2012年09月13日

ルネサンスの科学(魔術)6~社会的責任を負わなくなった技術者達の起源~

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前回は、国家主導のもと科学技術が進歩していく様子を見ていただきました。
富国強兵のために国家主導のもと高等教育機関などで航海技術などの科学技術が追求され、戦争は益々過激さを増しました。
引き続き山本義隆の「磁力と重力の発見2」から「鉱業の発展と磁力の特異性
」を見ていきます。
ここでは軍事力と鉱業、出版業などの発展とその広がりの裏にある金貸しとギルド、そして技術者の関係を見ていきたいと思います。
そしてそのことが今の社会的責任を負わなくなった科学者達の源流となるのです。

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磁力と重力の発見2 著:山本義隆 みすず書房

鉱業の発展と磁力の特異性
16世紀文化革命
ヨーロッパ全土で文化革命とも言うべき大きな地殻変動が知の世界に生じていた。
イギリスやフランス、ドイツ、オランダなどヨーロッパ各地で俗語による科学書籍が出版されるようになった。また内容は以前の古代の知識人による理論をなぞるだけのものではなく、実験的経験を重ねて得られた大量のデータをまとめた書籍ばかりであった。
16世紀中期によるこの変動―技術者・職人によって書かれた俗語書籍の出現―をもたらした要因のひとつは、印刷書籍の登場であった。
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鋳造金属で作られた可動式活字による書籍印刷の発明は15世紀半ばのことであり、最初の印刷された聖書グーテンベルクが作成したのが1455年頃であった。その後10余年でその発明はほぼ完成され、中世末期に中国からイスラーム社会を経て、ヨーロッパに伝えられた製紙技術の地盤上に印刷書籍の出版は企業化され、15世紀末までのわずか半世紀の間に「火を噴くような勢いで」西ヨーロッパ全域に広がった。印刷・出版技術はそもそもの発端から市場原理に支配されたひとつの産業として形成されたのであり、出版業者は「利潤を目的として」書籍を作った。
ビリングッチョの『ピロテクニア』
出版産業の発生と成長という点では、15世紀後半から18世紀前半にかけてはドイツとイタリアが圧倒的に先行していた。そして学術書における俗語の使用という点でも、この二つの国は他の国に半世紀近く先んじていた。そのイタリアにおいて、技術者自身によりイタリア語で書かれた技術書が『デ・ラ・ピロテクニア』である。
内容は鉱業と冶金業、そして火を用いる技術全般にわたる技術書である。とりわけ当時の先進技術である鋳造についての論述は詳しく優れている。更にこのころから使われ始めた高炉についても記述されている。
産業と貨幣経済の飛躍的発展、さらに戦争における重火器(鉄砲と大砲)の使用の拡大とともに、中世末期から金属使用は急速に増大し、13・14世紀にはヨーロッパにおいて鉱山業は隆盛を迎えていた。新大陸においても、15世紀中期にはヨーロッパ人による大規模な鉱山開発が始まっていた。ルネサンス期に大きく発展した技術は、航海術や印刷術とならんで戦争と鉱業の技術であった。
この時代に新規に鉱山を開くためには、それなりに利得にかんするシビアな考慮が必要とされた。
鉱業のこのような興隆は、自由競争を促進することでそれまでの閉鎖的なギルドの拘束をゆるめ、同時にギルドに伝承・蓄積されてきたものを越える技術と知識を要請することになる。『ピロテクニア』のような著書の出版は、ギルドに伝わる神聖な秘密を漏洩するものとして許されなかったであろう。『ピロテクニア』の出版に私達は中世的ギルド解体の始まりを窺い見ることができる。
いずれも周到で綿密な計画と相当の資本力と総合的な管理体制なくしては不可能であった。要するに採鉱から製錬までおこなう鉱山は当時では動力と機械と労働力が最大規模に集積し結合された巨大プラントであり、その全体的な計画の立案や遂行のためには、技術の全容があらかじめ明らかになっていなければならなかったのである。

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ゲオルギウス・アグリコ
大学とは無縁な職人や技術者によって書かれた研究書や技術容の出現にたいして、大学で教育を受けた学者の中からも … きわめて少数であれ … それに呼応する者の登場を見ることになる。
現場の労働者や職人たちに学ぶという提言を鉱山業・冶金実の方面で実践したのは、ドイツ人、ラテン名アグリコラことゲオルク・バウアー(1494―1555)である。
アグリコラは、鉱山師には採鉱・製錬の過程で地質学・鉱物学から化学までの知識が要求されるだけではなく、埋蔵物の起源・原因・性質を知るために自然学が、鉱山労働者の厚生のために医学が、鉱脈の方位や広がりを判断するために天文学が、坑道の開削のために測量学が、経営のために算術が、必要な工事のために建築学が、道具や資材を製作するために図学が必要で、そのうえ権利問題のために鉱山法にも通じていなければならないと語っている。
実際にはこれらの多くは資本家が鉱山事業に乗り出し鉱山を経営するために要する知識であり、まさにそのような技術から実務にいたるまでの万般が、学問の対象になったのである。
ビリングッチョとアグリコラの磁力認識
鉱山業に関連した技術は、航海に関する技術や戦争にかんする技術とともに、15世紀後半から16世紀にかけて急速に発展した。そして16世紀にはこれらの分野や外科学の分野では、実際にその業務に携わっている技術者や船乗り、あるいは軍人や従軍外科医たちによって、その技術内容が語られ、関連した理論的諸問題が考察され表明されはじめたのである。
しかもそれらは、それまでの大学や修道院で使われていた学術言語としてのラテン語によってでほなく、俗語で語られたのである。その動向はおりから登場した印刷出版業によって急速に拡大してゆくことになり、広く都市の市民の間に自然と技術にたいする学問的関心をひろげてゆくことになった。
こうしてヨーロッパにおいては文化革命とも言うべき知の世界の地殻変動が始まったのである。大学で教育をうけた知識人のなかにも、これまでアカデミズムでは無視されていた技術の諸問題を学問的考察の対象とし研究する人たちが登場することになった。
この動きのなかで産み出されたのが、ビリングッチョやアグリコラの考えであった。それらは現実の経験に依拠した実証的な記述を一貫させているのであり、そのことでそれまで大学で教えられていた過去の権威と文献に依拠した論証的な学問とは一線を劃している。
しかしにもかかわらず、磁石についてヨーロッパで千数百年にわたって語り継がれてきた奇妙なもろもろの伝説は、まったく疑われることなく生き延びた。こと磁力となると、被らの経験主義や実証精神は一挙に後退するように見える。磁力という遠隔作用の謎は、16世紀中期の段階でいまなお近代科学の登場に大きく立ちはだかっていたのである。

この工業が発展していく時代に当然軍事産業も目覚ましく発展していきました。
その目ざましい発展となるきっかけとなったギルドと技術者とそして金貸しとの関わりについて更に詳しく記した書籍を紹介します。
「工学の歴史~機械工学を中心に~」著:三輪修三を参考文献として引用

軍事技術の降盛
ルネサンス最盛期、15世紀のヨーロッパは戦争に明け暮れた時代だった。
16世紀に入っても同じ状態が続き、王侯や新興都市国家の指導者達はみな軍事技術の強化に狂奔した。この中から新しいタイプの技術者たちが現れる。その代表がレオナルド・ダ・ヴィンチである。
中世ヨーロッパでは、技術者は民衆に対してじかに職業上の責任を負っていた。彼らの作ったものが事故を起こせば責任をとらなければならなかった。事実、石造高層建築のゴシック建築ではしばしば崩壊事故がおきたのである。12、13世紀は技術開発が活発な時代だったが、やがて危険につながる新しい考案を敬遠する気風が生まれて、技術の固定化と停滞をもたらした。親方達は職種別にギルドを作って相互扶助と技術の維持・伝承にあたった。組合ごとに倫理綱領が作られ、配下の技術者には職業活動に必要な社会的教養と倫理が要求された。
ところが15世紀のルネサンス期になると、絶え間なく起こる戦争にともなって、軍事上の必要からギルドに所属しない新しいタイプの技術者が現れた。彼らは、すなわちギルドの倫理綱領に拘束されない「自由な」技術者を必要としたのは王侯や新興市民の有力者たちである。軍事技術の開発に倫理規定は邪魔でしかない。新技術に関わる一切の責任は雇い主が引き受けるから、技術者は社会のことに関心や責任はもたなくてもよい。ひたすら新技術の開発に専念すべきである。
こうしてギルドに拘束されない一匹狼の技術者達は雇い主の期待に応えて次々に新規な軍事技術を開発した。開発された新技術をラテン語でインゲニウム(ingenium:これがengineの語源)といい。軍事技術者である彼らをインゲニアトール(ingeniator:要塞建築師、字面上はingeniousuな人)と呼んだ。
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レオナルド・ダ・ヴィンチと技術学
レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画・彫刻・音楽・建築・医学などに抜群の才能を発揮した万能の大天才である。だがこれは彼の一面でしかなく。彼は本質的には軍事技術者であった。
彼の社会的活動はまずフィレンツェの軍事技術顧問に始まり、最後はフランス王の軍事顧問技師として生涯を終えた。強力な蒸気砲や有蓋戦車の発明をはじめ、要塞の建設や運河の掘削、工作機械を含む多様な機械装置に至るまで、レオナルドは軍事技術者としての能力と役割をいかんなく発揮した。毒ガスや潜水艦を発明したけれども、あまりに残虐さを考えて彼は発明をためらった、という話が残っている。

15世紀から激しさを増す戦争に軍事技術の需要が高まっていきました。金貸しは軍需産業の市場性に目つけました。軍需産業を拡大するためには、当時ギルドによって守られてきた社会的、倫理的に危険な技術が必要でした。金貸しにとってギルドは邪魔な存在でした。
下記はギルド(ツンフト)の規範やその特徴の参考サイトです。
ギルド(ツンフト)の本質は「確実性を創り出そうとする」ところにあります。そして共同体であり、所属する親方とその家族の共存共栄が目的でした。そもそも経済活動は、利得を手に入れるためではなく、神の意志に適った身分秩序の一部であり、自由な経済活動はそうした秩序を破るので望ましくないと考えられていました。そして各人は、与えられたポジション・社会的、倫理的制限内で活動することによって生計を立て、生きていけると「信じられていた」
●「中世都市のツンフトと工業部門」
リンク
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彼らは出版業を軍事技術の普及による戦争拡大と技術者を買収するための手段という2つの目的のために利用しました。たちまちギルドによって守られていた倫理的、社会的に危険な軍事技術がお金欲しさに目がくらんだ技術者たちによって一般社会に公開されました。そしてギルドの破壊へと繋がっていきました。
更に金貸しがお金と自由な研究を餌に優秀な技術者を専属の軍事技術者としていきました。この時、技術者は完全に金貸しの支配下になりました。これによりギルドは存在意義を失い、破壊されることになります。
ギルドにあった掟やルールは社会倫理的に必要なものでしたが、それを煩わしく思う技術者が金貸しの支配下になっていきました。金貸しの支配下にあった技術者の一人があの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチです。彼もギルドに属さない技術者で、金貸しや国のもとで数々の軍事兵器を開発してきました。
そしてこの頃からギルドに属さない技術者が増え、倫理的、社会的に危険な技術が世に広まっていきました。 このギルドの倫理綱領に拘束されない「自由な」技術者は今の原発事故などの産業技術に携わる技術者の意識の起源と考えられます。それは倫理を無視し、社会的責任を放棄した技術者の意識です。ルネサンス以来、金貸しは数万人に1人の才能を発掘しては芸術家や学者や政治家として育て、金貸しにとって都合の良い考えを学校、マスコミを通じて発信し続けることで、民衆を支配することが出来るのです。これが彼らのやり方なのです。

List    投稿者 KAWA | 2012-09-13 | Posted in 08.近現代史と金貸し3 Comments » 

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コメント3件

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