2022年01月19日

【世界の力を読み解く】~自決化する国家、帝国化する企業1 投資に走る企業~

これまでの【世界の力を読み解く】シリーズでは、世界のユーラシアシフト、各国の「実力主義・自治自決」の時代へ向かっていることを紹介してきました。(リンク

国家が自決路線に向かう一方で、アップル時価総額3兆ドルに達したことが年明け早々に報道されるなど、企業は拡大へ向かっていることがわかります。ただ、株価と株式を拡大させる企業群が、製造や物流、インフラなど、本業と思われる業種だけで利益を生み出しているのかというと、そうではありません。大企業ほど、ベンチャーへの投資はじめ、投資ビジネスで利益創出を行っていることは、これからの産業を読み解いていく上で注目すべきと思います。

前回のブログ(リンク)でも、金融領域で、基軸通貨”ドル”の整備はじめ、米国、そしてFRBが世界を掌握してきたことに触れましたが、今回は米国の近代以降の産業を読み解きながら、GAFAはじめ、肥大化している企業がどのように力と資本を拡大させてきているのかを読み解いていきたいと思います。

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大企業は投資で儲けている

GAFAや、日本ではトヨタやソフトバンクなど、メーカーやビジネスモデルとしてだけではなく、投資ビジネス、それも地域や企業規模を問わず、広く展開していることは、これからの産業を見ていく上で、注目しておきたい点です。
アップルであれば、世界各地に分散された28兆ドルともいわれる国家予算レベルの資産を、米国製造業への投資(リンク)やソフトバンクのファンドへの投資(リンク)など、本業とも言える製造分野だけではない利益創出を行っています。
国内で言えば、ソフトバンクのNAV(時価純資産)のうち、ファンド部門が占める割合を25%まで拡大(リンク)させ、携帯販売会社としてだけではない利益獲得をしています。

これらの大企業の利益とは、実物による利益創出だけではなく、投資益も含めて、拡大を進めているのです。また、世界各地に拠点を置くことで、関税対策(脱税)を行い、利益を守り、蓄えてきました。この脱税対策としても、ファンドを設立する流れにつながっています。
これらの代表されるように、大企業ほどファンドを設け、投資ビジネスによる利益拡大と脱税を繰り返しているのです。ただし、新産業における資本を企業が担い、また世界各地に拠点を置くことで、各国の産業支援資本になっていることも紛れもない事実でもあります。
企業による投資ビジネスの源流、そして米国企業が力をどのように獲得してきたのか、米国の近代産業史から遡ってみたいと思います。

実物と投資で儲ける近代米国の投資家たち

まず、読み解いていくにあたり、アメリカの近代産業史に概略に触れておきたいと思います。

①東部での独立から始まり(独立宣言)
→②北部ルートでの西・太平洋への開拓(西部開拓時代)
→③北部の商・工業化と南部の農業による対立(南北戦争)
これが18世紀末から第一次世界大戦以前までの近代アメリカ史の概略ですが、その背景には、以下の米国的特徴があります。

引用※1———–
①ヨーロッパ全土よりも広大で豊かな土地。農業に適した広大な土地は、巨大な人口を養うことができ、巨大な人口は巨大な需要を生み出す。
②20世紀は石油と電気の時代だとも、鉄鋼の時代だとも言えるが、それら新工業に必要な水力や石油や鉄や銅等の資源が、新大陸には全て揃っていた。
引用終了———–

こうした背景に基づき、整備された、独立後の東部、そして西部開拓時代の「鉄道」の整備や車の生産が、米国の大企業、そして民間企業の投資システムの成立に大きく影響しています。

鉄道整備も、最初こそは、農地払下げ等の国による投資で始まりましたが、蒸気機関による鉄道への熱が広がるなかで、利益の上がる事業として、民間の投資家がこぞって投資と鉄道会社設立を行いました。西へ西へと鉄道が伸びる中で、単なる広大な土地も線路と合わせて整備され、移民による人口の増加はじめ、国力の獲得にも寄与していきました。
こうした、アメリカの膨大な内需拡大のなかで、国家や中央銀行とは異なる、企業や富豪による事業投資モデルが成立していったのです。
そのビジネスモデルによる資本家こそ、
・石油の独占販売と鉄道による輸送権の独占で財を成したロックフェラー
・海輸や鉄道で財を成したヴァンダービルト
といった資本家につながるなのです。

当時の米国では、銀行は全国的なネットワークもなく、証券市場も当時新興勢力だった製造業を受け入れる余地を持っていませんでした。そのため、新興勢力の企業家は個人ネットワークや企業投資家に頼り、投資家は地震の実物経済の中で投資ビジネスを行い、資本拡大をしていく、いわば超国家的役割だったとも言えるかもしれません。
これは今の企業による手広く資本拡大を行うファンドや投資ビジネスとは異なり、実物と内需に根ざしたものだったことがわかります。
現代は投資益も含め、企業の資本と規模の拡大が進んでいますが、国家が自決路線に向かうなか、この実物経済と投資ビジネスで拡大する企業はどうなっていくのか。次回、現代の投資ビジネスで資本を拡大化させるようになった背景と合わせて読み解いていきます。

【参考】
市場論・国家論12.20世紀 アメリカの世界覇権 ※1引用
リンク
https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=331528

アメリカの富豪と起業家
https://libir.josai.ac.jp/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-18801536-1102.pdf

ロックフェラーメモ①1859~1914:石油産業独占→アメリカ支配へリンク
https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=158939

coming soon

List    投稿者 fuji-m | 2022-01-19 | Posted in 09.国際政治情勢の分析, 18.市場経済崩壊後の新社会へNo Comments » 

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