2009年02月11日

長期政権を維持してきた自民党というシステム

こんにちは。今回は、1月20日の記事「官僚制の基盤は江戸時代にできた」の続きです。日本政治の特色として、官僚制と自民党による長期政権という2つが挙げられると思います。前回は官僚制について紹介したので、今回は自民党がなぜここまで長期政権を維持することが出来たのか、そのシステムについて紹介したいと思います。
戦後最大の政党として君臨してきた自民党。この自民党がここまで巨大政党として存続できたのは、すでに基盤が形成されていた官僚機構との共生で形成された巨大なインサイダー政治を体系化できていたためです。今回はこの自民党のシステムについて『自民党政治の終り』(野中尚人著)
より紹介します。

自民党システムの大きな特徴の一つは、与党と行政官僚との緊密な協働体制である。しかしそれは、二つのものが同時並行的に生成する中で互いに組み合わされたものではない。明らかに行政システムが先に形成され、完成度の高い段階まで築かれた後、いわばそれに覆いかぶさる形で自民党の仕組みがくけ加わったのである。

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自民党システムのあり方がおおよそ固まったのはいつ頃なのだろうか。私はおおむね1960年代の中頃から70年前後にかけてであったと考える。その頃に、自民党と官僚との基本的な関係が定まったからである。そのきっかけは、通産省の特定産業振興臨時措置法や農水省による農地管理事業団法などの重要法案が次々と不成立に終わったことである。その結果、自民党の了解と後押しがない限り、官僚はどんなに頑張っても重要な政策を遂行することができなくなったことを悟ったのである。

十年余りの間に自民党は、政調会などの体制整備を進めた。そして、法案の事前審査制度が次第に定着し、後の族議員現象の萌芽も生まれてきた。政策知識や情報に疎い議員を教育するための人事システムも作られた。つまり自民党の基本構造が作られ、体制が整備されるのに対して、官僚はそれに妥協する以外になかったのである。結局、重要な政治方針では自民党に従い、議員の個別の利害を相当程度満たすように協力し、その上で棲み分けを行うことによって自分たち官僚の影響力と権益を維持する体制へと向かったのである。その骨格は、1970年頃にはおおむね出来上がったと思われる。

その自民党システムと呼ばれるものの中身は、以下のとおりです。

■巨大で柔軟な党本部機構
自民党の最大の特徴の一つは、巨大な党本部機構である。保守政党として見れば、おそらく先進民主主義国の中で最も大きい。長い間、自民党は近代的な組織政党の体をなしていないとの批判を浴びてきたが、実は党本部機構に関する限り、むしろ組織化は他国よりもはるかに進んでいる。その理由は、あらゆる政府提出法案や予算の細かい項目に至るまで、与党である自民党が国会提出前に事前の審査を行うためであった。

■派閥や族議員・鉄の三角形
自民党システムにとっての派閥の役割は次のようにまとめられる。自民党の派閥は、ポストの配分・争奪などの権力手闘争的な側面と人事の発掘・育成という面で大きな役割を果たしてきた。その一方で、政調会の拡充などを通じて自民党の政策能力が強化される中で、派閥はごく間接的な意味合いしか持っていなかった。そして全体として見ると、それぞれの派閥が求心力をもった権力の主体であり、自民党はそれらの緩やかな連合体として存在していたことがわかる。
政策の審議や決定にかかわる族議員が脱派閥的だということを裏返せば、彼らは行政官僚や外部の関連団体・業界とより緊密な関係を持っているということである。族議員と省庁の担当部局、関連業界の緊密な関係を指して「鉄の三角形」という表現が使われる。
なぜ三角同盟が形成されるのかは重要なポイントである。ここの政策領域でこうした同盟関係が生まれるのは、基本的に三者の間がグー・チョキ・パーの相互依存関係にあるからである。行政官僚は法令上の権限などによって業界団体に強いが、法律や予算を通してもらうためには与党政治家に依存している。当該業界は政治家に対して政治資金の提供や票のとりまとめによって強い立場にあるが、行政には弱い。与党政治家・族議員は、業界からはさまざまな支援を受ける立場にあるが、行政に対しては大きな影響力を持っている。つまり互いにグー・チョキ・パー関係にあるとともに、部外者に対しては利害が一致しており、結束して行動することが全員の利益となる。こうして「鉄の三角形」となる。

■行政官僚との濃厚な関係
官僚は、自民党の政調会でありとあらゆる説明を求められ、国会での質疑に関しても野党の質問者に対して自らで向いて「質問とり」を行い、大臣のために徹夜で答弁資料を作成する。もちろん省庁内部では圧倒的な組織力を持った官僚が、政治家である大臣のすべての意思決定のお膳立てを担っている。その反面、多くの場合大臣には実質的な選択肢が提示されず、官僚にとって都合の良い政策が進められることになりがちである。つまり、省庁内部はもちろん、自民党内の政策プロセスにおいても、また国会内部の審議においても官僚の果たす役割は大きい。いずれにしても、与党自民党と行政官僚との関係がきわめて濃密であり、しかも官僚の役割と仕事量が大変大きいことは自民党システムの重要な特徴だったのである。

つまり、自民党は自らの政策決定において、官僚機構や業界との密接な関係によって形成されたインサイダー政治の構造そのものが自民党という巨大政党の実態なのです。私的権益の獲得を前提にしたインサイダー政治では、これからの時代、適応でずに衰退していくのは必至でしょう。

しかし、この長期政権にもいくつかのアキレス腱がある。特に予算の増大は、いつまでも続かない。今や、社会の高齢化が進み、経済成長が鈍化した結果、「負担の配分」が必要になっている。巨大なインサイダー政治は自民党があたかも「自然な、与党」という構図を作り出していたが、もはやそれは維持できなくなっている。

List    投稿者 heineken | 2009-02-11 | Posted in 04.日本の政治構造5 Comments » 

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コメント5件

 Bonnie and Clyde | 2009.06.02 22:14

>有価証券は36兆円の59%となっている。
兼業で地道に稼いだお金(一部は、農地の転用なんかもあるだろうけど)を預け先の農林中金がバクチに廻しているという事なんで、お天道様に顔向けできない愚かさが漂いますね。
確か、サブプライムで穴を開けた農林中金に公的資金を注入するとか、したという話もあったんだけど、誰か責任は取ったんでしょうか?大臣はいっぱい死んだりしたけど関係しているの?
土着性が強く自然相手(お天道様相手)の生産者と世界を駆け巡る暗黒バクチマネリスト(=金貸し)の組み合わせがなんとも・・・・

 sodan | 2009.06.06 1:58

Bonnie and Clydeさん
早速のコメントありがとうございます。
公的資金の注入は避けたみたいです(記事の後半の引用参照)。
大臣が最近死んでいないのは“金貸し”の片棒を担ぐことにしたからかも知れません。
農家の人は、(あまり)人を疑うことをしない。
金貸しにとっては、最もだましやすい対象なのでしょう。
金貸しは、疑うことを知らない人を(平気で)だませることが出来たからこそ、金持ちになれたとも言える。
農家の人は、農協に言われれば、(かつては、お世話になったこともあり)せっせと貯金するだろう。
また、農協の人も、農家の人を騙しているなんて思っていない。知っているのは、“金貸し”と一部の特権階級だけである。しかし、これからはそういう訳にはいかない。
僕も、こういった機会、場がなければ、知らないままでいた。
マスコミから一応“事実”は発信されてはいるものの“垂れ流されたまま”になっている。
これは、一応でも、偏っていても“事実”だから受け入れてしまうからだろう。
でも、その先の“なんで?”や“事実”が隠されたままになっているからモヤモヤはつのる。
真偽を確かめる、大きなうねりを創り出す“共認形成の場”がまだ少ないからで、健全な庶民を守る上でもこういった場を広げていく必要がある。

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