2023年03月09日

活力ある学びをつくる鍵はなにか~探求意欲を揺さぶる衝撃的な存在と新しい評価システム~


アクティブラーニング推進、学級編成の見直し、GIGAスクール構想によるICT活用と・・・日本学校教育も変化しつつあります。
一方で、不登校児童の数が過去最多、教職員における精神疾患による休職件も過去最多と、依然厳しい状況にあることも事実。
なにを変えれば、日本学校教育は活力を取り戻すのでしょうか。今回は、抜本的に学校教育の在り方を見直し、実践にうつし、注目を集めている学校を紹介したいと思います。
そのなかで「新しい学びの場」を実現するための可能性ある切り口を探っていきましょう

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■「革命を起こす子どもを育てる」瀬戸SOLAN小学校 https://www.seto-solan.ed.jp/

GOOD DESIGN AWARD HPより

かなり振り切った教育方針だが、その真意は子どもたちの「当事者度を目覚めさせる」ことにあります。
受け身ではなく、提案・行動型の子どもを育てるための教育システムの中核にあるのは「探求学習」。全学年週2時間、複数の教師がサポートをする中で取り組んでいる様子。
探求学習;自分が興味をもっていること、知りたいこと、疑問に思ったことについて、自分の力で調べ、新しく見つけた知識や発見をまとめ、それを論理的に他の人に説明することで、新たな疑問や興味が湧いてくるというプロセスを何度もたどる学習

ただ、私が特筆すべきと思うのは、この探求学習を支える「評価システム」と「人材」。

 

<評価システム>
瀬戸SOLANでは、ペーパーテストではなく、2010年より注目されつつある「ルーブリック」を活用していますが…その活用法が特徴的。
達成すべき水準そのものから、子どもたちが一緒に考え、言葉で書き表すのです。
自らが定めた達成水準に対して、自己評価し、教師が評価とコメントをフィードバック。内容は保護者も閲覧でき、みなで学びの足跡を蓄積し、共有するシステムなのだといいます。
瀬戸SOLANでは、評価も一方的に与えられるものではなく、自ら創造するもののようです。

瀬戸SOLAN小学校HPより

 

<人材>
瀬戸SOLANでは、「子どもたちの探求意欲を高めるためには、先生の熱量を上げることが不可欠」と考え
採用するのは「社会で働いた経験のある人材」。採用では「自分の行動で世の中をよくできると信じているか」と問うそうです。
そうした人材が、自らも答えも知らない領域の課題に対して、子どもたちと共に考え、追求する姿こそが、子どもたちの探求意欲を高めるようです。

瀬戸SOLAN小学校HPより

 

■「生徒一人ひとりの夢を実現する」クラーク記念国際高等学校 https://www.clark.ed.jp/

クラーク記念国際高等学校HPより

子どもが不登校になる原因は子ども側ではなく学校側に課題がある」と捉え、「生徒一人ひとりの夢の実現」に取り組んできた広域通信制高校です。
自らが挑戦したいことをやりながら卒業資格がとれるため、出身芸能人も多い学校です(北川景子,市原隼人,指原莉乃等)。
入学生の7~8割は元・不登校生にも関わらず・・・入学後は皆勤賞となる生徒も多いというのは驚き。創立時の想いであった「毎日行きたくなる学校をつくりたい」を実現していると言えるのではないでしょうか。

そんなクラーク高校で特筆すべきは、「本物に触れられる環境づくり」の徹底。

指導を行う人材は「プロのクリエイターやパフォーマー」。
課題は「実績的な宇宙課題や企業との共同開発課題」。
施設についても「軽音やダンス専用教室、高性能PCがずらりと並んだeスポーツ専用室」が揃っている。

こうした本物に触れられる環境があるからこそ、生徒一人ひとりが好きなこと・興味あるものを見つけられ、
社会にで通用するステージまで成長していけるのだという。

クラーク記念国際高等学校HPより

 

今回、2つの事例を紹介しましたが、見えてきたのは…単に「教え方」を変えるだけでは、日本学校教育に未来はないということ。
まずは、学びの原動力となる“探求意欲”を揺さぶるような衝撃的な存在こそが必要不可欠ではないでしょうか。
瀬戸SOLAN小学校では「熱量ある大人の存在」と「実践的な探求課題
クラーク記念国際高等学校では「本物に触れられる環境=人材・課題・施設」がそれに当たるのでしょう。

また、「答えのない探求課題」における前進・達成度は、旧来の評価システムでは測ることができない
瀬戸SOLANのような課題に応じて、自ら設定し、みなでフィードバックを重ねる新しい評価システム
あるいは、クラーク記念国際高等学校のように、シンプルに、社会評価を獲得(=実社会に通用する成果出す)する=その実現を全力でサポートすることが肝になるのではないでしょうか。
ペーパーテスト、内申点…といったような無味乾燥な評価システムは、余計な不安・不満・緊張を与えるだけの存在になりつつあるのでしょう。

子どもたちの学びの場について追求してきたが、
家庭、学校、塾、企業…あらゆる局面で学び、人材育成が見直される今、幅広く活用できる認識ではないでしょうか

List    投稿者 sibata-h | 2023-03-09 | Posted in 17.これからの教育No Comments » 

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