アメリカ情勢~内乱から自治区の出現/11都市がベーシックインカム導入実験/小都市による自立の兆しか~
アメリカではコロナウイルス感染者数が急増、一日で4万人を突破した。4万人突破したのは過去5日間で4回目となっており、各州は大混乱。
また既に内乱が起こっている州もあり、そのような中ワシントン州シアトルでは、「チャズ」と呼ばれる自治区も出現した。(こちらを参照)
混乱と混沌の渦中で、ベーシックインカムを導入実験しようと動いている29歳の市長がいる。
以下、こちらからの引用です。
米11都市でベーシックインカム導入実験、29歳市長が発起人
米国のロサンゼルスやアトランタを含む11の都市の市長らが6月29日、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)のテスト導入を行うと宣言した。新型コロナウイルスのパンデミックを受け、行政の間では人々に最低限の収入を保証する政策の検討が進んでいる。市長らはMayors For A Guaranteed Incomeと呼ばれる連合を結成し、市民らに無条件で定期的に現金を給付しようとしている。この連合を立ち上げたのは、現在29歳のカリフォルニア州ストックトン市長のマイケル・タブスだ。ストックトン市は昨年から、米国で初の市レベルでのベーシック・インカムの導入実験を実施している。米国11の都市は今回、合同でベーシック・インカムの理念を推進し、情報交換を行うが、資金調達は個別に行ない、民間とのパートナーシップも視野に入れてプロジェクトを進めるとタブスはフォーブスの取材に回答した。タブスは、新型コロナウイルスのパンデミックとジョージ・フロイドの死を受けて発生した抗議デモが、彼に連合の結成を決意させたと述べている。「今こそ危機に立ち向かう動きを起こすべきだ。パンデミックによって深刻なダメージを受けた地域の人々を、連邦政府による現金給付で救いたい」とタブスは話した。「人々は困難から立ち上がるための経済的回復力を必要としている」
タブスはストックトン市において、月額500ドルの現金給付を125人に対して実施すると2017年に宣言し、メディアや各自治体から大きな注目を集めた。当初は18カ月間の予定だった現金給付は2019年2月から始まり、既に2021年1月までの延長が決定済みだ。
タブスによるとプログラムは有効性が確認されており、受給者の大半は資金を食料品の購入や公共料金支払いに充てているという。月額500ドルの現金は、コロナウイルスの失業給付金を待つ人々の命綱となった。時給の仕事で働くある受給者は、この資金によって条件の良い別の職場の面接を受ける時間を確保できたとタブスは話した。
ベーシック・インカムの歴史は古く、18世紀の思想家のトマス・ペインがその元祖だとされている。彼は1797年に国民すべてに毎年いくらかの現金を配り、基本的なニーズを確実に満たせるようにするべきだと訴えていた。1960年代の公民権活動家のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアもこのアイデアを支持していた。
近年では米国やフィンランド、ケニア、カナダ、オランダなどの研究者が小規模なベーシック・インカムの導入実験を行った。かつては現実離れした理念と考えられていたこの仕組みは、パンデミックを受けて米国の議会でも真剣に議論されるようになった。
「パンデミックによって、我々の社会がいかに脆弱なものであるかが浮き彫りになった」とタブスは話す。「新型コロナウイルスは、かつての大恐慌時代のような状況にこの国を追い込んだ。人々や社会にセーフティネットをもたらす新たな政策が求められている」
Mayors For A Guaranteed Incomeに参加するのはカリフォルニア州のロサンゼルス、ストックトン、コンプトン、オークランドの4都市に加え、ジョージア州アトランタ、ワシントン州タコマ、ニュージャージー州ニューアーク、ミネソタ州セントポール、ミシシッピ州ジャクソン、ルイジアナ州シュリーブポート、サウスカロライナ州コロンビアとされている。
チャズ自治区の出現も、ベーシックインカムを各都市が自主的に導入していく動きも、大国アメリカを分裂していく流れと言える。小都市による自立の兆しか。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2020/07/10314.html/trackback