2023年01月16日

女性が活力持って子育てと仕事を担える環境とは

少子高齢化を背景とする労働人口の減少で、企業の人手不足が常態化している日本。近年、第一子出産を機に離職する女性が多いことが問題視されており、企業の事業継続に影響を与える経営課題となっています。

出産・子育てに対する制度は30~40年程で少しずつ整えられてきましたが、たとえ制度を整えたとしても、現実的には仕事と子育ては切り離され、どちらか一方を諦めなければいけない事態も多くあります。また、制度を活用しやすい職場の雰囲気が無かったり、そこでイキイキと働くことができなかったりすると、制度を利用したとしても育休中・後に離職してしまうケースも。

そこで今回は、女性が活力を持って子育てと仕事を担える環境について、「株式会社ワンピース」の事例を紹介しながら考えていきます。

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■「株式会社ワンピース」とは?
兵庫県のアパレルECベンチャー企業「株式会社ワンピース」は、従業員約120名のうち女性が9割、そのうち働く母親が約8割。代表取締役の久本氏は、『社会で働いてきた女性が、出産・育休を機に働きたいのに働ける機会や条件が制限され働きにくくなるということを目の当たりにしたこと、そして、一緒に働くワンピースのメンバーの働きやすさをどう実現していくか』を考え始めたのをきっかけに、環境整備を実施。
意思決定会議「ワンピース会」を毎月開催し、社内ルールや投資の意思決定、福利厚生などを社員みんなで話し合って決定しています。その結果、母親たちが自ら考えた「チームメンバーの共認を取りながら、休みを自在に設定できる」「契約内容をいつでも変更可能」、「ママパパSTART祝い金(最大25万)」、等の子育てに関わる取り組みが誕生しました。

多様化している時代にあわせて、働き方自体も自由自在に。チームビルディング、ファシリテーション、コンセプトデザイン理論などを、7年間も研究・実践し、社員が自分で考え、決めて、行動する「ワンピース流の経営手法」を確立しています。
その結果、約200人のメンバーが自律自走しながら利益も出せる組織になり生み出される事業数は年間3~5個、赤字から7年で売上は7倍、純利益は4倍の経営改革を成し遂げました。

■地域へのアプローチ
このように、自分たちの生き方や行動をみんなで考える機会をつくる活動は、社内だけではなく、地域にも広げています
『お金を使わず物と物を交換し、お金を必要としない世界を世の中に広げて、みんなで体験して、自分や周りが困ったときにお互い助け合えたら、お金がなくて苦労することのない社会ができる』と考え、一般社団法人「ぐるり」を立ち上げ。ぐるりしたいものを1個持ってきたら1個持って帰れるルールで野菜や食器、家具や文具、おもちゃ、知恵や経験、などがSNS上やイベントで譲られたり、交換されています。ただ物を消費するのではなく物を大切に使い続け、生活を見直す機会やシェアリングで人々のコミュニケーションの場を設けることとで、心身ともに豊かになれる仕組みづくりができていると言えます。

■社員の声
では、実際にこの環境で働いている人はどう感じているのでしょうか。
株式会社ワンピースで働いている母親の声を紹介します。
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アットホームとかフラット組織っていっても、なぁなぁになったり慣れ合ったりしているわけではなくて、会議でも好きなように発言できるし、自分らしくいられるところだなって思います。
生きやすい。
私には、この言葉がぴったり合います。
―(中略)―
遊びに行くっていうのも言えるし、家族とのそういう時間も大事だよねってお互いに思えている状態ですし、子どもの幼稚園が始まるとき、登園バスの時間が遅くなったときも在宅でできる仕事と出社してする仕事の配分を相談することができて、フルタイムの契約を変更することなく働くことができています。子どもの幼稚園の行事も休まずに参加できる状態を作ってもらっていて、母親としても何かを諦めることなく、働く女性としても何かを諦めることなく、やりたいことをやっている今の自分は、本当に自分らしくいられていると思いますし、母親と仕事のバランスが取れていて、本当にすごくありがたい環境です。

※『株式会社ワンピース コーポレートサイト, 「わたしの幸せ」インタビュー』より引用

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やはり、「仕事」も「育児」もどれだけ充足課題にできるのかがカギなんですね。どっちを選択するのではなく、心地よく両立させたい。男も女も大人も子どもも、どんな人でも「役割」があるから安心できる、充足できるのだと実感しました。

そう考えると、「役割」って周りから「期待」されて「評価」されることで、嬉しいし、もっと良くしていこう!と考えられるし、うまくいかないことでもみんなで共有することで次に向かえますよね。

そして、その状態を実現するには、どれだけ周りに開きだし、実現に向けて動いていけるかが大切になっていくと思います。自分の状況を仲間伝え、共に働くメンバーの状況も踏まえて、共に考えながら、やりたいことを実現していく
そうすることで、親も子も、共に働くメンバーにとっても、みんなが気持ちの良い働き方ができるのではないでしょうか。

さらに、全ての社員と気持ちが一体化できればもっと活力を持って働けることに繋がりそうです。
自らが働き方の見直しや組織づくりを考えていける環境は、議論して可能性に向かえる仲間がいる安心感や組織の一体感を醸成し、皆が誇りと愛着を持てる会社になるでしょう。この事例は、それを示しているのだと思いました。

対象を広げる、気持ちを広げる、役割を広げる。その過程で、自分も相手も全てをさらけ出せて、全てを受け入れられるし、受け入れてもらえる。
そんな集団を自らつくっていけると、どんな状況でも活力をもって生きていけるのだと思います。

■参考サイト
株式会社ワンピース コーポレートサイト
https://www.onepeace-net.com/, (参照 2022-01-12)
株式会社ワンピース コーポレートサイト 「私の幸せ」インタビュー
https://www.onepeace-net.com/interview_other.html(参照 2022-01-12)
■参考書籍
久本 和明  (2021)『僕たちはみんなで会社を経営することにした。』

List    投稿者 miya-jun | 2023-01-16 | Posted in 14.その他No Comments » 

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