子どもたちの探求意欲を高めるのは「先生の熱量」~某小学校プロジェクトで見た可能性ある先生たちの姿
「主体的・対話的で深い学びの実現」を掲げた日本型学校教育が始動されつつも、
不登校児童の数が過去最多、教職員における精神疾患で休職件数も過去最多と、厳しい環境にある日本学校教育…。
一方で、前回(アクティブラーニング推進の突破口として注目される「新しい体育」)紹介したような新しい変化が芽生えつつあることも確か。
今回は、子どもたちを導く存在でもある「先生の変化」について紹介していきたいと思います。
紹介するのは、実際に私たちが協働させていただいたM小学校建替えプロジェクトにおける内容です。
M小学校では、自治体、地域住民、教職員から子どもたちと、幅広い方々と共に、新しい小学校づくりについて議論を重ねてきました。
そのなかで先生方と議論したのは「新しい職員室」について。
何が正解かわからない昨今において、職員室の在り方、教員の働き方から見直す必要ある
という自治体職員・学校教職員の方々からの発信を機に立ち上がった検討会。
管理職が端に並び、そこからずらりと各職員の個人デスクが一列に並び、デスクには書類が山積みというのが、
お決まりの職員室ですが…。
先生方から導かれたのは「自在な共創・協働を実現する“アジリティアドレス型”校務センター」。
単なる個人の作業スペースではなく、先生方が気づきや悩みを共有し、共に追求を楽しむ共創・協働の拠点というものでした。
〇方針1:従来の個人席ではなく、学年単位が集まりやすく、一体感あるグループ席へ
〇方針2:電子化で収納スペースは合理化し、ICTを活用した協働スペースを拡充
〇方針3:給湯スペースと協働スペースを近接させることで、自然と集まりやすい・使いやすい環境に
ポイントになったのは、ある先生から問いかけられた
「そもそも職員室でなにをなすべきか、したいのか」という発信。
「先生たちの居場所づくりも大事」
「でも個人の休憩や作業だったら、教室でやればいいよね」
「それだと、職員室には帰ってこなくなるし、職員室ってスペースが不要だよね」
「でも先生同士で相談したいことってたくさんあるな」
「もっとわかりやすい板書ってなんだろうとか、授業でどういう工夫しているか知りたい」
「せっかく先生たちが集まれる場所なら、気づきや悩みを共有して、もっとよくできる!を追求できるといいな」
「定例みたいに決まった会議だけじゃなくて、何気なく立ち寄って、顔を合わせた先生とその場で議論!みたいな環境にしたい」
もちろん、空間アイディアそのものも重要ですが…
こうした「自らの生きる場をどうする?」を主体的に、対話の中で、議論している先生方の熱量・背中こそが、「主体的・対話的で深い学び」が子どもたちを加速させるのではないでしょうか。
目まぐるしい変化し、答えのない時代において、子どもたちも、先生方も同じように悩み、意識は変化し、追求が始まっている。
新しいスタンダードを導くための切り口・アイディアは、みなが持っている時代ではないでしょうか。
だからこそ、重要なのは、「自分たちの生きる場を、みなで共に創る場」。
そうした場(建築空間)を実現するためにも、建築プロジェクトそのものが広く開かれ、共に追求するプロセスであることが、新しい学校づくりの突破口になりそうです。
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