2010年02月15日

法令遵守が日本を滅ぼす!?~法令遵守の前に必要なものとは~

%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B9.jpg
写真はこちらからお借りしました。
 
1.法令遵守とは
 最近よく耳にする「コンプライアンス」は一般的には「法令遵守」という意味で使われている。私たちの廻りでも、企業の不祥事がメディアに取り沙汰され、企業コンプライアンスという言葉も頻繁に耳にするようになってきた。
 
 メディアなどで企業コンプライアンスという言葉は多くの場合、企業では問題解決や問題防止の為に「コンプライアンス=法令遵守」を徹底するというような使い方をされている。そしてあたかも、法令を守れば健全な企業となれると簡単に思い込んでいるようにみえる。しかし、それで根本的に問題は解決できているのだろうか。むしろ法令と現実の乖離をもたらし、みんなが求めている社会からズレていっているのではないだろうか。
 
 本記事では、『「法令遵守」が日本を滅ぼす(郷原信郎著)』を参考に、法令遵守による弊害と、問題点がどこにあるのか、本当の意味での法令遵守と今後の法の在り方について考えていく。
 
いつも応援ありがとうございます。

にほんブログ村 政治ブログへ


2.法令遵守が日本を滅ぼす!?~日本における仕事分配システムへの弊害~
〇法例遵守→仕事分配システムを機能不全→品質、安全性、国民生活の低下
 
法令遵守の弊害の一例として、仕事の分配システム=談合の事例を見てみる。
高度経済成長期までの日本では、合理的な「仕事(富)の分配システム」として、談合は非公式システムとしながらも産業基盤の確立、地域の経済振興、中小企業の保護・育成の面で一定機能していた。
昭和50年以降、独禁法に照らして談合システムを「違法」とした動きが強くなり、独禁法の運用機関である公正取引委員会によって、談合に対する独禁法の運用を制裁強化一辺倒で進めた。マスコミが世論を操作し、指名競争入札が談合の温床だと批判することで、一般競争入札が拡大した。
 
その結果
・企業側の安定的な受注、利益の確保ができない
     ↓
・地方の中小企業の保護、育成がされない(自社の利益第一)
     ↓
・不心得な業者が受注することを防止するための、業者間での自主チェック停止
 
といった現象が増え、落札率の低下とともに、工事品質・安全面の軽視が進んでいった。
 
*法令遵守によって一番重要な安全性が低下するという結果を招いた。そもそも法令遵守が推し進められた真の理由は、安全性向上ではなく市場原理促進であり、ある意味必然の結果であった。
 
3.なぜ歪んだ“法令遵守”が蔓延するのか
〇社会から切り離された官僚たち
 現在の実質的な法の制定者は官僚であり、歪んだ法令遵守の蔓延の一要因としては、官僚のズレも挙げられる。参考資料では経済分野における断絶構造が指摘されている。
 
 「法令の制定や改廃を経済実態に即したものにするためには、官僚が経済社会の実情を把握し理解することが重要。そのため企業人と十分な意思疎通を図れる関係を維持できることが不可欠。しかし、1990年代末、大蔵省不祥事を契機に国家公務員倫理法が制定され、この法律が遵守されることで、官僚たちが経済社会から切り離され、官僚は経済社会の実態や情報源を失うことになった。
その後抽象的な理念や理屈に拘る様になり、社会基盤や司法制度が根本的に異なる外国の制度をそのまま輸入するようにな法改正が多くなる。その結果、民から切断された官の世界は、法令の「内的世界」で自己増殖を続けている」
 
 しかし、実態がつかめなくなったのであれば、実態をつかみにくのが普通である。本質的には、官僚たちが“無能=己のことしか考えていない”からだ。
役に立たない理屈にしがみついたり、そぐわない制度を輸入するのは、みんなの役に立つことが何かわからない=無能の証左である。
 
〇マスメディアが暴走増幅装置~違法か否かにこだわるマスコミ報道~
 もう1つの大きな要因はマスメディアである。たとえば新聞において、ネタになるかどうかは、違法行為かどうか、当局がそれと同様の評価をしたかどうかが決定的な要素になる。最終的に記事にするかどうかは、当局が捜査に乗り出す見込みがあるかどうかで判断する。法令の中身はどうでもよく、違法か合法か「つまり「メシのタネになるか否か」という点のみが関心事であり、法令違反を糾弾するために“法令遵守”の布教活動に邁進しているのだ。
 
 実際に大手メディアの体制や報道スタンスをみると、“法令遵守”がメシのタネであることがよくわかる
 
・記者クラブ制度
 当局の判断に追従する報道姿勢なので官庁や団体の意向に左右されがち。当局の法令違反の指摘だけ鵜呑みにし、背景事情は報道しない。当局のご機嫌を損なうことは、ネタ元の喪失につながるリスクがあるので報道しない。
 
 
・コストパフォーマンスのよい「善玉」「悪玉」報道
 善玉か悪玉かの当局の判断を、読者や視聴者がそのまま受け入れてくれるのが最も合理的。複雑な背景で起きている事件を単純化し、「法令を遵守しなかったから悪い」「法令遵守さえ徹底すれば良い」で片付けてしまう傾向を助長している。マスコミ自身の抗議や名誉毀損等のリスク軽減でもある。
 
・バッシング報道=魔女狩り
 雪印事件や三菱自動車事件のように不祥事が重なった場合、高まる社会的非難が臨界点を超え、メディア・スクラムによるバッシングが始まる。単なる「ニュース製造事業」であり、改善策を提示する気はさらさらない
 
*このような、自分たちに都合の良い浅い報道しか考えていない=無能なマスコミによる報道も、歪んだ“法令遵守”の蔓延に拍車をかけている。
 
4.法令遵守の前に必要なものとは
〇法の背後にある社会的要請に応えること~企業から変わる~  
 企業が法令規則ばかり見て背後にある社会的要請を考えないで対応すると、法令は遵守しているけれども、社会的要請に反しているということが生じる。本来は、法令の背後には何らかの社会的な要請があり、要請を実現するために法令が定められる。
 
 参考資料では企業・組織が社会的要請に応えていくためのフルセット・コンプライアンスという考え方が提示されている
①社会的要請を的確に把握し、要請に応えていくための組織としての方針を具体的に明らかにすること
②方針に従い、バランスよく応えていくための組織体系を構築すること
③組織全体を方針実現に向けて機能させていくこと
④方針に反する行為が行われた事実が明らかになったりその疑いが生じたりしたときに、原因を究明して再発を防止すること
⑤一つの組織だけで社会的要請に応えようとしても困難な事情、つまり組織が活動する環境自体に問題があるときは、環境を改めていくこと。
 
 法令の背後にある社会的要因に応えていくことこそがコンプライアンスであると認識し、その観点から組織の在り方を根本的に考え直すことが重要になる。それが社会の要請に応えることに繋がる。
 
 しかし、現在は、社会的要請そっちのけの“法令遵守”やそもそも社会的要請に基づいていない法制度で溢れかえっている。この状況においては、歪んだ“法令遵守”や法制度を変えていくことが、社会的要請=みんなの期待といえる。そのためには、法令遵守信仰=思考停止状態から脱却し、特権階級=無能階級にNO!を突きつけていく必要がある。
 
 実際、現実の生産課題に向き合っている企業の方が、はるかにみんなの役に立つ制度や法令を作っていくことができる。企業がスクラムを組んで、法案や制度案を提起し、共認闘争を行っていけば、社会的要請に合致した法制度が創り出せるのではないだろうか。

 
%E5%85%83%E6%B0%97%E3%81%AA%E4%BC%81%E6%A5%AD.jpg
 
写真はこちらからお借りしました
 
 
最後まで読んでくれてありがとうございます。
応援よろしくお願いします。
 
るいネット
メルマガ

List    投稿者 yamatetu | 2010-02-15 | Posted in 07.新政治勢力の結集に向けて2 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nihon-syakai.net/blog/2010/02/1553.html/trackback


コメント2件

 hermes shop | 2014.02.02 23:35

hermes xl paket abholung 日本を守るのに右も左もない | 人々の意識⇔国家(制度)⑦~性権力が武力をも凌ぐ力になった~

 mbt shoes for sale in uk | 2014.02.22 7:42

mbt swiss shoes 日本を守るのに右も左もない | 人々の意識⇔国家(制度)⑦~性権力が武力をも凌ぐ力になった~

Comment



Comment