世界の運命は中央アジアが握る！ロシア編⑥～プーチンは如何にして権力と覇権を手にしたか？

2012年07月28日

世界の運命は中央アジアが握る！　ロシア編⑥～プーチンは如何にして権力と覇権を手にしたか？

前回の記事、　「世界の運命は中央アジアが握る！　ロシア編⑤～ロシア最強のリーダー” ウラジーミル = プーチン “とは何者か!?」では、大国ロシアの最強のリーダーとなったプーチン本人に着目し、絶対的な権力を手にするまでの経緯を明らかにした。
今回の記事「世界の運命は中央アジアが握る！　ロシア編⑥～プーチンは如何にして権力と覇権を手にしたか？」ではまず、プーチンが、ロシアの財産を奪い取った国際金融資本家たちとどのように闘い、権力を手に入れたのかを明らかにする。そして、アメリカやヨーロッパと対等に闘えるほどの基盤を、どのように確立したのかを探っていく。
■ロシア新興財閥に取り入って大統領に登りつめたプーチン
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=266586にもあるように、プーチンはKGB時代に冷戦の最前線で自分やロシア国内の動きとは無関係に世界が大きく動いている状況を目の当たりにした。国益重視派＝KGB軍団に属するプーチンは、ロシアも変わっていかなければならない、そしてそのためには新興財閥に利益を騙し取られている現在の状況を変えていかなければならないと考えたことは想像に難くない。
ただ、FSB長官でしかなかったプーチンには権力は無い。そこで、ロシア新興財閥のベレゾフスキー（石油大手　ジブネフチ、ロシア公共テレビORTなど）に取り入って首相続いて大統領に就任する。
■ロシア新興財閥を排除し、絶対的な権力基盤を確立する　
　プーチンが大統領に就任して、まず実行したのが厳格な中央集権体制。これにより地方首長の勝手な行動や汚職を抑え、大統領権限がすみずみまで及ぶような体制を確立した。
　続いてプーチンが手をつけたのが、自分に歯向かう新興財閥の排除である。
＜プーチンが新興財閥狩りを開始・・・新興財閥の大物グシンスキーを排除（2000年）＞
　まず、プーチンが目をつけたのはロシア新興財閥の大物、ウラジミル・グシンスキーである。
グシンスキーは、新聞・ラジオや国内最大の民放テレビ局などあらゆるメディアを擁したロシア最大のメディアグループ「メディア・モスト」を築き、「ロシアのメディア王」と言われた男である。
グシンスキーは世界ユダヤ人会でもかなり影響力のある人物であったが、プーチンは、グシンスキーを追い詰め、横領・詐欺などの容疑で逮捕することとなった。
そして、プーチンは「メディア・モスト」の傘下であった独立テレビを掌握し、メディア支配を強めていった。
　☆プーチンが、新興財閥の中で初めに手中に収めたのはマスメディアであった。
　☆なぜなら、KGB時代から、諜報員として東西冷戦の最前線において情報戦を闘ってきたプーチンはマスメディアが国民に与える影響力の強さを良く知っていたからであろう。　
　☆この後、プーチンはメディア支配を強め新興財閥排除の動きをより強めていくことになる。
　＜新興財閥軍団をめった切り＞
　グシンスキー排除に成功したプーチンは、続いて20名あまりの新興財閥を招待し「会談」を開き、その模様をテレビ中継した。その「会談」において、プーチンは公然と脱税を行い、私腹を肥やしている新興財閥軍団を、激しい口調で断罪した。
これに対し、新興財閥たちは、プーチンが派遣した検察や税金警察が民間企業を厳しく監視していることについて反論しようとするが、プーチンは「じゃあ、脱税をしているあんたらが正しいことを証明してみろ！」と激しく追求すると、新興財閥たちは何も言えなくなってしまったという。
　
この様子をテレビで見ていたロシア国民はついに憎き新興財閥軍団を抑えてくれる大統領が現れたことを知ることになる。2000年3月の時点で53％であったプーチン大統領の支持率が、この歴史的な「会談」を経て、同年8月には73％に達した。
☆新興財閥を排除するという難課題を、プーチンはマスメディアを利用することによって成し遂げた。
☆その結果、新興財閥を排除すると共に、ロシア国民の支持を取り付けたのである。
あっという間に新興財閥たちを抑え、権力を確立したプーチンは（当然のことながら）
新興財閥の二大巨頭であるベレゾフスキーと対立する。
ベレゾフスキーはロシア公共テレビ（ORT）の株の49%を所有していた。プーチンとベレゾフスキーの対立が深まるとORTはプーチンに批判的な報道を繰り返した。FSBや検察を背後にもつプーチンは、これに恐れを成すことなく、ベレゾフスキーに圧力をかけた。その結果、ベレゾフスキーはロシアから脱出し、ORTの株をプーチンに忠誠を誓った新興財閥に売り渡した。
■ロシア独自の基盤を強化し、欧米と対等に渡り合うプーチン
＜ユコス事件＞　
　プーチンが新興財閥たちの排除に成功していくなかで、新興財閥の一人ホドルコフスキーは米英と結託することで、プーチン政権を打倒し、自らが大統領になろうと考えた。
ホドルコフスキーはエクソンモービル、シェブロンテキサコと手を結んだが、これは彼の背後にロックフェラー財閥、米国務省、国防総省がついたことを意味する。
プーチンもこのころアメリカへ接近し、イラクにおける石油利権の分け前を預かろうという魂胆だったが、2002年7月にアメリカがイラクの石油利権をロシアと分かつつもりは無いことを表明して以来、プーチンは方向転換し、アメリカから距離をとるようになる。当然、アメリカと手を結ぼうとするホドルコフスキーとも対立することになる。
しかし、プーチンはこれに恐れることなく、2003年10月、ホドルコフスキーを脱税などの容疑で逮捕した。これによってプーチンはロスチャイルド、ロックフェラー両財閥を排除し、更に対立を深めることになる。
　☆このころからプーチンは、ロスチャイルドともロックフェラーとも距離をとって、独自に基盤を確立していくことになる。
　☆この力の基盤のひとつが、KGB→FSBのスパイ網であった。
＜パイプライン網を使ってエネルギーを支配する＞
ロシアのマスコミ、ロシア国内の石油利権、KGBのスパイ網と独自の基盤を確立してきたプーチンであったが、対欧米の力の基盤となったのが、石油・天然ガスのパイプライン網であった。

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上の図からもわかるように、プーチン就任直後の2000年から2010年までの間で、ヨーロッパ向けの原油輸出が約2倍に拡大している。さらに、太平洋向けの原油輸出が急拡大していることもわかる。
今やヨーロッパにとって、ロシアからパイプライン経由で送られる原油・天然ガスは無くてはならないものになっているのだ。
この結果、エネルギーの首根っこをつかまれたヨーロッパは、プーチン＝ロシアの強い影響を受けることになる。逆に、プーチンはこの力を最大限に使って欧米＝ロックフェラー・ロスチャイルドと、対等に渡り合っていくことになる。
さらに、2000年以降の原油価格高騰も、プーチン＝ロシアにとって、強力な追い風となった。 %E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%80%80%E7%87%83%E6%96%99%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95.bmp
図表はコチラ（http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4714.html）からお借りしました。
☆このように、プーチンは石油・天然ガスという力を最大限に活かして、欧米に対抗した
☆このロシアのパイプライン戦略が、イラク戦争・アフガニスタン戦争の遠因となっており、緊迫するイラン情勢もこの延長線上にある。
☆さらに、ロシアの石油の決済通貨をルーブル建てにする構想をプーチンは打ち出しており、エネルギー戦略を基盤に世界覇権を狙っていると考えられる。
プーチン＝ロシアは、マスコミを完全に掌握し、その力を利用することで、新興財閥とその背後の金貸し勢力を排除することに成功した。
さらに、プーチン＝ロシアは豊富なエネルギー資源を背景にロスチャイルド財閥・ロックフェラー財閥と対等に渡り合うこととなった。
次週の記事では、その後、覇権を拡大していくために、どのような戦略をとっていくのかについて追求していく。