【日本の技術の神髄から学ぶ】~金属加工・製鉄①~日本のモノづくりの可能性。
近年、ウクライナ紛争による影響で鉄鋼や木材の調達が困難になったことで価格が高騰。建築業でいえば2~3割ほど価格が上がり、事業の成立そのものが危うくなっている状態です。
建築業に限らず、これら国外で起きる突発的な事態はモノづくり全てに大打撃を与え、生産力を下げることになりますが、日本のGDPの2割を占め、いまなお重要な基幹産業となっている日本のモノづくりの生産力の低下は、日本そのものの危機でもあるのではないでしょうか。
今のままではなく、これからの「日本のモノづくりの可能性」について考えていく必要があると思います。
ではそもそも、なぜこうなったのでしょうか?
原因を遡っていくと20 世紀末からおきた製造業の「グローバルサプライチェーン(供給連鎖)」の発展に辿りつきます。
グローバルサプライチェーンの強みは、製品の原料調達から消費活動を世界レベルで捉え、国外で安くモノを作り、自国に仕入れ高く売る効率的な仕組みをつくることにあります。
しかし、コロナのようなパンデミックや紛争など国外で突発的に発生する課題によって、容易に供給が破綻、強みであった安く作ることが困難になりつつあり、国外に生産力を依存していることの危うさが浮き彫りになりました。
21世紀は今後さらに何が起こるかわからない不確実性の高い時代に突入していきます。
グローバルサプライチェーンに依存しつづけることは困難です。
では、これからの製造業はどのような仕組みが良いのでしょうか?またその中で、日本のモノづくりの強みや可能性は何で、どうしたら勝っていけるのでしょうか?
世界で活躍している「日本のモノづくり」ついて見ていくことで、可能性を探っていくとともに、モノづくりに限らず普遍的に『日本の技術の神髄から学ぶ』べきことを見出していきます。
初回は「日本の金属加工・製鉄技術」について見ていきます。
■日本が誇る世界で活躍する企業
日本には、世界で活躍する企業が数多く存在します。特に金属加工や製鉄に関わる企業の中では、日常的に私たちが知る大企業のほかに、小さな企業でも世界中から求められる製品を供給する企業が日本各地に多数存在することがわかってきました。一例を紹介します。
『新潟』
・「武田金型製作所」 ~魔法の金属を作る金属加工工場 1000分の3ミリの技~
・「磨き屋シンジケート」 ~Appleの生産を支えた世界一の磨き屋集団~
『島根』
・「守谷刃物研究所」 ~自動車部品の世界シェアNO.1。ロケットをぶった切る超精密加工技術~
・「YSSヤスキハガネ」 ~特殊鋼生産の世界的プロフェッショナル~
『大阪』
・「シマノ」 ~ツール・ド・フランス使用率7割!世界を制した自転車部品メーカー~
・「向陽技研株式会社」 ~家具に使われる屈折金具のシェア世界一~
・「堺アルミ株式会社」 ~アルミ箔市場にて世界No.1シェア~
『岐阜』
・「TYK」 ~製鉄所の高炉や鋳造設備の内張りに使われる耐火レンガの世界シェアトップ企業~
・「メイラ」 ~宇宙・航空・車輌・医療まで、世界を適切に”留める”、ネジを極めた企業~
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このように、日本には数多くの世界で最高峰・唯一の“質”を生み出す技術を持った企業が多数あります。そして驚異的なのが これらの企業は“質”だけでなく“量”も生み出していること。
世界でも稀にみるこの力を活かし、日本企業同士を繋ぎ合うことで、新しいモノづくりの仕組みが見えてくるのではないでしょうか?
次回は、『質と量を両立する”技術”はどうやって生まれてきたのか?』を見ていきたいと思います。
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