2010年02月13日

1/31なんでや劇場レポート3 企業における「共同体的」仕組みの事例

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「1/31なんでや劇場レポート1 遊びの失速は何を意味するのか?」「1/31なんでや劇場レポート2 私権体制の崩壊⇒共同体の時代へ」の結論部分を要約する。
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「遊びの失速」をキーワードにして、’10年代はどういう時代か?読む。
’09年の大変化として、一つは特権階級の暴走→政権交代が目につくが、より根底的な次元での意識潮流の変化が、遊びの失速or無意味化。遊びの敬遠とさえ呼んでもよい、大きな意識変化である。
これが決定的な転換であることを立証するためにも、戦後の遊びの歴史を振り返ってみておく。
’50~’60年代はダンスパーティー・映画、’70年代はスキー・ボーリング、’80~’90年代はカラオケ・合コン。これら都会の華やかさを演出してきた行動群は軒並み失速し、今や廃れて見る影もない。
遊びの衰弱は’90年代から始まっている。その延長線上で、’09年どこが変化したのか?
「クリスマスイブに一人でいるのは情けない」「週末は待ちに繰り出さなくちゃ」というように、私権時代の遊びは、焦りを原動力として強迫観念化していた。しかし、遊びはいつの時代も焦りor強迫観念化していたわけではない。江戸時代の祭りはそうではなかったし、原始共同体の祭りは(現在の沖縄にもその名残があるが)「毎日が祭り」のようなものであった。遊びが焦りや強迫観念を伴うようになったのは、私権時代、とりわけ近世~近代以降、市場社会になってからである。
近代の遊びが焦り・強迫観念化するのは、なぜか?
遊びの中心引力は性。原始時代~江戸時代まで、婚姻の相手は集団規範によって決まっていた。それが近世~近代以降、「自由な性(自由恋愛)」に変り、都市全域が巨大な性市場(男女が挑発と駆け引きを繰り広げる場)と化した。「自由な性」とは競争関係(早い者勝ち)に他ならず、競争圧力から必然的に焦りが生まれ強迫観念化する。
この焦り・強迫観念が消えてしまったこと、これが’09年の大きな変化である。正月にも「正月だから出かけなければ」という気分でなくなり、マジ話をするように変った。そして、秩序崩壊の予感から、若者も中高年も「女や遊びどころではない」と性や遊びを棚上げしている。遊びは敬遠気味になってきたのはそのためである。この変化を「遊びの失速」と呼ぶ。これは決定的変化である。
①私権時代3000年間に亙って、私権(身分やお金)の追求が活力源だったが、私権は最終目的ではなく手段にすぎない。最終目的は「いい女を手に入れたい」など、人よりもふんだんな遊び充足。それが私権追求の最終目的だった。つまり、最終目的であった遊びの失速によって、私権時代(欠乏)は完全に終息する。
②市場商品需要の過半は遊び(解脱)欠乏を土台にして成立している。遊びの失速の結果、物的商品需要の縮小→市場が縮小する。
③それだけではない。市場縮小によって、どの産業・企業でも今までのようには成果が上がらなくなり、経営成績はマイナスが当たり前となり、給与も下がる。仕事成果も給与も上がらない。
私権の衰弱は’70年代から進行し、’05年からは指揮系統のほころびが顕著になってきた。福知山線の事故をはじめとして至る所でミス大爆発。指揮系統下で都合の悪い情報の隠蔽。それでも私権強者には関係なかった。「俺はミスなんかしない。成果も上げている」という正当化が可能だった。ところが、今後は私権強者がどうあがいても成果も給与も上がらない。しかも、私権の最終目的である遊びも失速した以上、私権強者も活力維持は不可能である。
これまで私権が衰弱しながらも私権体制を支えてきたのは私権強者である。その私権強者が衰弱する以上、’10年代以降私権体制が崩壊過程に入るのは避けられない。
ex.トヨタ・JAL・・・
一方で、類グループでは昨年あたりから、女子の期待発信を核にして、社員の活力が上昇中。
これらの現象は、’10年代から私権体制は崩壊過程に入り、共同体は上昇過程に入ったことを意味するのではないか。
この分析が正しければ、社会的にも共同体的な企業の成功事例が増えているはずである。
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●なんでや劇場資料~企業における「共同体的」仕組みの事例

【女の活力】女性が活躍する企業として有名。その根本には「担当事業を絶対に成功させる、成長させる!」という「徹底した当事者意識と圧倒的なコミットメント」を、誰もが「それが当然」という感覚で持っていることがある。女子会では、「どうやったら会社が成長できるか」「これからの時代に向けて何をしていくべきか」などについて熱く語り合っている。-リクルート(人材総合サービス)-
【社内保育】【女の活力】店員達が子連れで働いているカフェ。女性達が子育てと仕事を両立できるので活力に溢れており、「離乳食メニュー」を作るなど独自のアイディアでお客を集めている。
                                          -Mama’s Cafe(飲食店)-
【社内保育】【女の活力】社員8人中6人が女性。家事に影響しにくい勤務時間、子連れ出勤の許可、子供が熱を出した場合の休暇許可など、従業員にとって効率的な働き方を採用したことで、全員の活力が上がって業績が向上した。-ワッツビジョン(タイル工場)-
【女の活力】【合議制】女性社員の提案を採用していったことで、どんどん女性達が活発に意見を言うような雰囲気ができた。すると、部署に関係なく、技術者の社員も自分の意見をどんどん出してくれるようになり、全社員の話し合いの場が次第に確立されてきた。-山北調査設計(調査設計)-
【社員からの提案の奨励】【合議制】「常に考えること」を社是とし、アイディアが出れば500円~3万円の報酬が出る仕組みを形成した。従業員全員が積極的に「もっと良くするには?」を考えるようになり、全員の経営参加が実現できている。-未来工業(電設資材メーカー)-
【合議制】【従業員が規範を形成、修正】経営者からパートまで立場を問わず経営理念を作れ、具体的な行動方針まで落とし込む「クレド」というシステムを売り物にしている。時代に合った情勢分析や、従業員の意見を取り込んだ上で、実際に行動に移せるレベルまで言葉化しているため、従業員の活力上昇に大きく貢献している。-日本クレド株式会社(活力再生コンサル)-
【会員制→リピーター】顧客に対する会員制を設けることで、従業員と顧客に仲間意識が生まれ、「自分達の組織を盛り上げていこう」という姿勢ができた。顧客は友達感覚で何でも言ってくるし、それらの意見を経営に事業に反映させることで、収益性と信頼性が高まっている。
【合議制】マニュアルは存在しない。現場の従業員が自由に発想できる環境を作っているので、みんなが当事者意識を持って頭を使っている。決断の早さも生まれた。
                               -モクモクファーム(農業生産・加工・観光)-
【供給者育成】気象情報を個人・企業からも集めており、有料会員サポーターという形で組織化している。彼らからの発信に対する評価システム、そして評価に応じた特典を通じて、企業を超えた「供給者育成」を行っている。
【給与公開】情報の透明性を重視しており、社長自らが「自分の給与は新入社員の初任給の7倍として公表」「悩んでいる時は社員の前であからさまに悩む」のような行動をとっている。
【合議制】多数決のデモクラシーではなく、「一番大事なことを優先して行う“メリットクラシー”」を採用。会社の仲間に対して最適だと思える提案をしたら、みんなが協力する仕組み。
                                       -ウェザーニューズ(気象予測)-
【班組織】【独立採算】約21組の独立した「班組織」を作り、それぞれの班を1つの会社とする組織改革を実現。班のトップに立つ者を班長とし、班長にはアルバイトの時給、社員の昇給、営業戦略を決める権限などが与えられている。-玉子屋(弁当屋)-
【日替わり班長制度】社員が毎日交代で班長職を務める「日替わり班長制度」を導入。班長になった人間に当事者意識が芽生える上に、交代制のため「他人が班長の時に自分がさぼると、自分が班長になった時に言うことを聞いてもらえない」と全員が一生懸命働くようになった。
                                          -ハマキョウレックス(物流)-
【役員交代制】「CA8」という役員の交代制度を開始した。ルールは「役員数の上限を8人とする」「2年に1度、2人が入れ替わる」の2つ。これによって全員が経営について真剣に考えるようになった。また、役員を退いた人間が「降格された」と感じないよう、能力を最大限生かすことができるポストに就けるようにしている。再び役員に戻ることも可能。-サイバーエージェント(ITベンチャー)-
【社長交代制】【経営者と労働者の一体化】【経営情報公開】役員と従業員の境目をなくし、全員が経営者として仕事に取り組むようにした。社長業も2年毎に交代するシステムにしている。そのため、経営情報は全て社員に公開している。
【社員の出資】銀行借入も内部留保も「0」であり、社員及びグループ会社からの出資による資金提供によって会社運営が成り立っている。利益は全て社員への給与と顧客への還元に充てている。
                                          -メガネ21(メガネ販売)-
【社員の出資】【上場廃止】経営陣と従業員による企業買収(MEBO)を採用した。会社所有を経営陣と従業員に集中させることで、短期的な収益を重視する外部株主を排除し、長期的な成果を狙った投資などがしやすくなった。-サンスター(日用品メーカー)-
【社員の出資】スペインで約40年前に結成された、協同組合発の巨大企業体(構成員約42,000名)。従業員全員が出資・経営権を持ち、重要な業務執行の決定権も総会で決定される。当事者意識や連帯感から、企業に対して強い愛着が生まれている。
                   -MCC:モンドラゴン労働者協同組合企業体(多業種の融合体)-
【地区住民による出資】【地域通貨】地域の全世帯が出資金を出し合って購買組合を設立し、「共同店」という形態で店舗経営をしている。「出資した、みんなで作っていく」という姿勢で、常に時代に合わせた新たな取り組みを取り入れている。利益は配当金という形で住民に還元したり、自治会費・PTA会費などに当てたりして地域を支えている。-NPO法人ゆいまーる琉球(小売)-
【人件費=社員の生活費】人件費をコストと考えず、社員の幸福を実現するための生活費と位置づけている。だから50年間リストラをしていない。-伊那食品工業(食品加工)-

後半の事例は、合議制や全員決定権、情報公開や全員出資といった制度を確立した企業が多いが、類グループは設立当初から、「自主管理への招待」という理論に基づき、これらの制度を整えていたが、注目すべきは前半の事例。
この事例は、各プロジェクトチームや班ごとに、指揮系統とは別に参画する場さえ与えられれば、成員の活力は上昇することを示している。そこでは、決定権がどうこうとか、ややこしいことは意識されていない。最終的には制度を固める必要はあるが、頭でっかちに制度を用意すればいいというものではない。制度がどうこうより、まずは参加できる場が必要ということ。そこでのテーマは、日常担っている現業をどう改良するか。現業問題であれば誰でも参加発信できる。つまり、現業課題で開かれた場を設ければ活力は上昇するということ。この活力上昇が第一段階。次の段階として、勝ってゆくために(おそらく数年後には)方針の正しさや精度が問われる時代となり、そうなってはじめて理論が必要とされるようになり、認識収束が顕在化する。
以上の「遊びの失速⇒私権体制は崩壊過程⇒共同体の時代へ」が’10年代は急速に進行してゆくだろう。この状況認識をもとにすれば、今後の課題は次のようなものになる。(これらの課題群の中での優先順位は、どうなるか?)
①原点は、男女役割共認の形成。
②企業の共同体化へ向けて、共同体教育。
③共認社会の制度設計。

(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2010-02-13 | Posted in 12.現代意識潮流3 Comments » 

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コメント3件

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