2022年04月19日

【世界の力を読み解く】~インド:バランス外交の真髄~

ウクライナ情勢に注目が集まっていますが、実は各国の中でかなり戦略的に自国の立ち位置を維持する国があります。それが、インドです。https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=376694
ポジショニング力とも言えるその力には目を見張るものがあります。
数年後には世界一位の人口となるインド。世界覇権獲得に一歩ずつ前進しているのかもしれません。
そんなインドの力の基盤に迫ります。

画像:nippon.comより

粛々と超大国を目指す 全方位外交
・インドがこれまで関係が希薄だった国々との外交を積極的に推進し始めている。インド政府は2021年から外交の「多極化」を基本方針に掲げ、米国、ロシア、欧州、中東、アジア各国との結びつきを強めようとしている。インドは伝統的に「非同盟」を外交の柱にしてきたが、全方位といえる方向に強くカジを切り始めたのはなぜか。多くの国と外交を深め、将来的に米中と並ぶような超大国をめざす布石との見方が浮上している。
・「1つの超大国が世界を支配するような状況を避けるため、インドは外交の多極化を進め始めている」
・30年までにGDP世界3位との見方も
・インドは自前で半導体や防衛などの兵器を製造することも検討し、モディ氏は21年末にIT(情報技術)などのスタートアップが半年で約1万社増えたと言及した。外資系企業の技術や投資を呼び込み、産業構造を少しずつ転換する試みにも本腰を入れる。
(日経新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB01EUG0R00C22A2000000/ )

◆歴史
・インド=南アジア世界を構成するのは、現在のインドだけではなく、パキスタン・バングラデシュのイスラーム教国を含む。またインド亜大陸の周辺、チベット・ネパール・ブータン・スリランカを含む。
・インダス文明以来、バラモン教・仏教・ヒンドゥー教などの宗教を軸とする独自の文明と、カースト社会を形成した。マウリヤ朝やグプタ朝、ムガル帝国などインド亜大陸のほとんどを統一支配した王朝はあったが、多くは地域政権が分立する時代が続き、16世紀以降はヨーロッパ勢力の植民地化が進んだ。
・インドへのヨーロッパ諸国の進出は15世紀末のポルトガルに始まり、次いでオランダが続いた。17世紀後半、ムガル帝国の衰退に乗じてイギリス・フランスの進出が活発となり、この両国の植民地抗争が約1世紀続いた。1757年のプラッシーの戦いでイギリスが勝ち、以後イギリス東インド会社を通じた植民地支配が拡大、強化されていく。
・イギリスは1757年のプラッシーの戦いでフランスに勝ち、インド植民地支配の主導権を握った。その頃本国では産業革命が開始され、インドはイギリスの工業製品の市場・原料の供給地という資本主義原理に従う形の植民地にに変質し、同時に東インド会社をつうじての支配から直接支配へと転換した。その転機となったのが、1857年のインド大反乱であった。
・第一次世界大戦でイギリスに協力、戦後の自治を約束されたが実現せず、国民会議派のガンディーを中心とした独立運動が展開される。
インド初代首相ネルーは非同盟主義を掲げ、第三世界のリーダーの一人として中国の周恩来との間で平和五原則をまとめ上げ、アジア=アフリカ会議を成功させるなど、華々しい活躍をした。
また、アメリカが中華人民共和国の登場、朝鮮戦争の勃発などに危機感を抱いて、1950年代にアジア・太平洋地域に次々と対共産圏包囲網を形成したが、インドはそのいずれにも加盟せず、中立政策を守った。
(世界史の窓:http://www.y-history.net/appendix/wh0201-040.html

歴史的に見ても、植民地支配からバランス外交に舵をきり、粛々と力を蓄えてきたことがわかります。
中央アジアのように主だった資源があるわけではないですが、
あえて言うなら『人材』という最大の資源を拡大してきたとも言えるでしょう。
世界覇権からアメリカが後退した今、インドが世界を動かす勢力の一つになりつつあります。

  投稿者 motiduki | 2022-04-19 | Posted in 01.どうする?マスコミ支配No Comments »