、世界的な動きと原発容認の流れはリンクしているのではないでしょうか?
地球温暖化に関する動きの歴史(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)より

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1980年代には、地球の気温も上昇傾向に転じ、温暖化に関する研究も進展していった。1985年10月には、フィラッハで地球温暖化に関する初めての世界的な学術会議としてフィラッハ会議が開催され、「21世紀半ばには人類が経験したほどのない規模で気温が上昇する」との見解を発表した。1988年8月には、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の共同で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立される。
1990年8月、IPCCは膨大な数の学術的報告を集約して評価を行い、第1次評価報告書にて、21世紀末までに地球の平均気温が約3℃、海面が約65cm上昇するとの具体的予測を発表した。このころには、学術的にも「地球寒冷化説[9]」は過去の説となりつつあり、地球温暖化説が定着しはじめた。1992年6月にリオデジャネイロで開かれた環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)では、気候変動枠組条約が採択され、国際政治は全世界規模での地球温暖化対策が議題に上り始めた。
その後、IPCCは第2次評価報告書、第3次評価報告書を順次発表し、地球温暖化の研究や予測の精度が向上していった。第3次評価報告書においては、下記のような結論が示された[10]。
この半世紀の温暖化の大部分は,人間活動が原因と考えられる。
人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度と放射強制力を増加させ、21世紀中もそのトレンドを支配すると考えられる。
平均地上気温は今世紀末までに、1990年に比べて1.4~5.8℃上昇すると予測される。これに伴い、海水準の上昇や大規模な気候変化が懸念される。
この報告書では研究の不足する点についてなおも空白を埋める必要性を指摘しつつも、それによる不確実性を考慮してもなお人為的な温暖化のリスクが大きいことを警告した。
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そして、CO2による温暖化のリスク回避のために、CO2を出さない、石油に変わるエネルギー源として、原子力発電をアピールしだしたのではないでしょうか?
そもそも、地球温暖化CO2説も、「ウソ」といわれだしてだいぶ経ちますが、原発=CO2を出さないという「ウソ」を上塗りしています。(日本の原発導入の歴史6 ~原発と温暖化
こんな、ウソで固めた内容で、世論誘導しつつ、既に原発推進は政策化されてしまっています。
平成19年に改正された「エネルギー基本計画」のはじめに以下のように書かれています。

「第一に、自立した環境適合的なエネルギー需給構造を実現するため、原子力発電を積極的に推進し、新エネルギーの着実な導入拡大を図ること、・・・・(中略)・・・・第三に、世界のフロントランナーとして省エネルギー政策の一層の充実・強化を図るとともに、我が国として地球温暖化問題に係る実効ある国際的な将来枠組み作りを主導すること、・・・(中略)・・・基本計画の見直しを行う。」

まさに、
>原発も福祉と同様、国が作り出した需要であり、市場拡大が停止した社会でいかにGDPを拡大させ続けるか、という意図のもとに推進され続けてきた<(日本の原発導入の歴史7 ~原発のエネルギー収支より)の通りだと思います。
そして、このような政策の決定構造は。。。。。。
よくわかる原子力-なぜ原発は推進されるのかより

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 日本のエネルギー政策はどこでどのようにつくられ、決定されているのでしょうか。多くの人は、国の大きな政策なのだから公平にきちんと審議されて国会で決定されていると思っているかもしれません。 この点について簡単に解説しましょう。
(中略)
それはどのようにおこなわれるかというと、「諮問機関」とか「審議会」とかいう隠れみのを使う方法です。いきなり政治家や官僚が、ある業界に都合がいい政策を提案するのでは疑惑を持たれます。そこで「こういう審議会で公正な議論をしてこういう答申を受けたので実行します」という形式を踏むのです。本当に公正な審議をしてもらっては困りますから、決まった結論が出るようにメンバーを選びます。公正さを装うために反対派をわざと数人入れることもありますが、最後は多数決なので結論は変わりません。こういう方法で政策をつくれば、政治家や官僚が悪者にされることもなく、公正さを装って一部の人に都合のいい政策を実行できるでしょう。これはエネルギー政策に限らず、公共事業など、今の日本のいろいろな場面に当てはまります。
日本のエネルギー政策のもとになる「エネルギー基本計画」と「長期エネルギー需給見通し」をつくっているのは「総合資源エネルギー調査会」という諮問機関で、経済産業大臣が任命した委員によって構成されています。現在(2004年8月)の「エネルギー基本計画」は、2003年4月から総合資源エネルギー調査会の基本計画部会で審議されました。その委員は27名でしたが、原子力について縮小論をとる委員はただ一人でした。その委員である九州大学の吉岡斉さんは審議会の審議の模様を次のように描いています。
「その審議の進め方は一言でいえば、『エネルギー一家』の家族会議のそれである。そこでは家長(資源エネルギー庁)が、家族構成員たち(エネルギー関連諸業界の代表者や代理人)の意見をひととおり聞き、その上で家族構成員の皆(石油業界、電力業界、ガス業界等々)が納得してくれるような裁定を下す」(「科学社会人間」No.88 [2004年]より)
(後略)
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エネルギー一家の利益拡大に加えて、2003以降こんな動きもあります。
電源開発ってどんな会社?all aboutより

電源開発(Jパワー)は、さまざまな電力会社に対して、電気を供給する会社です。まさに「日本電力の総元締め」的な企業です。
もともとは特殊法人でした。電力不足解消のため、1952年に「電源開発促進法」が成立し、それとともに設立され、さまざまな発電施設を建設、日本の電力インフラ整備にあたってきました。
しかし「小泉改革」のなかで特殊法人の見直しが行われ、電源開発は民営化、株式会社となり、2003年からは東証一部に上場しています。
この会社に近年さかんに投資をしてきたのがイギリスの投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)。昨年夏の段階でほぼ10%の株式を取得し、さらに株式の買い増しをしようとしているのです。

小泉の売国政策によって、電源開発会社も民営化され、外資が入ってきています。
その後、関電などの地球温暖化→CO2削減→原発推進のCMが盛んに流れるようになってきたことからも、「GDPを拡大させ続けるか、という意図」に加えて外資による「日本買い」の動きまで加わっているようです。どうも1985年のプラザ合意以降のアメリカによる日本への巻き返し政策の一環のように思えてなりません。
導入時からアメリカの都合で振り回された原発。そして一度は、チェルノブイリ等の事故により、下火になった原発推進世論が、原発推進へ再転換したのにはこんなカラクリがあるようです。
非常にリスクのある原発を地震国日本に設置させ、その利益は外資が持っていくと言う構造が懸念されます。そして、そのキャンペーンは「地球環境に貢献」という誰も反対できない理屈で喧伝されている。おまけに、「地球環境に貢献」はウソという構造です。
こうした構造をみんなが知っていたら、少なくとも「こんな意見もある」と報道されていたらと思うと、マスコミ全体への怒りが湧いてこないでしょうか?

List    投稿者 ryu0106 | 2009-05-05 | Posted in 02.アメリカに食い尽される日本4 Comments » 

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コメント4件

 unimaro | 2009.08.09 20:13

お疲れ様です。
>宗教や教育を背景に政府要人を欧米諸国へ引き回すことの意図することは、日本の西洋化=洗脳に他ならないと
仰る通りであり、今も昔も、後進国も日本も、結局同様な感じにも思えます。
インドでさえ欧米を崇拝するくらいになっており、支那人もその意識の下では白んぼに憧れるほどであり、、、
現在においては、日本の宗教を含む思想(生き方等広い意味での)しか、欧米の宗教を含むそれらに対抗できるものはないのではないでしょうか。
しかも、何気にアニメというものでそれが若者に広がっていることが、奴らの疑心暗鬼を助長させているとも思えます。
あんないい加減なん児ポ法はそれをつぶす最たるものだと思っております。
ましてや今の日本の警察は「取り締まりたいものだけを取り締まる」という恣意の塊ですし。
仰る通りの意味合いで、明治の開国は日本の終わりの始まりだったと思っております。
いつも勉強になるエントリをありがとうございます!
今後のエントリもたのしみにしております!

 2310 | 2009.08.11 2:07

岩倉使節団が、ロスチャイルドのような金貸しの仕業で市場社会や金融経済、工業生産への誘いであったのであれば、最終目標は、金のない日本に金を貸し、儲け、破綻させて戦争へという金貸しの思考回路が働いていたように思います。
当時の経済的にも、軍事的、国家間条約上にも、物的生産力上もあきらかに欧米から見たら弱者であった日本の明治維新から開国にかけての出来事を上記のように見るとあたらめて、金貸しの思惑が見えてきます。
明治初期の国内統制の取れない時代に、南朝系の岩倉が、使節団として見に行ったものは、天皇中心の国家建て直しのためのものであったが、金貸しは、国内でも南朝と北朝の対立を生ませるためであったとも思われ、いたるところで対立を起こすという構造に導いた最初の世界閲覧であったようにも思います。

 うたのすけ | 2009.08.13 23:50

日本人も彼らの作戦には案外気づいていたのではないでしょうか。つまり、欧米の圧倒的な科学技術力の背景にはキリスト教があることを感じていて、敢て彼らの招きに乗ったのではないでしょうか。
小生は思うに、「敵を知り、己を知らば・・」で、怖がることなく、欧米の構造をどんどん勉強し知ることが大事だと思います。これからも洗脳をおそれていてはいけないと思います。

 hermes bags chocolate | 2014.02.02 10:25

hermes kelly bag 日本を守るのに右も左もない | 日本支配の構造33 岩倉使節団6 本当の目的?

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