2009年02月19日

『EUって、どうなっているの?』7~ユーロ設立前夜②、欧州通貨制度が崩壊したのは何で?~

昨日の記事
『EUって、どうなっているの?』6~ユーロ設立前夜①、欧州通貨制度って何~
で、欧州通貨制度(EMS)について扱いました。
この欧州通貨制度(EMS)というのは、日本で言うところの頼母子講制度のような加盟国共同出資による為替安定化体制であったと言えます。この制度が導入されて以降、安定した平価の模索段階(平価調整)を経て、1980年代後半には当初の目的であった為替の安定化(および平価の安定化)が高いレベルで実現されつつありました。
ところが1992年、イギリスを発端とした欧州通貨危機が発生。その後約1年に渡ってその状況は続き、欧州通貨制度は実質崩壊状態にまで追い込まれてしまいます
ではなぜ、為替安定化のための欧州通貨制度を確立したにもかかわらず、欧州通貨危機が起こってしまったのでしょうか
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■ ヘッジファンドの台頭
1979年に創設された欧州通貨制度(EMS)および為替相場メカニズムは、その後1980年代後半には安定した通貨(為替)関係が維持できるまでに成長しました。
ちょうどその頃、世界的な金融市場の肥大化(バクチ経済化)の流れの中で、巨額の資金を動かし、超短期的投機で儲ける組織(企業)が台頭し始めます。俗に言うヘッジファンドと呼ばれる存在です。
このヘッジファンドの最初の標的となったのが欧州でした。(厳密には日本のバブルが一番最初か?)

■ イギリスが標的となって始まった欧州通貨危機
1990年代、イギリスは恒常的な不況に見舞われていました。ここに目を付けた(ジョージソロスら)ヘッジファンドが1992年、イギリス・ポンドに対して一気に空売りを仕掛けます(日本円換算で1兆円以上とも言われている)。イギリス政府の抵抗空しく、これによりイギリス・ポンドは大幅下落となり、イギリスはERMからの脱退を余儀なくされます。
この影響はイギリスだけに留まらず、為替レートを一定幅に抑える仕組みを持つERM加盟諸国は次々と通貨安の展開となり、ついにはイタリアもERMから脱退します。(スペイン、ポルトガル、アイルランドも平価切り下げを実施)
この段階で、ERM離脱や平価切り下げも実施しなかったドイツ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、フランスと、ERM離脱および平価切り下げを実施したイギリス、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドという、EC諸国が二分された状況になりつつありました。

■ さらに影響は深刻化し、ERMが機能不全に
翌1993年にはスペイン・ペセタに標的が移り、激しく売り込まれます。さらにフランス・フラン、デンマーク・クローネ、ベルギー・フラン、ポルトガル・エスクードと次々にERM通貨が売り込まれていきます。
この状況下で、各国蔵相・中央銀行総裁による緊急会合により、ERM内の各国通貨の許容変動幅を上下15%まで広げる決定がなされ、ERMは事実上機能不全に陥ることとなった。
これは欧州通貨制度がヘッジファンドに敗北する瞬間でもあった。
結局、為替や物価の安定を目指した欧州通貨制度は、一国通貨が大量に売り浴びせられると、その影響が連鎖的に他国にまで及んでしまうという、その共同体的性質が逆手に取られる形でヘッジファンドに食い物にされる結果となってしまった。
1990年代後半に発生したアジア通貨危機も、同様にヘッジファンドの仕掛けによるものであった。

■ 欧州通貨制度が崩壊したのは何で?
欧州通貨制度の発足からその崩壊までを俯瞰すると、その崩壊原因は大きく以下2点が指摘できる。
 ①経済状況の大きく異なる国同士による為替維持通貨体制は構造的な矛盾を孕む。
 ②金融資本(ヘッジファンド等)に対する規制が甘かった。

この要因を克服するために、欧州諸国は、欧州通貨制度を解消、発展させる形で、1999年共通通貨ユーロの導入に踏み切りることになります。
では、ユーロ導入によって欧州諸国はどのような変化があったのでしょうか 上記問題は解消したのでしょうか
次回はそのあたりについて追及してみたいと思います。

***
欧州通貨危機で気になる点を補足しておくと、イギリスがERMに加盟したのが1990年で、1992年にはEC加盟国による単一市場化(金融市場の自由化など)がほぼ実現。そのタイミングでイギリスが通貨危機のターゲットにされ、それが欧州通貨危機に発展。そして欧州通貨制度の崩壊からユーロ導入に至る。
この経緯を見るに、金融資本による欧州通貨危機からユーロ導入への誘導に際し、どうやらイギリスがそのダシに使われた可能性があるように思えます。

List    投稿者 nishi | 2009-02-19 | Posted in 08.近現代史と金貸し4 Comments » 

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コメント4件

 ななし | 2009.06.11 10:59

日本の水源地を外資、特に中国資本が買い漁ってるらしいですね。
一方の日系資本は何故か防衛に動きません。
これは対馬でもそうですね。
その替わりに㌦下落のリスクを承知で米国の証券類を買い支えてるようです。
2月だけで2兆円、先月も1兆円ほど投資してるそうです。
小泉改革後、国民経済は完全に破壊され米国への貢ぐ君になってしまったようですね。
農林中金の大損を見ていても強くそう思います。
経営者は糾弾されてしかるべきですがマスコミも無視したまんまですしね。
米国や韓国のようにエクソンフロリオ条項を制定して外資の侵略からの防衛をすると言う動きもありませんし。
エクソンフロリオ条項賛成派の中川氏は例のスキャンダルで更迭されましたしね。
丸で外圧で屈辱的な不平等条約を飲まされた幕末を彷彿とさせますね。
結局、不平等条約改正の為に日清・日露と多大な犠牲を払わなければならなかった事を日本人は忘れてるんでしょうかね。

 tama | 2009.06.13 23:21

ななしさん、コメントありがとうございます。
>小泉改革後、国民経済は完全に破壊され米国への貢ぐ君になってしまったようですね。
 日本郵政の西川社長も続投するようですね。
 鳩山大臣が必ずしも間違っていたとは思わないですが、喧嘩下手でしたね。
 麻生総理の腰も定まらなかったし、郵政はもうどうしようもないのかな。

 kenya | 2009.06.16 21:55

米国の中南米地域では砂漠のような土地で、トウモロコシを作るために1000m~2000mもの深層から大量に水を汲み上げている。ロッキー山脈から流れ込んだ地下水を大量に含んだ地層が枯渇しかかっている。将来どうなるのだろうか。
中国でも黄河は途中の都市で水を取水するため、下流まで水が流れてれて行かなくなっている。北京のオリンピックでは北京の水を確保するために、周辺の農家が作物を作る水を汲むことを禁止され、暴動寸前までに行った事例があります。
バーチャルウオーターに対する負担金を課す動きもあるが、結局は困窮している人には還元されず、金持ちに集中する構造の方が問題。

 hermes handbags svizra | 2014.02.03 11:06

hermes hub ohrdruf 日本を守るのに右も左もない | 水資源の危機を煽って、金儲けをする国際金融資本の次の一手は?

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