2011年06月12日

原発問題から見える特権階級・近代科学の問題性7~安全性を置き去りにした“安全神話”

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画像はこちらからお借りしました。
 
現在の電気事業は各地域で1企業が供給している独占状態です。そうであるにもかかわらず東電をはじめとする電力会社では、原子力発電PRに膨大な広告費がかけられている実態があります。なぜそこまでしているのでしょうか?
企業もしくは電気に対するイメージのアピールだとしても、安定した需要があり、競合のいない電気をここまで宣伝する意味はあるように思えません。
 
今回は、過剰とも思える広告費をかけて作られる「原発安全神話」の実態をみてみたいと思います。

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原発安全神話はいかにしてつくられたか?より 
 

内橋は、「『原発安全神話』はいかにしてつくられたか?」で、「原発安全神話」が、電力会社やその関連機関などによって、実に巧妙、且つ大胆な、そして大規模な広報戦略に基づく国民洗脳化計画によって、作られていった過程を細かく検証しているが、その中でももっとも面白く、興味深かったのは、「安全神話づくり」に馳せ参じた学者・文化人たちの存在を告発している部分である。こう書いている。
 
強烈なのは、ほとんどあらゆるメディアのスペースを買いとって繰り広げたパブリシティの壮大さである。東大・京大教授、男女キャスター、脳科学者、スポーツジャーナリスト、将棋名人、俳優、元文部大臣、ヒット続出の漫画家……挙げていけばキリがない。(内橋克人「『原発安全神話』はいかにしてつくられたか?」「世界」五月号)
 
なるほど、と納得させられる。あの人も、この人も、莫大なカネと引き換えに、原発の「安全神話づくり」に馳せ参じた学者・文化人たちだったのだということだろう。フクシマ原発事故以後、東京電力を擁護するかのような言論を展開する学者・文化人が少なくないという事実が、不可解であったが、その不可解の根拠がわかったように思われる。たとえば、つい最近、経済評論家の勝間和代女史が、「朝まで生テレビ」で原発擁護論的発言を繰り返したことが話題になったが、彼女もまた、おそらく、原発「安全神話づくり」に馳せ参じた学者・文化人たちの一人だったということだろう。もちろん、原子力や原発の専門家としての立場から、フクシマ原発事故の解説者として次々と登場し、「原発安全論」や「放射能無害論」等を展開し続けた「東大教授」たちも例外ではないだろう。あるいは原発事故の深刻化する現場への取材報道よりも、放射能汚染による「風評被害」や「パニック」の方を重視し、国民に向かって警告し続けたニュースキャスターやテレビ関係者たちも、同様であろう。では、この「PA戦略(パブリック・アプセプタンス)」は、どのように展開されていったのだろうか。
 
財団法人・日本原子力文化振興財団、社団法人・社会経済国民会議、その他、おびただしい数の組織や団体が頻繁に一般市民への世論調査をやり、その世論に影響を与える専門家、ジャーナリストたちに対しても面接調査を繰り返した。合計すれば膨大な費用か投じられている。そしていわゆるPA戦略なるものが練りあげられていくのだ。(中略)同財団の企画委員会(委員長・田中靖政学習院大学教授・当時)によって展開され、累積されたそれらの調査結果は、専門家グループのなかでもとりわけ評論家、ジャーナリストが原子力に対して「最も強い不信感を抱いているグループである」との結論を導き出したうえで、今後の゛PA戦略゛では、何よりもその評論家・ジャーナリストを見方につけることが重要であると強調している。新聞社内の記者、デスク、整理部などの役割分担まで仔細に分析されている。以後、はるかに壮大な規模で、PA戦略がくり広げられ、実践されてきたことが分かるだろう。

 
電力会社やその利権に群がるものはとてつもなく危険であることは当然知っているが故に、国民には安全であると思い込ませる必要があったのです。そしてマスコミを使い御用学者や沢山の御用タレントを起用して洗脳化を進めてきました。またその為に資本力にモノを言わせて影響力と敵対性の大きい人物を丹念に調べ上げ、敵から味方につけるように画策してきたのです。
  
このようにみてみると原発推進は初めからだましの世界で、膨大な公告は原発導入時から組み込まれた「安全神話洗脳化計画」であったのです。
 
 
[参考]
東京電力に群がり金をもらって原発を推進した文化人25人 
 
 
次に、原発推進派が安全神話をつくる上において、いかに安全性の検証が後回しにされていたかを見ていきます。
  
人災の原発事故:安全対策より原発反対派対策を優先
 
 

1.佐藤・前福島県知事の証言にて、東電の不作為の罪が暴かれる
3.11東電福島原発事故に関して、各界から人災という声が日に日に強まっています。とくに、福島県民を代表していた佐藤栄佐久・前知事(冤罪で東京地検特捜部逮捕、失脚)の東電との交渉のいきさつが本人の口から外国特派員を含む海外マスコミに語られ始めています(注1)。そして東電は佐藤前知事の懸念をことごとく無視してきたことがあきらかとなっています。 
佐藤前知事のみならず、他からも再三警告を受けていたにもかかわらず、東電は福島原発老朽機の安全対策を無視してきました。
 
 
2.謙虚な安全対策より原発反対派の封じ込めを優先
東電を筆頭に、産官学の原発推進勢力は、原発反対派を敵視しており、佐藤前知事も彼らにとって手ごわい天敵のひとりだったのです。
世界で唯一、原爆被害に遭っている日本人はことのほか、原子力アレルギーが強い国民です。そこで、50年代から進められてきた原発建設の推進勢力は、当初から原発反対派との闘いに直面して今日に至っています。
 
 
半世紀以上も原発反対派と闘った原発推進派にとって、いつしか、安全対策より、反対派対策にエネルギーを使う習慣が身についてしまったのでしょう。
その結果、憎き原発反対派の警告に謙虚に耳を傾ける習慣が廃れて久しくなったわけです。
 
 
3.原発推進派は天敵の警告を徹底的に無視する習慣がついた
 長年に渡る原発反対派との闘いで、原発推進派には、反対派に対する感情的反感が醸成されていると思われます。人間誰も、敵意を持つ相手の言うことを素直に聞こうとは思いません。おそらく、反対派を敵視する東電関係者は、反対派の言うことは意地でも聞かないというような習慣を身につけてしまったのです。
 
 
4.安全対策より安全神話つくりを優先
 原発推進派は本音では原発が危険であると知っています、その証拠に、東電は自社の原発を首都圏には一切、建設していません。万が一の事故が起きたら大変なことになるとわかっています。そこで、原発立地周辺住民を説得するため、原発は安全だというプロパガンダを発信し続けなければなりません。
 
 
このような活動をパブリック・アクセプタンス(PA)活動と言います。原発立地地域の反対派は、それなりに勉強しており、それを支援する専門家もいます。その人たちを言論封鎖するには、原発は安全だと強弁し続けるしかありません。
こうして、原発推進派は、原発事故リスクの真摯な追究や安全対策に関心が行かず、反対派をいかに言論封殺するかにしか関心が行かなくなったのです。
 
 
5.原発推進派に本質的安全をチェックする人間がいなくなった
 原発推進派は、安全神話つくりに血道を挙げるようになり、基本に立ち返って、本質的安全をチェックする人が誰もいなくなったと思われます。
そして、原発推進派は反対派対策に注力するあまり、原発の安全性、とりわけ老朽原発の安全性を議論することすら内輪でタブーとなってしまった可能性があります。
その結果、東電福島の老朽原発は、反対派からの追及を恐れるあまり、その危険な状態を国民の目から隠ぺいする方向に行ってしまったのではないでしょうか。
東電の原発関係者は本音では老朽機の脆弱性や危険性に感づいていたにもかかわらず、それを補修・補強をすると、反対派が老朽機の問題を引き合いにだして、その他の原発すべての再点検を要求することが予想されました。
 
現に、2002年、老朽機の検査報告書改ざんが発覚したとき、東電は全原発の運転停止に追い込まれた苦い経験があります。そこで、またそうなっては大変だから、老朽機の補修・補強は必要とわかっていても、あえて放置し、国民の目から隠ぺいしてしまった。しかしながら、自然はそれを決して許さなかったのです。そして、東電は2011年3月11日という運命の日を迎え、不作為の罪が暴かれたのです。

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原発を推進するならば、徹底的に安全性を検証して、その根拠を提示するのが、本来のスタンスですが、推進派が安全神話を揺ぎ無いものにする為に力を注いだのは反対派の封じ込めであり、結局は「安全性が置いてけぼり」だったのです。
  
そして安全・運用・処理に至る全ての計画が無いまま、誤魔化しだらけで今に至るのです。また、推進派内部では完全に無圧力状態で、目先の私益だけに囚われた、「狂った観念による人災(≒犯罪)」であることは明らかです。
 
本当に皆が安心して暮らしていける社会を実現するには、「事実を知る」ことがスタートラインとなります。
そのためには我々庶民が、事実は政府やマスコミが発表するものではなく、自分達も追求していくことで得られるものなのだと意識を転換していく必要があります。そして皆で事実に基づく共認を形成し、真っ当な評価圧力を作り出していきましょう。
 
最後まで読んでくれてありがとうございました

List    投稿者 yamatetu | 2011-06-12 | Posted in 04.日本の政治構造4 Comments » 

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コメント4件

 通りがけ | 2012.04.27 9:04

「劣化ウランは被爆国日本の国際信義問題」
劣化ウランといえば触媒よりも劣化ウラン弾としての用途を誰でも考える。そして被曝に対して安全といえる根拠はない。劣化ウランが安全というのは原発が安全というのと同じ妄想である。日本はアメリカが「トモダチ」軍隊駐留してるから安全、みたいなw
劣化ウラン弾といえば湾岸戦争である。
>>湾岸戦争 米英が95万個使用
劣化ウラン弾 被曝深刻
>>http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/index.html
 1991年の湾岸戦争で、米・英軍は新兵器の「劣化ウラン弾」を、イラク軍に対し初めて実戦で使った。核爆発や核融合を伴う原爆、水爆とは違う放射能兵器である。停戦成立から九年がたった今、退役米・英軍人やその家族、戦場となったイラクの軍人、市民らの間に放射線被曝(ばく)などによる健康障害が広がっている。米・英、イラクで取材するうち、白血病やさまざまな慢性疾患にさいなまれる「知られざるヒバクシャ」の深刻な実態が浮かび上がった。
 (田城 明)
白血病や先天性障害 米軍43万人汚染地帯に
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/tokushu/index.html
<<
これは広島市に本社を置く中国新聞の記事である。
なぜ中国新聞が「劣化ウラン」弾の被曝被害について特集記事を書くか?
広島市と云えば8.6原爆の日、である。
世界中のヒバクシャが参加する平和式典が毎年開かれている。
もちろんイラクの劣化ウラン弾放射能ヒバクシャも参加している。
ヒロシマには神聖で重大な責任があるのだ。人類はもうこれ以上新たなヒバクシャを生んではならない。「あやまちは繰り返しませぬ」と世界中へ宣言したのだから。
劣化ウラン弾被曝被害特集をものした被爆都市広島市の中国新聞が広島市の目と鼻の先に密かに大量に貯蔵されていた「劣化ウラン」の存在に無関心であるような無神経なら、8.6平和式典と日本人は世界中のヒバクシャからの信頼をすべて失うであろう。
そして平和宣言都市ヒロシマを擁する広島県知事広島市長の三井化学「劣化ウラン」大量貯蔵問題に対する態度表明に、8.6を目前にして世界中のジャーナリズムが注目している。

 通りがけ | 2012.04.27 10:20

さて小沢判決で日本国内に狂騒を演出している間にアメリカは国連を使って日本を戦争に引きずり込む策謀を仕掛けてきた。
>>板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
>「自衛隊は、国連の要請でシリア内戦の停戦監視に派遣されるが、せめて完全武装して派遣しないと気の毒だ」
>>http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/5c9533192a43999df5b0addb2616f9af
(一部転載)
2012年04月26日 00時54分46秒 | 政治
◆国連は、国連憲章に死文化しているとはいえ「敵国条項」(日本とドイツを敵視)を残し、多額の拠出金を支出させ、なおかつ、米国は日本が安保理常任理事国入りするのを邪魔し続けている。しかも、国連は、日本国憲法が戦争の永久放棄と戦力不保持を規定しているのを知っていながら、自衛隊に「PKO」のブルーベレー帽子をかぶらせて、世界各地の危険な紛争地に派遣要請し、実行させてきた。これを理不尽なご都合主義と言わないで、何と言うべきであろうか。
 国連はこのたび、連日殺戮が続いているシリアに向けてPKOを派遣するよう野田佳彦政権に要請するという。シリアのバックには、ロシアと中国が控えていると言われているので、本来は、無関係国である日本などにPKO派遣を要請する前に、ロシアと中国に「何とかしてくれ」と要請すればいいものを、そうしようとはしていないのである。それでなくても、日本は1996年以降、自衛隊をシリアとイスラエルとの境界に位置するゴラン高原へ派遣している。国連平和維持活動の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)への派遣であり、自衛隊のPKO派遣としては3番目で、かつ最長期間となっている。これに加えて、今度は、シリアのアサド政府軍と反体制派の停戦監視を目的とするPKO派遣である。監視要員は、武装していない「丸腰」である。・・・(以下略)<<
私は地位協定が敵国占領条項そのものであることは知っていたが、国連が日独を戦後67年間も敵国条項下においたままとはうかつにも知らなかった。しかし考えてみれば国連事務局はアメリカにあるのだからあたりまえではある。アメリカはあらゆる意味で日米地位協定を破棄されたくないのだと云うことがよく分かる記事であった。
先に述べたように地位協定を破棄すれば日本は完全に独立国となりTPPも思いやり予算も防衛予算もすべて憲法に従って破棄できる。ただし地位協定を破棄する前に平和憲法9条に自ら違反して他国との間で武装軍隊として戦闘行為に及べばすべてを失うことになるであろう。ましてや国連においてさえも戦後67年にして未だに敵国条項の監視対象国なのであるから、国連の要請で行く停戦監視団は武装していってもし交戦場面で死傷者が出た場合責められるのは常に日本だけである。
自衛隊員諸君、丸腰で行ってタマが飛んできたら直ちにロシア軍基地やロシア大使館へ迅速に逃げ込むことが日本人として日本国憲法に背かない唯一の正しい選択である。名誉ある逃走、三十六計逃げるに如かず。これが無手勝流兵法の必勝の極意であり、武器で交戦するよりもさらに大きな勇気と力を必要とする真の英雄的行為なのである。
日本国民は直ちに「地位協定破棄し福一石棺桶化」すべし。

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