2012年07月10日
近代科学の源流3 魔術によって神になろうとした古代~近世の西欧人
「魔術から近代科学へ」シリーズの【まとめ】その3です。
「5.私権統合の確立と共に思考停止したローマ時代」
「6.ローマ貴族や市民の自我肥大⇒快美収束・妄想収束から広まった、ローマの魔術的自然認識」
「7.キリスト教も近代思想も近代科学も、ゾロアスター教が確立した略奪集団の正当化と他者否定のパラダイムにある」
「8.キリスト教の欲望否定(封鎖)から欲望肯定(刺激)へパラダイム転換が近代思想と近代科学を生み出した」
「9.キリスト教の現実否定の自己欺瞞(自然認識を御都合主義で魔術から借用)」
山本義隆氏著『磁力と重力の発見』「1.古代・中世」(みすず書房刊)を参考にさせていただきました。
共同体を破壊して自我収束したギリシア人は、潜在思念(本能・共認機能)を退化させ、架空観念によってしか自然を対象化できなくなる。その最先端が要素還元主義(原子論・機械論)であるが、それは古代ギリシアの終焉とともに消えてゆく。
ギリシア時代は私権拡大=自我充足の可能性が開かれていたため、自我を原動力とする要素還元主義が広がったが、ローマ帝国以降では私権統合体制が確立し、私権拡大=自我充足の可能性が閉ざされたので要素還元主義は見失われた。
その後、近代になって市場拡大によって私権拡大=自我充足の可能性が開かれると、ガリレイやデカルトらによって要素還元主義は復活することになる。
一方、守護神信仰由来の万物は霊魂を有する生命的存在であるとする物活論→有機体的全体論は自然支配のための魔術となり、ローマ時代~中世を通じて根強く残り続ける。