2014年09月04日

【情報戦18】冷戦の終焉と戦争を忌避する世界世論の中で自滅する諜報機関

 

911

前稿ではCIAはアメリカ国家にとっては最低の諜報機関だが、戦争マッチポンプである金貸しにとっては最高のデマ機関だった」ことを明らかにした。しかし、そのような国家意志とは無縁かつ、泥沼化することで国家を衰弱させるだけの戦争は、人々の厭戦気分を加速するだけであり、今や先進国の人々は戦争を望んではいない。さらには仮想敵国であった共産主義国家の自滅によって、世界の警察アメリカの必要性すら疑問がつくようになった。

そんな中、CIAの戦略は経済戦争を仕掛けていくという路線、及びテロとの戦いという架空な抵抗勢力との戦いをでっち上げる路線へと突入していく。

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●軍事偏重から経済産業情報偏重へ。ヒューマンインテリジェンス(人間によるスパイ)からデジタルスパイ活動へ。

 

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=100465 

CIAは冷戦終了後は軍事偏重から経済産業情報偏重へと転換。さらに宗教、麻薬、テロ、環境分野への対応の必要も唱えて、現在、世界最大の情報機関として活動している。CIAはカーター大統領時代から、ヒューマンインテリジェンス(人間によるスパイ)を軽視し、情報化時代に即したデジタルスパイ活動に重きを置いている。平時、有事を問わず、国家の利益を目的としたスパイ、諜報機関の活動の強大化、肥大化はいまでも続いている。CIAの最大の特徴は情報収集から情報分析、工作活動、謀略まで一貫して行う特務機関である点である。反米的な政権に対するクーデターの支援を行なうなど、連邦政府・国務省が公的には出来ない“裏稼業”に関わったりした事から、第二のアメリカ政府・見えない政府・クーメーカーとあだ名される。 

9.11テロ以降アメリカの情報組織において変化が起きた。独自の情報局を持つ本土防衛省が設立され、この傘下にCIAとは別にFEMA(連邦緊急管理庁)が置かれた。大統領は巨大な権限を持つがCIA、NSA、FBIの官僚機関を100%統治できるわけではない。本土防衛省はブッシュ自身の軍事化・国防体制に応ずる形で誕生した。 

CIA、NSA、FBI、FEMA、それ以外も併せてアメリカだけでも情報戦争になっているように思える。どの情報機関が主導権を取るかによって政策が異なってくる。イラク戦争の時はCIAは戦争推進派ではなかったらしい。(CIAの判断では時期尚早であった)

 

●反共のための戦いからテロとの戦いへ

 

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=100927 

 CIA(中央情報局)が大統領府国家安全保障会議の管轄下に設置されて以降、政府全体の諜報活動を調整するもその活動はしばしば議会などで取り上げられ問題視されるようになり、上院では76年に、下院では77年に秘密会形式の「諜報特別委員会」が設置され、監督されるようになる。1986年10月には、政府職員がイランに武器を売却し、その利益をニカラグアの反政府勢力コントラの支援にあてていた問題が明るみになり(イラン・コントラ事件)窮地に立たされて以降は、議会の承認が必要な「独立会計検査官」のもとで、機密性を保ちつつ納税者への「説明責任」として97年度、98年度だけ予算を公開している。その額は約3兆円だとか。 

 槍玉に挙げられていたCIAの問題とは、冷戦時代の共産主義勢力をはじめとする敵対国家・勢力に対峙する際、反政府勢力に資金・武器援助する手法をとってきた点。こうした資金支出の承認を議会に認めさせることは難しいとみると、その代わりに反政府勢力の麻薬取引の黙認、もしくはその取引自体を手助けすることで独自の資金源とするようになっていく。少なくとも過去30年半ばにわたって公然と行われ、現地の警察の協力もとりつけていたらしい。

しかも、この密輸ルートは麻薬売買に伴う多額の資金をもたらしただけでなく、帰路アメリカからの武器供与にも利用されていたりもしたようである。冷戦期はもっぱら反共工作がターゲットだったが、冷戦終了後はテロ対策を口実に、圧倒的な軍事力を背景になりふりかまわぬ米国ルールの押し付けと、工業資源・経済の独占を図るようになった。

 

しかし、悪知恵を絞って国家から資金を騙し取ればとるほど、財政の逼迫は進む。その結果、ますます国民の目を欺くように諜報機関はますます密室化していく。そしてテロとの戦いをでっち上げるために自国民をも諜報の対象とし始めた諜報機関は大きな反対の声に包囲されるに至った。

●民主主義国家の諜報機関は、秘密を守るために民営化していく。 

 

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=289547

7月19日付けのワシントン・ポストに掲載された情報機関に関する記事が話題になっている。2年間の調査に基づく調査報道で、そのタイトルは「トップ・シークレット・アメリカ」。2001年9月11日以降、アメリカの情報機関が「官」と「民」の壁を越えて肥大化し、制御できない状況になりつつあると警鐘を鳴らしているのだ。現在、1271の政府機関と1931の民間企業が「テロ対策」という名目で秘密裏に活動、85万4000名が最高機密保全許可を取得しているという。 情報活動の民営化と肥大化が急速に進むのは2001年9月11日からである。同じように軍隊の民営化も推進されたが、軍や情報機関の仕事をする民間企業は秘密のベールに守られ、仕事の内容も資金の動きもわからない。

 

●アメリカをゆるがす自国民を対象とした諜報

 

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=282970 

長い間「テロとの戦い」を理由に正当化されていた、国家によるプライバシーの侵害行為に対して、初めて大きな批判が巻き起こった。この問題ですが、アメリカの政治にとって、社会にとって大きな転機となりうる大きな問題だと思います。何と言ってもこれは、アメリカの「テロ戦争の時代」が終わりつつあるという ことだからです。今回は、英国の新聞『ガーディアン』の記者が告発する形で、ニュースに火がつき、6月6日の木曜日には上院諜報委員会のダイアン・ファインスタイン議員 (民主)が一部その活動を認めるという所まで来ました。今のところ、批判の大合唱はメディア中心であって、さすがにこの材料に関しては共和党は騒いでいませんが、オバマとしては「合法的にやっている」と強弁しているものの、かなり難しい立場に立たされています。一般の人々の電子メールやSNSでの会話を「政府が盗聴している」わけですし、「911の呪縛」から解放された新世代を含むアメリカの世論は相当に怒っています。NSAには相当なダメージになるのかもしれません。

スノーデン

 

●まとめ~冷戦の終焉と戦争忌避の世界世論からの抜け道=テロとの戦いは、自国民を諜報対象とすることで、自滅への道を歩み始めた。

 

「テロとの戦い」に突入せざるをえなかった軍産利権体は諜報のあり方も変えざるをえなくなった。つまり従来型の対象を重要人物に絞り込んだ人的諜報(スパイ)から、より電子諜報(世論調査と世論誘導)へと転換するしかなくなったのである。なぜなら現実にテロリストはいるかどうかも怪しい存在で、むしろ自作自演のテロをテロリストのせいにするための世論調査と世論誘導こそが重要になったからである。しかし、テロとの戦いを大義名分とした善良なる自国民に対する電子諜報は、当然、大衆的批判対象となる。おそらく、テロとの戦いという大義名分のもとで急 速に発展した「電子諜報」は行き詰るしかないだろう。孫子の昔から重視されてきた「諜報」だが、大きな歴史の転換点に差し掛かっているといえるのではないか。

List    投稿者 mamoru | 2014-09-04 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments » 

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