ドイツの電話世論調査でプーチン支持が89%
「秩序崩壊の危機(不整合感)と欧州右翼の社会統合期待」では、次のように述べた。
金貸しの暴走による秩序崩壊は全世界的な現象であり、秩序崩壊の危機(不整合感)と社会統合期待は、全世界的に高まっている。欧州において、その意識潮流に応えたのが、マスコミによって「極右」と誹謗されている反EU・反グローバリズム政党であり、その現れが欧州議会選挙における彼らの躍進である。同時に、金貸しの暴走による秩序崩壊の危機(不整合感)と社会統合期待こそが、ロシアのプーチンの支持基盤になっていると考えて間違いないだろう。
この潮流は、欧州の右翼だけではなく、全大衆的なものである。
実際、ウクライナ問題に対するドイツの電話世論調査では、プーチン支持が89%にも上るらしい。
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『ROCKWAY EXPRESS』「ドイツの電話世論調査でプーチン支持が89%」
5月12日号「ウクライナでアメリカの傭兵400人が活動」で、「政府は事情があるとして、ドイツ国民はウクライナのナチス化をなんとも思わないのであろうか?」と指摘したが、今回はドイツの電話による世論調査で、プーチンのやり方を「理解する」という回答が全体の89%になったという記事である。
つまり、ドイツでも主流メディアの首脳部の思惑とかけ離れた一般ドイツ人の声として、ウクライナが極右ネオナチなどの勢力が問答無用で権力を奪取し、ロシア人を追い出すような人種差別的政策を実施していることに、嫌悪感を抱いている、と思わせる内容となっている。なお、ロシア国内ではプーチンへの支持率は80%を超えている。日本を含む欧米側の主流メディアはウクライナの実体を報道しないから、このプーチンの支持率を理解できないかもしれない。
ドイツ人がそのように認識しているのであるから、昨日の記事に「この政権がウクライナ民衆からは乖離した精神にある、つまり民衆のためにはならない政権であることをウクライナ人全般が認識し始めることになろう」と指摘したように、ウクライナ人自体も今のウクライナの暫定政権に対し、距離を置き始めているはずである。
5月25日に予定されているという大統領選挙で、どのような候補者がどのような得票をするかが注目される。しかし今の暫定政権は無法者のたまり場となっているから、ドイツのテレビ局が予想外の世論調査結果をホームページから削除したように、ウクライナの大統領選挙も、不正が行われない、という保証はない。結局、都合の良い結果を今の暫定政権がこしらえて世界に発表することになるのだろう。
●ドイツの電話世論調査でプーチン支持が89% 【5月13日 RIA Novosti】
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ドイツのNテレビで実施された電話による世論調査で、驚くべきことにウクライナ問題で89%がロシアのプーチン大統領に好意的という結果が出た。
ベルリンに本社のあるNテレビによって行われた、ロシアのウクライナ問題に対する姿勢についての世論調査が、「プーチンのやり方を理解できますか?」という質問に対し、殆どの視聴者が「イエス」と回答することで、テレビ局の意見では全く予想を超える結果となった。
この回答はあまりに当惑させられるものだったので、この世論調査結果はNテレビのホームページから同日中に削除されたが、その前にそのページ画面をコピーした者が出て、それがオンライン上に掲載された。
ポツダムに住むクリストフ・ヘルステルのフェイス・ブックに掲載された映像は、89%が「イエス」で、残り11%が「ノー」となっている。回答者はこの二つの内のどちらかを選択できることになっていた。
論議を呼ぶこの調査結果の削除ということが、ロシアのウクライナ問題に対する姿勢については、それに不服という内容が圧倒的に多かったドイツの主流メディアのニュースの報道内容に対し、深刻な疑問を浮かび上がらせた。
2月に、極右運動によって支援を受けたウクライナ議会はヤヌコビッチ大統領を追放し、5月25日に大統領選挙をすることにした。
ロシアはキエフの騒動をファシストによる不正なクーデターとし、軍事的な権力奪取であるとすることで、クリミアの再統合を含むロシア系住民の保護に乗り出している。
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『ヤスの備忘録2.0 歴史と予知、哲学のあいだ』「ウクライナで本当に起こっていること」によれば、
日本や欧米では、ロシアに扇動された親ロシア派の武装勢力が、西欧型の議会制民主主義を求める勢力に対立し、混乱を拡大させているとの論調で報道がなされている。
このため「親ロシア派」は、マスクで顔を隠し、武装した民兵の姿がよく放映されるのに対し、他方の「キエフ支持派」は一般の市民が抗議している様子が放映されている。映像だけを見ていると、「武装した親ロシア派のテロ集団」が「民主主義を求める一般市民」を抑圧しているというような図式が刷り込まれてしまう。
もちろんこれは、「主権国家を侵略するロシア」対「民主主義の守護者としての西欧」という図式にそのままかぶさる。その結果、注意しないとロシアとプーチンに対する憎しみが自然と沸き上がるように誘導されかねない。一度特定のターゲットに憎しみのエネルギーが集中するように設定されると、感情というフィルターを抜きにして現実を捉えることは極めて難しくなる。真実は見えなくなるのだ。
日本ではそれほどでもないが、アメリカ、イギリス、ドイツなどの欧米諸国の報道を見ると、プーチンに対する怒りが沸点に達しており、とてもではないが客観報道と言える状況ではない。
一方、「ロシア・トュデー」などのロシアの報道を見ると、同じ状況をまったく正反対の報道している。つまり、「ネオナチ系の極右勢力に扇動されたキエフ支持派」と、これを排除しようとしている「親ロシア派の一般市民」との対立という図式だ。欧米の報道とは善と悪の立場がまったく入れ替わった状況だ。
もちろん、このどちらの立場も西欧とロシアの異なった政治的な利害を反映しているので、一方的な報道であることは間違いない。だが、一般の市民が撮影したと思われる多くのビデオを見ると、真実を反映しているのは、むしろロシア側の報道であることがよく分かる。
領土拡張欲に駆られたロシア、ならびにその手先である親ロシア派武装勢力と、西欧の議会制民主主義を守ろうとしているキエフの暫定政権との対立という、欧米が喧伝している図式ではなく、やはりロシアのメディアが報道している内容の方が、はるかに現実に近いように思う。
欧米では反ロシア報道が繰り返されているにもかかわらず、大衆のプーチン支持は高まる一方である。
その背後にあるのは、金貸しの暴走による秩序崩壊の危機(不整合感)と社会統合期待なのではないだろうか。
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