【世界の力を読み解く】脱米に収束しきれない英国/反露を推進させられる日本
先日ウクライナ戦争の最中、英国のジョンソン首相が辞任を発表しました。6月初めには議会に不信任案が提出された際には僅差で否決されましたが、そこから間もなくして辞任となります。表立った理由としては保守党の不祥事ということになっていますが、本当のそのような理由なのでしょうか?周辺の性的スキャンダルや宴会騒動などといったものは、時期を選んで公表されているようなものなので、真の理由が他にあるはずです。
今回の記事ではジョンソン首相辞任の裏にどのような意向があるのかを考察していきたいと思います。
〇ロシアとの約束を破り続けたのはNATO
まずは改めて今回の戦争に至る歴史的な経緯を振り返っていきたいと思います。
ドイツ統一が決まった1990年の時点で、NATOは東方に対して拡大しないといった約束が、ソ連に対してなされていました。それにも関わらず1999年にポーランド、ハンガリー、チェコ、2004年には直接ロシアに接するエストニア、ラトビア、リトアニアを含む7か国がさらに加盟することになりました。ロシアは仕方なくこの二回の拡大を受け入れてきました。
この時点で2度も約束を破ってきたNATOですが、さらに2008年のNATOの首脳会議でジョージアとウクライナを将来的にNATOに組み込むことを宣言しました。その直後にさすがにプーチンも緊急会見を行い、ジョージアとウクライナのNATO入りは、ロシアの安全保障への直接的な脅威とみなされると主張しました。これはロシアにとって超えてはならないラインを明確に示したことになります。
〇ウクライナを“事実上”のNAT加盟国にした英米
NATOは前述のように以前からロシアに対しての約束を守ることなく好き勝手にやってきていました。実際にウクライナはNATOに加盟していませんでしたが、それも屁理屈のようなもので実際には“事実上”の加盟国と言える状態でした。
英米によって高性能の兵器を大量に送り、軍事顧問団も派遣して完全に武装化させていました。その証拠がウクライナ軍がロシア軍の攻勢をある程度は止める事が出来ているという事です。ウクライナ軍単体の力では不可能なことです。
〇脱米路線に収束しきれない英国
これまで歴史的に見ても米国と結託して反ロシアを推進してきた英国ですが、今回のジョンソン首相の辞任はその流れを進める方向に行くのか?それともそれとは反する方向に向かうのか?
G7を率いてロシアや中国を敵視している戦略の大失敗がほぼ確定している状況で、このままだとロシアなど非米諸国から米国側への経済的な報復によって、英国を含む米国側の全体が、エネルギー穀物など資源類の高騰と不足によって経済破綻しかねません。
そこで英国はウクライナ戦争の敗戦を待つことなく、ジョンソン首相が辞任したということは米国にこのまま付くよりもロシアに付く方が有効であるという判断を下したということだと思われました。
しかし、ジョンソン首相の後任首相を決める保守党の党首選挙が進んでいますが、その様子を見ると脱米路線が進んでいるとは言えないようです。今残っている2人の候補のうち、リズ・トラス外相はネオコン系で、露中を徹底敵視して英国と米国側をさらに自滅させる策をとることになります。リシ・スナク前財務相が勝つと、英国はEUに再加盟する試みるかもしれず、ジョンソン首相はスナクの当選を全力で阻むことを宣言しています。英国も素直に脱米路線に向かうにはもう一山ありそうな状況です。
〇反露を主導させられるのは日本
先日のG7では、ロシアに対する制裁を強めることが決定されましたが、英国もそうですが他の国が多少揺らいでいる中で、先陣を切って制裁を実行しようとしているのがまさかの日本でした。早速ロシアに対して石油の輸入価格の上限を設定すると強気の姿勢を見せたところ、すぐさまロシアからの批判を受けることになっています。このままだといつものように日本のみが大打撃を受けるといったこともありえます。
日本の「非友好的」立場、関係発展を促進せず=ロシア大統領報道官
最近の日本メディアでは統一教会と献金、コロナの拡大といったこの2点のニュースでもちきりの状態です。こういったときには裏で何か別の動きがあることが定石です。 他国がロシアへの制裁から引き始めている中、今後日本はどこまで米国に加担していことになってくのかを次回は考察してきたいと思います。
By Satoshi
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