2007年03月27日

地価上げたのはブッシュ

都心部の地価上昇について考えている矢先に、産経新聞3月25日に以下のような記事があった。
それは02年10月、ブッシュの要請に応えるかたちで小泉首相が打ち出した「金融再生プログラム」と、翌年9月の「市街地での容積率規制の大幅な緩和」にある。
以下にその記事を抜粋する。
 

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産経新聞3月25日の記事より

都会に暮らす者は「3大都市圏の地価上昇」にいい気になってはいけない。日本は自力ではなく、ブッシュ大統領が小泉純一郎前首相の背中を押したからこうなっただけのことである。そのプロセスは決してきれいごとではない。
 それは2002年2月19日までさかのぼる。ブッシュ米大統領は日本の国会で演説し、小泉首相を「アメリカの新しいベースボールスター、イチロー」にたとえ、「投げられた球をすべて打ち返すことができる」と持ち上げた。このときブッシュ大統領が小泉首相に投げた決め球とは自衛隊のイラク派遣(03年12月)のことではなかった。不良債権処理の催促である。大統領は、「アメリカは過去に不良債権を市場に出して、新たな投資を可能にした。小泉首相の改革で日本経済に関しても同じ事が起こるだろう」と励ました。
 ブッシュ大統領は念には念を入れていた。来日前に小泉首相に親書を送り、不良債権の市場処理を強く求めた。銀行の不良債権が帳簿上での処理にとどまり、不動産や事業など企業の不稼働資産が処理されていない状況に苛立ちを隠さず、「早期に市場に売却されないことに、強く懸念している」とかなり具体的、直接に問題解決を促していた。
 大統領は日本のためだけを思っていたわけではなかった。死に体になった日本の金融機関・企業や野晒しになったままの不動産を超安値で買いたたいては収益資産に仕立て上げて高値で売り抜ける米系投資ファンド。悪く言えば「ハゲタカ・ファンド」、よく言えば「再生ファンド」。多くの幹部が米共和党系の人脈に属している。その利害を、ブッシュ大統領は代表した。
 小泉首相は早速応えた。02年10月に「金融再生プログラム」を打ち出して市場価格での不良債権の最終処分を促して土地の市場放出を増やす一方、翌年の9月には市街地での容積率規制を大幅に緩和して土地を高度利用して儲かる高層ビルや高層マンションが建てられるようにした。
 こうした環境整備に応じて、外資系の金融機関や投資ファンドが対日不動産投資に相次いで乗り出すようになった。手法は主として、不動産投資信託(REIT)である。投資先の不動産を証券化して一般の投資家に売る。投資家を惹きつけるためには高い利回りを保証する不動産でなければならない。そのためには、まとまった広い面積の土地を確保する必要がある。
 障害がある。バブル崩壊後、権利保有者の利害が複雑にからんだ土地や雑居ビルが多い。裏社会が関与している。不良資産を買い取り、優良資産に仕立て上げる過程でさまざまなトラブルが発生する。ある大手の米系投資銀行は参謀格に米軍出身者を据え、米側関係者の居場所や電話番号などの連絡先から脅迫や誘拐対策まで完ぺきな危機管理マニュアルを備えた。大半の案件は、手を汚さなくても直接関与しなくても、日本側業者が地上げによりまとめて持ってきた。
 金融機関の不良債権の市場処分ははかどるし、円安効果と輸出で企業収益も回復が著しい。でも、実は米国の資本の論理を受け入れた成果であり、達成感に乏しい。
 壮麗に見える都心の再開発の背後には地域間格差の広がりがある。収益性が低ければ、不動産投資ファンドは食指を動かさないから、地方では相変わらず地価は下がり続け、夕張市のようにさびれるばかりだ。大都市でも、高収益の不動産開発志向は団塊の年金を負担する若い世代に快適な居住環境を保証するわけではない。
 外資系ファンドに丸投げするようだと、真の日本再生の道を見失う。日本自らの力で経済社会のバランスを取り戻すことこそ、「美しい国」のゴールではないだろうか。

List    投稿者 fukusima | 2007-03-27 | Posted in 10.日本の時事問題1 Comment » 

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コメント1件

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