2012年05月22日

江戸時代の思想16 江戸時代の法度は、農民の規範を元に法制化されていた

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画像はこちらからお借りしました。
😥 江戸時代までの権力者は、最低限必要な法度等を定めるのみで、後は大衆の共同体の自主管理に委ねていました。
これが江戸時代までの支配者の「民の生活第一」の具体的な中身のひとつです。
その法度も富や権力の集中を防ぐことに焦点が置かれていたようです。
制度や法律でがんじがらめにしないことが民にとっては有難かった、つまり、それこそが民の生活第一の顕れだったと考えられます。
それどころか、江戸時代の法律は支配者発で民に押し付けられたものではなく、庶民(農民)の規範が元になってつくられていたそうです。
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『百姓の江戸時代』(田中圭一著 ちくま新書)の書評によると、

江戸時代は絶対封建制と、士農工商の厳しい身分制の社会であり、最下層の身分にある農民は、貧困と圧制に喘ぎ、自由もなかったというのが、江戸時代の百姓に対する通説となっているが、果たしてそうだろうか。
このような通説は、歴史学者の多くが、幕府が強い支配権を持ち、農民達は被支配者としての服従を強いられていたという、固定観念を前提にして導かれた分析であって、実体とは異なる

というのが、本書の主張です。
事実は、寧ろ、江戸時代の社会を形作っていたのは、百姓たちの民意であり、幕府の政策はその追認、後追いでしかなかった、そもそも幕府には農民支配のための「政策」といったものがあったかどうかでさえ疑わしいようです。

江戸時代を代表する法と言われる1649年の「慶安の触書」は、学校の教科書では、「朝は早起きして草を刈り、昼には田畑の耕作、晩には俵や縄を作り、油断なく仕事をせよ」など、農民の細かな生活まで幕府が厳しく統制していることがわかると説明され、これらのことから江戸時代の農民のイメージが決定づけられています。
ところが、これまで慶安2年当時の現物の法令が全国のどこからも発見されたことがありません。
「慶安の触書」のモデルとなったのは甲府藩法「百姓身持之覚書」であるが、さらに原型があり、それが「百姓身持之事」という江戸時代の農民が自分たちでつくった規範です。それが甲府藩をはじめとして主に東日本の藩の法「触書」として採用されました。
そして、明治に入ると、慶安の触書は司法省編纂『徳川禁令考』に収録され、活字化されます。このことは慶安の触書が、さも始めから全国幕令としてあったかのような固定観念を定着させた最大の原因となりました。
さらに、戦後は農地改革による農民の自立という民主主義のプラス面を際だたせるため、封建領主の過酷な年貢収奪と共同体規制が厳しかったマイナス面を強調する目的で歴史の教科書に登場するに至りました。
1713年の分地制限令は、生産量10石、耕地1町より少なくなるような耕地分割相続をしてはならないという内容で、「幕府が耕地分割による農民の没落を防ぎ、本百姓体制<年貢・諸役を負担する正式な農民を中心とする体制>を維持する目的で発布した」などと説明されています。
ところが、これも惣百姓の多くが入会山を開発したら、馬草を干す場所がなくなるので、開発は許可しないでいただきたいという百姓の連判状に端を発し、村において農民自らが「このまま分地を続ければ我々は共倒れする」という危機意識から、分地制限を取り決めた村掟をつくり、幕府にその法制化を求めたのが分地制限令です。
(百姓たち自身に法を出す権能はなく、形式上、支配者側が発令するからである)。つまり幕府や藩は、基本的な施策の意図をもっているのではなく、村から出てくる要請を調整しているだけでした。
「江戸幕府の法は農民がつくらせた!?」

驚くべきことに、江戸時代の法は幕府や藩から押し付けられたものではなく、農民自身がつくった規範が取り上げられて法制化されたものだったのです。
私権時代の法律は
「大衆支配のための観念」
の典型ですが、江戸時代の法律は支配者発のものばかりではなく、庶民の規範発でできた法律もあったのです。
これも支配者の「民の生活第一」の一例ではないでしょうか。

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★にもかかわらず、明治以後「日本近世史」の研究や学校教育で、江戸時代を武士によるはげしい収奪の時代であると規定するのは、何故でしょうか?

明治政府の「四民平等」→民主主義を正当化(美化)するために、江戸時代は庶民(農民)が厳しく収奪されていたというイメージを植えつけるためだと思われます。
しかし、騙されてはならなりません。

>学校教育では「近代になって身分制度は解体された」と教えられるがトンデモナイ騙しである。未だに私有権も世襲制もそのままであり、世襲身分という権力の源泉部分はそのまま残存し続けている。私益競争の社会である以上、お金が有ると無いとでは大違いであり、お金があれば何でもできるが、お金がないと何もできない。しかもそれは世襲されている。これは身分社会そのものではないか。
「私権意識の成立構造」

同じ身分社会であっても共同体を統合するために農民自身がつくった規範を元に法制化された江戸時代の方が、共同体を破壊されて支配されるだけになってしまった近代よりも、(物質的豊かはなかったかもしれませんが)はるかに共認充足が得られた社会だったのではないでしょうか。
そして、明治以降、共同体を破壊して作り上げられた四民平等→民主主義の真相は、次の通りです。

>共同体では、まず第一に、自然の摂理に学び、部族の歴史に学び、先人の経験に学ぶことが、根本規範となっている。
従って第二に、共同体では、成員の誰もが自分たちの置かれている状況と課題を熟知している。
従ってまた第三に、何かを決めるのは、全員合意が原則であり、緊急時etcの長老一任も、この全員合意の延長上にある。
それに対して「民主主義」は、そもそも始めから共認原理を踏み外してしまっている。それは、成員の大多数が、ほとんど何も学ばず、何も知らないという点である。これでは共認原理はまともに作動しない。
例えば法律については、それが日常のあらゆる生活を規制しているものであるにもかかわらず、(専門家以外)誰も知らないし、社会がおかれている状況についても、大半の成員がほとんど知らない。
事実、民主主義は、何よりも「発言権」や「評価権(議決権)」を優先させ、『まず学ぶ』という人類の根本規範を見事に捨象している。だから、「民主主義は正しい」と信じ込まされた人々は、『まず学ぶ』という根本規範を踏みにじり、身勝手な要求を掲げて恥じない人間と化す。
こうして民主主義は、『学び』をないがしろにし、「発言権・評価権(議決権)」を優先(=批判と要求を優先)させることによって、とことん自我を暴走させると共に、とことん人々を無能化させてきた。
『るいネット』「民主主義は自我の暴走装置である」

明治以降、共同体を破壊して作り上げられた民主主義の制度下では、金貸しと手先である統合階級によって次々と大衆を縛り付ける法律が作られ、かつ庶民のその中身は全く知らないまま、支配され続けます。
それに対して、江戸時代は、農民自身がつくった規範が、そのまま幕府や藩に採用され法制化されていました。
これは全く逆の構造です。
そして、私たちが受けてきた学校教育では、「江戸時代は収奪の時代で、明治の四民平等で民が救われた」と全く逆のことが教えられています。
しかし、江戸時代の法度は、大衆支配のために上から上から押し付けられたものではなく、庶民(農民)自分たちでつくった規範を元に法制化されたものでした。
これが、わずか150年前前までの日本社会の在り様だったのです。
このことは、自然の摂理や部族の歴史や先人の経験に学んだ上で共認された規範を元に、日本人が社会統合観念(法律)をつくってゆける。
その可能性を指し示していると思います。

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List    投稿者 staff | 2012-05-22 | Posted in 04.日本の政治構造5 Comments » 

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コメント5件

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