2013年02月09日
業態レボリューション-5 ~総集編~
アベノミクスによるゲリラ豪雨のような好景気で、大企業の経営陣が狂喜乱舞しているらしい今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
長いようで短かった「業態レボリューション」も、いよいよ最終回です。
今回は総集編として、これからの企業経営をどうしてゆくか、その注目点と方針について書いてみたいと思います。
アベノミクスが不安で不安で、夜も眠れないみなさんにとって必見の、刮目に値する記事ですので、是非読んでみてください。
これまでの記事はこんな感じです。
業態レボリューション-1 ~成功の裏に「業態革命」あり・農業編~
業態レボリューション-2 ~農における業態革命の成功ポイント~
業態レボリューション-3 ~業態革命の背景と必要性~
業態レボリューション-4 ~農と塾における業態革命~
まず押さえておきたいのが時代認識ですね。
1970年代に貧困が消滅して以来、人々の欠乏は物的なものから類的なもの(人と人とのつながり、心のありよう)に移行してきています。
その結果、仕事に充足を生み出すポイントとして、
共認充足需要
自給志向・独学志向・自習志向
脱市場⇒供給者発の需給関係
といった流れが顕在化してきました。
この流れを、改めて今回の記事で検証してゆきましょう。
共認充足需要とは?
現在の社会全体について言えるのが、共認充足が全てという形になってきていることです。
まず目に付くのは、マスコミ及びネットの発展です。
テレビや新聞による娯楽・情報の提供で『共通の話題』が作られ、狭義の共認充足がつくられます。
さらにネットや携帯といった双方向ツールにより、人と人とのつながりが加速され、『共通の話題』はマスコミとは比較できないほど広がって行きます。
しかし、量的な広がりはあっても、中身が伴わなければ質的な限界にぶちあたります。
『共認充足の質』とは、どこで・どうすれば獲得できるのでしょうか?
それは、なんといっても日常の生活≒仕事の場、ですね。
仕事を通じて、顧客に喜んでもらう、相手を勝たせる。こうして得られる充足感は格別のものです。
そういう意味で、お互い連携しあえる優良な企業を発掘し、ネットワーク化し、社会の期待に応えてゆくこと=企業ネットワーク事業は、明らかに充足需要に応える新しい業態であると言えるのです。
また、仕事の場面にはあるけれど、マスコミ・ネットにはない側面として、全ての業態・業種において対面充足が決め手となり始めていることが挙げられます。
例えば、どの業態においても営業の成果は、まず相手に対面充足を感じてもらえるかどうかで決まるようになってきています。単に『安く』『早く』モノを提供できます、というだけでは、相手のこころをつかむことはできませんよね。
農産物の直販もそうで、単に新鮮な作物を売買するという目的を超えて、生産者・消費者とも『今日のお勧め』や『レシピの伝授』など、直売所でのやりとり=対面充足を楽しみにしていることは明らかです。
塾などの教育産業は、言うまでもなく、生徒と先生の対面充足がなければ始まりませんし、成果もあがりません。
さらに介護や医療は、元々相手の充足を目的とする業態ですので、対面充足を第一とする新業態のさきがけだったといえるでしょう。
このように、様々な業態において、物的欠乏から類的欠乏へ移行してゆく人々の意識を受け、業態革命が密かに進行していることがわかります。
一方、ここでの懸念事項は、各業態とも完全に自立できていないことです。
特に、医療・介護は法制度で成り立っているにすぎず、完全な自給自足には至っていません。各業態が自立してゆけるような社会システムを構築してゆくことが、今後の課題であり、その意味でも企業ネットワーク事業には期待がかかります。
自給志向・独学志向・自習志向とは?
別の観点としては、体験教室が色んなところで生まれてきているのが注目されます。
料理教室、農体験、工場体験など、探せばいくらでも出てきますね。
これら体験教室自体も、もちろん共認充足需要ですが、単なる共認充足ではありません。
体験という以上、何らかの能力を身に着けたいという意識に繋がっているからです。
すなわち、独学志向・自習志向のあらわれであり、概念装置を獲得し充足に向けて自ら活動したいという意識の顕在化です。
『共認充足は当然自分たちで考えていく。自分たちでつくっていく。』ということですね。
脱市場⇒供給者発の需給関係とは?
前述した『各業態が自立してゆけるような社会システム』について、方針を探ってみましょう。
ポイントは、従来の「需要発」の発想から「供給発」への認識転換とその実現に向けた工夫思考にあります。
「需要=供給」という経済学の公式から考えてみます。
これをイコールで結ぶためには、価格を押し下げるか、消費者に資金提供(バラマキ)して消費を煽っているのが一般的なやり方になりますね。
そして、価格勝負で負けないようにするには、効率化・大量生産が不可欠になってゆきます。
しかし、このやり方では、物的欠乏がなくなっている現在、先がないことは明らかです。安く・大量にモノを作っても、もはや売りさばくことは不可能だからです。
シャープやソニーやパナソニックが窮地に陥っている根本原因はこれですね。
ではどうするか?
このような「需要発」の発想を超え、市場原理の枠を超えた戦略を採りましょう。
生産者側が「需要」を掘り起こし、新しい「供給」を生み出していけばいいんです。
そして、『価格』という現市場の価値指標におもねる事なく、それを超えた価値を生み出していくのです。
ん
そんなのできるのかって
それが、できるんですよ
業態レボリューション-1 ~成功の裏に「業態革命」あり・農業編~
であつかった企業は、すでにこのことを実行⇒実現しはじめているのです。
考えてみればどの業界でも、本来作りたいモノやサービスを100%提供出来ている!と胸を張れる企業は実は少ないのではないでしょうか?
必ず「ペイするか?」「対費用効果はクリアできるか?」等の深慮が求められ、低コスト勝負が常態化していますよね。
彼らはこれを打破し、誰もが潜在的にもっている期待に焦点をあてて深く掘り下げ、新しくも根源的な「供給」を生み出しているのです。市場原理では不十分な点を補うことに心を砕き、顧客が100%充足できる「供給」を目指していると云えます。
この「潜在期待に応えきる供給」を実現するため、農家などの生産者を組織化して安定供給や商品開発に力を入れ、さらに消費者さえも巻き込んで組織して新たな販売ルートも確立する。
それら組織化を促進するためにも、安全・安心、高付加価値の作物供給する技術開発に力をいれているのです。
先陣を切る彼らの手法に学び、同化し、実践することで、新たな可能性が見えてきますね。
最後に、今回あつかった内容を図解にしてみましょう。
1970年以降、人々の欠乏は物的なものから類的なもの(人と人とのつながり、心のありよう)に移行、この欠乏の変化に応えようという企業が出てきた。
特に311大震災以降、自給志向・独学志向・自習志向が顕在化してきた。
市場原理に代わって上記の状況を統合しようとする、新たな動きが芽生え始めている。
というのが「業態レボリューション」の核心になります。
これからの可能性にワクワクしてくるものがありますね 😛
本シリーズはこれでおしまいです。
ではまた、どこかでお会いしましょう。
さようなら。
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