2013年02月01日

次代に求められる共認形成力とは 第6回~「自らが村を守っていく自主性」を育んだ共同体教育~

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今回のシリーズでは「次代が求める生産力=共認形成力」をテーマに、その能力について追求しています。
~プロローグ~
第1回~共認とは何か?~
第2回~私権時代の共認の中身とはどのようなものか~
第3回~世界的な本源回帰の潮流と世界を先導する日本への期待~
第4回~共認形成力の根幹、共認回路を育む日本の子育て~
第5回~幼少期の“遊び”の本質とテレビ脳の危険性~

「乳幼児期のスキンシップ」を通して形成される“共認回路の土台期”。
「幼少期の遊び」を通して形成される“共認回路の発達期”。
今回は、その次の成長過程として、“共認回路の確立期”に当たる青年期における「地域の教育組織」に注目したいと思います。

日本古来の文化は、氏族制で代表される北方的要素と、若衆組で代表される南方的要素とが重層しており、その濃淡は地域によってさまざまだったように思える。
であるのに、日本の古代から中世にかけての社会は、氏族制を重点として観察され、解釈されすぎるきらいがあった。
(中略)
日本の原始氏族制が中世になるとぼろぼろになってしまうのは、さまざまな政治的経済的要因にもよるが、一つは氏族制の胎内に重層して存在していた若衆組の原理-無階級意識-を基本的な矛盾として抱え込んでいたからではないか

全集49 『街道をゆく 熊野・古座街道』/司馬遼太郎

若衆組(若者組)とは、明治以前西日本を中心に村落の暮らしに深く根付いていた若者団体の組織です。上記引用は、司馬遼太郎が日本の歴史、社会の正体を探る手がかりとして南方要的要素の”若衆組”を追いかけ、日本の古代以来の社会と文化について思案した文章です。

古来より、日本の地域教育には、二種類の系譜があり、統合階級に見られる氏族制を下敷きとした教育規範(儒教教育)と農村共同体で見られる若衆組に代表される教育規範(共同体教育)とに分けられ、それらが重層的に織り成しています。
西洋国家や他の東アジアの国家は氏族制が浸透していったのに対して、日本の社会や文化を特徴づけていたのは「南方的要素である農村共同体の原理」であり、それが日本社会に残り続け、影響を与えてきたという事実は非常に興味深い。
したがって、今回の記事でも共同体教育を扱うにあたり、農村共同体の教育規範に着目して、紹介していきたいと思います。

それでは、いってみましょう。

(さらに…)

  投稿者 hiromi | 2013-02-01 | Posted in 11.世論形成の場、ネットの可能性No Comments »